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#16 手ぶらで帰る人は、ほとんどいない。群れを見送る夜。

連載:「今夜も歩く」第16回

今夜も明るく賑やかな繁華街を歩く。

さすがに平日の夜は、
終電に向けて足音が減っていく。

いたるところで、
別れの挨拶をする輪が広がっている。

笑いながら、時には肩を組み
名残惜しそうに、
同じ言葉を何度も繰り返している。
「連絡する」「気をつけて」

その輪が崩れ、
酔いと約束を手に
それぞれ別の方向へ歩き出す。

さっきまで一つだった群れが、
交差点や駅の入口を通るたびに
小さくなっていく。

大きかった群れも、やがて途切れ、
改札の手前で、
最後のひとりが手を振る。

長い髪をなびかせ、
振り返らずに歩く者もいれば、
赤いニット姿の若い男の子が、
何度も振り返っている。

気圧が上がる頃には、
また、
同じ場所で、
それぞれの役割を持ち、
同じ方向を向いているのだろう。

私は改札を通り過ぎた。

群れに戻る予定は、
特にない。

終電へ向かう人の流れとは逆に、
次の街へ歩き出した。

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