作品を作る人ほど、記録を残した方がいい理由
どうも、久我レイジです。
メタバースドラマ『クロスロード』の古い台本や、再制作前の映像を見返していると、時々手が止まります。
台詞が変わっている。演出も違う。以前は残していたものを削り、逆に新しく加えた部分もある。
何を変えたのかは分かります。
でも、なぜ変えたのかが思い出せない。
自分で脚本を書いて、自分で監督した作品なのに、当時の判断理由が抜け落ちていることがあります。
完成した作品さえ残れば十分だと思っていた僕にとって、これは少し意外なことでした。
作品は残っても、その時の判断までは残らない

『クロスロード』は、一度制作が止まっています。
約1年を経て、総勢61名で全編を作り直しました。
再制作を始めた時、以前の映像も台本も残っていました。だから、それを見れば当時のことも自然と思い出せると思っていたんです。
実際は、そんなに簡単ではありませんでした。
完成した映像を見れば、最終的に何を選んだのかは分かります。
ただ、その場面で何を守ろうとしたのか。どの案と迷い、なぜ今の形にしたのか。そこまでは映像に残っていません。
以前は見送ったはずの案を、見送った理由が分からないまま、もう一度候補として考え直すこともありました。
同じところへ戻ってきているのに、以前の自分と話す方法がない。
そんな感覚です。
僕が今になって残したいと思っているのは、作業量の記録より、判断した理由です。
台本を何ページ書いたかより、なぜその台詞を削ったのか。
何時間撮影したかより、なぜ撮り直すことにしたのか。
そこが残っていないと、未来の自分がまた同じ場所から考え直すことになります。
記録より、少しでも作品を進めたかった

こんなことを書くと、僕が昔から丁寧に制作記録を残してきたように見えるかもしれません。
そんなことはありません。
制作中は、目の前の作業で精いっぱいでした。
台本を直す。撮影を進める。出演者と連絡を取る。編集する。公開の準備をして、作品を知ってもらうための発信も続ける。
その日に何を考えたかまで書き残す余裕は、ほとんどありませんでした。
記録する時間があるなら、少しでも作品を進めた方がいい。
当時はそう思っていましたし、今でも半分はそう思っています。
記録を残すことに時間を使いすぎて、肝心の創作が止まったら意味がないからです。
ただ、何も残さなかったことで、同じことを考え直した経験もあります。
一度感じた違和感を忘れ、似たような判断でまた迷う。
あの時、数行だけでも残していればと思うことはあります。
記録は、順調に進んだ自分を見せるためのものではないのでしょう。
むしろ、迷っていた時の自分を、都合よく忘れないために必要なのだと思います。
毎日書いていた文章に、制作の途中が残っていた

僕はnoteで、創作や発信、AIについて書いています。
最初から、自分のための制作記録として書いていたわけではありません。
作品を知ってもらうためでもありました。
良い作品を作れば、いつか自然に見つけてもらえる。以前の僕には、どこかそんな考えもあったと思います。
でも、知られなければ、存在しないのと近い。
だから発信を続けてきました。
その一方で、記事を書くほど、作品を作る時間が減るという迷いもあります。
文章を書き終えたあと、その時間で『クロスロード』を少し進められたかもしれないと思った日もありました。
それでも過去の記事を読み返すと、作品には入らなかったものが、文章には残っています。
制作が止まっていた時、何を考えていたのか。
数字が伸びない中で、何を変えようとしていたのか。
AIにどこまで任せ、何は自分で決めたかったのか。
その日の僕は、作品を進められなかったのかもしれません。
でも、その日に考えたことまで、何もなかったわけではないららた書いていなければ、それも忘れていたと思います。
AIに覚えさせる前に、自分で言葉にする

今、僕は自分専用のAIワークスペースを作っています。
作品や企画だけでなく、失敗した理由や修正した経緯も残し、次の判断に使いたいからです。
過去の情報を整理しておけば、以前どんな判断をしたのか探しやすくなると思っています。
ただ、記録していない理由まで、AIが知っているわけではありません。
僕がなぜその案に違和感を覚えたのか。なぜ効率が悪くても、ある場面を残したかったのか。
それは、僕自身が言葉にしなければ残らない。
すべてを記録することは無理ですし、僕にも続かないと思います。
だから今は、台詞を消した時や、撮り直すと決めた時、あるいは何も進まないまま画面を閉じた時など、判断が動いた瞬間だけでも残せないかと考えています。
長い文章でなくてもいい。
その理由を、数行だけ書いておく。
次に『クロスロード』の古い台本を開いた時、僕が知りたいのは、たぶん修正した日付ではありません。
あの日、なぜそこで手を止めたのか。
今度は、少しくらい残っていてほしいと思っています。
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