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第2章⑮永遠に叶わなかった願い

広告代理店で働き始めて、少し経った頃だった。

仕事は忙しかった。

でも充実していた。

自分が作ったデザイン。

自分が関わった作品。

少しずつ増えていく実績を眺めながら、

ようやく自分の人生を立て直せるかもしれない。

そんな風に思い始めていた。

そんなある日。

ふと、彼のことを思い出した。

今、どうしているんだろう。

あの頃住んでいたマンションのオーナーだったお婆さんに電話をかけた。

そして、そこで知ることになる。

彼が亡くなったことを。

突然だった。

信じられなかった。

でも、その瞬間。

ある出来事を思い出した。

彼がアルコールの発作を起こし、救急車で運ばれた日のこと。

病院で、医師から余命宣告を受けていた。

「このままだと余命半年」

そんな言葉だった。

体は、もう限界だった。

でも当時の私は、どこか現実感がなかった。

ずっとこのまま続くような気がしていた。

そして気づけば、あの余命宣告から半年と少しだけ時間が過ぎていた頃だった。

なのに――

いざ亡くなったと聞くと、感情が追いつかなかった。

ただ、頭が真っ白だった。

そして私は、

何も出来なかった自分を責めた。

ずっと。

ずっと悔やんだ。

彼から離れるべきではなかったのではないか。

命懸けで愛した人のそばを、離れてはいけなかったのではないか。

もし私がそばにいたら。

何か違ったのではないか。

そんなことばかり考えていた。

毎晩、泣き続けた。

苦しかった。

辛かった。

でも――

私は一度も、彼を嫌いになったことがなかった。

いつか。

いつか彼を見返せるくらい、自分に自信が持てたら。

もう一度会いに行こうと思っていた。

その時は、笑って会いたかった。

だから――

心がポッキリ折れてしまった。

もう二度と会えない。

その現実を、受け入れられなかった。

私は命懸けで愛した。

夢中で、一人の男性を愛した。

こんなに人を愛したことはなかった。

大好きだった。

たまらなく愛おしかった。

愛されたかった。

でも――

どんなに愛しても、彼は遠くにいた。

そして、

本当に遠くへ行ってしまった。

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