#32.5 上がりかけた気圧、変わらない夜
連載:「今夜も歩く」第32.5回
車が行き交う道から路地裏に逃げ込む。
目立たないところで、
電子タバコの電源を入れる。
気がつけば1か月
気がつけば、じっとしているのが苦手な
飽きっぽい私が1か月毎日投稿とか達成してしまった。
続けているだけで、
何かになるわけでもない。
とりあえず歩いている。
気圧が高い東京から逃げ
自分の居場所を探して。
桜もまだ少し残ってると言うのに
鯉のぼりが目立つようになってきた。
48歳の1か月は、20代の1か月とは違う
何かに追いかけられている感じがする。
いつまで歩けるか
歩くのをやめるべきか
私には無かった世界線
すっかり暗くなった公園から子供の声が聞こえる。
近寄ると、子供だけでは無く両親と遊んでいた。
その様子を見て感傷に至るかと思えば
そうはならない。
ただ、私にはなかった世界線だ。
電子タバコの電源が落ちた。
カバンから缶チューハイを取り出し握りしめる。
ぬるい。
結婚願望は昔から強くない。
それでも、
一人でいるのが少し重くなる時がある。
天邪鬼な私はそんな気持ちを自分で騙し
一人で暮らしてきた。
チャンスが無かったわけでは無い。
気圧を上げない
煮えきらない逃げクセがある私が
一度は20年以上も続けてきた仕事。
最後はそれに押しつぶされ
いつの間にか夜の東京にいた。
気圧がちょうどいい。
誰も一人で一人じゃない。
孤独じゃ無いといえば嘘になる
そんな、曖昧な空間が好きなのだ。
中途半端な覚悟で日和見的な会話でも成立する。
そんな私が1か月毎日投稿を続けられた。
スキの数を確認する。
増えていると、
少しだけ安心する。
ただこの作業は、
上がりそうになる気圧を、
もう一度下げるための作業だ。
いや、そんな綺麗事ではないかも知れない。
ただ、社会との接点を
小さなことでも残したかった
たぶん、続けていなければ、
気圧が上がらないまま、
どこかへ消えていたかもしれない。
今夜も歩く
今の生活に満足はしていない。
だからといって打開策はない。
時間はしのぎを除けばそこそこある。
何もしなければ余計なことを考える。
夜を歩き。
目の端に止まるものを見つめ続ける。
それぐらいがちょうどいいのかも知れない
そう思うことにしている。
缶チューハイの蓋を開ける
今日も歩いている。
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