君をのせて
幼い頃から、音楽に触れてきた。
バンドやDJとして、遠回りしながらも活動を続けてきた。
嬉しい時も、悲しい時も、人生の節目にはいつも音楽があった。
今ある環境は音楽のお陰で、繋がった人々や仕事だと言っても過言ではない。
飽き性の私が数少ない続けてきたことといえば"音楽"か、あとはせいぜい"自慰行為"くらいだ。
もちろん、自慰行為にだって音楽が鳴り響く。
14歳の頃、思春期街道を暴走バイクで突っ走る同級生たちを横目に、私はパンクロックやビートルズにハマっていた。当然のように『やっぱジョンに近づくには、オノ・ヨーコで抜かなきゃな』と思い、ジョン&ヨーコ「アンフィニッシュド・ミュージック」に写るヨーコの乳房で、フィニッシュドしたこともある。違う意味で道をそれていた時代だった。
30代になった今でも、自慰行為に音楽がつきまとう。
男性は射精後に、いわゆる"賢者タイム"という懺悔の気持ちに襲われることをご存知だろう。
『なぜ、1時間も品定めをしたのに、小向美奈子で抜いてしまったんだ……』。
こんな風にして、世界中の男性は空虚の中で、自分自身を見つめるのだ。
だが、私は逃げない。それを恐れない。
どれほど辛いことだろうと「受け入れ、乗り越えることで、人は成長する」。30年以上生きてきて、それくらいは学んだ。
そこで、私は音楽の力を借りる。
この虚しさを、悲しさを真摯に受け入れるために、賢者タイム用プレイリストを作成している。
特に私のお気に入りは、井上あずみ氏が歌う「君をのせて」だ。
──あの地平線 輝くのは
どこかに君を かくしているから
たくさんの灯が なつかしいのは
あのどれかひとつに 君がいるから
そう。あのジブリの名作"天空の城ラピュタ"主題歌として、誰もが幼少期から耳馴染みのある曲だ。
子ども時代、居間で金曜ロードショーを観てる私の後ろで、母が夕飯の片付けをしている風景が蘇る。
余命宣告をされた父が、私と二人ぼっちの空間で「お前が家族を守るんだぞ」と告げた日の約束を思い出す。
お母様、お父様、ならびに親族の皆様、
今夜、私は一時間もオカズを探した末に、小向美奈子で自慰行為に及んでしまいました。大変申し訳ございません。
ああ、辛い。とても胸が苦しい。
用法用量を守らずに、音楽を聴いてきた結果がこれだ。
だからといって
「今さ、シコってBAD入ってるんだよね。どうしちゃお?」
なんて友人に電話相談をするようでは、ただの阿呆なのだ。
でも、それでいい。
人は受け入れて、乗り越えて、成長する。
私は涙を堪えて、パンツを履く。
また明日から歩き出すためにも。
最後にもう一度、後半の歌詞を掲載したいと思う。
──父さんが残した 熱い想い
母さんがくれた あのまなざし
地球はまわる 君をかくして
輝く瞳 きらめく灯
地球はまわる 君をのせて
いつかきっと出会う ぼくらをのせて
