高い服、派手なガジェットへの物欲が消えていく:18年デザイナーを続けて辿り着いた「ふつう」という美学
今の私は「ふつう」が好きだ。しかもこだわりの「ふつう」だ。つまり、日常の中に溶け込むもの、テクノロジーがテクノロジーだとわからない、ごく普遍的な日常のつまらないふつうのものに溶け込んでいるもの、そういったものが好きだ。
実際、2年ほど前に買った椅子、「ヒロシマ・チェア」なんかもその最たる例だ。これは深澤直人さんがデザインした「椅子らしい椅子」。本当に「椅子!」という感じの見た目で、何も凄みとか、ユニークさ、みたいなのはない。だが、実際に近づいて良くみてみると、椅子の足が下に近づくにつれて、少しテーパーがかかって細くなっていたり、一見直線に見える背もたれも微妙にカーブがかかっていたり、全てのエッジ部分が丸く指に優しく造作されていたりする。そんな主張しない気配りや美しさが何よりも好きだ。
18年デザイナーを続けてきた上で、その辺の美意識について語ってみたい。

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