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​「チクリ」と言われて育った人たちが、社会に出ると「報告しろ」と怒られる矛盾

社会人にとって最低限必要なスキルと言われる[報告・連絡・相談(ホウレンソウ)]。
一方で、幼少期や少年期、青年期のとりわけ高校生くらいまでは、報告するスキルに対して所謂"チクリ"として扱われ、先生などへの報告が悪者扱いされることがあっただろう。

社会に必要なスキルを身に着けていく時期に報告することを制限され、社会に出たら逆に報告を求められているのである。
そんな矛盾点に着目し、報告推奨派としての意見をまとめてみたいと思う。

1.チクリと報告の違い


まず初めに示しておきたいこととして、行っている行為自体は同じに見えるが、行為の目的や動機、客観性などから「"チクり"と"報告"は似て非なるものである」という点である。
以下に、あくまでも個人的な定義としてご紹介したい。

◯チクリとは

自分の感情を吐き出すための告げ口のこと。
・目的⋯相手を貶めること、自分のプライドや保身
・動機⋯嫉妬、嫌悪、責任転嫁など [感情的]
・内容⋯主観、感情論、相手の欠点を用いた印象操作
・結末⋯相手が怒られること、自分が安全圏に立つこと、優位性の保持

◯報告とは

組織や集団のリスク回避、課題解決のための情報共有のこと。
・目的⋯問題の解決、リスクの回避
・動機⋯事実の共有、リスク管理、組織や集団の保護 [論理的]
・内容⋯客観的な事実(いつ、どこで、誰が、何をしたか、リスク)
・結末⋯組織や集団の課題が解消されること、再発を防ぐこと

上記のように、似たような行為ではあるものの、本質的には別物なのである。

2.学校現場で報告がチクリにすり替わる理由

子ども時代にこの2つが混同されやすいのは、行為の目的と客観性、本質を見極めずに同列に扱ってしまうからだと考える。

例)A君がB君を叩いていた
A君が先生に報告した場合、B君は「A君のせいで先生に怒られた(言いつけられた)」と受け止め、自分の行動の良し悪しに目を向けず、A君を裏切り者として扱う。
今後発展すれば悪質ないじめに繋がる可能性もあるだろう。

結果、正当なリスクの報告が、悪質な裏切り行為として誤った認識を持たせてしまう。
報告を受け取る教員側も、内容の背景を十分に汲み取る必要があるだろう。

3.社会人になってもチクリしかできない大人たち

社会に出てからも、この定義や本質の区別がついていない人は多いと感じる。

・自分の仕事のできなささを棚に上げ、保身のために他人の失敗を上司に伝えに行く。本人に直接言わずに別のグループで愚痴として消化する⇨チクリ

・組織の危機(リスク)を解決するために、客観的な事実とタイムラインを上司に伝える⇨報告

情報を伝える側の人間の目的が公(組織、現場、顧客など)に向いているか、私(自身の保身、感情)に向いているかが線引きであり、上司側も見極めていく必要がある。

4.上司への伝え方のコツ

実際に報告をする場面において、伝え方に十分配慮をして伝えなければ、上司が抱く自身への印象も大きく異なる。
ポイントとして主観を徹底的に削り、リスクと数字で語ることが必要だ。

①「感情」だけでなく「事実のタイムライン」で構成する。


「◯◯さんが後輩たちに対して暴言を吐いていた。不快だ」と伝えると、上司は職場の人間関係の揉め事と扱うだろう。
そうではなく、「◯時◯分頃に、◯◯さんが後輩たちに『使えねえな』などと言っていました。聞き取りをしたところ後輩たちは業務に取り組む意欲が低下しています」と、事実としてあったことを言語化するのみで、要件は伝わる。

②  ①の上で組織としてどう困るのか(リスク)を提示する。


個人的な不満ではなく、放置した場合の職場の損失を提示すると良い。
「このままでは〇〇さんがハラスメント行為を続けるだけでなく、後輩たちの離職にも繋がります。また、その辞めた後輩たちがそれを周囲に漏らした場合、組織の信用失墜や就職希望者の減少も考えられます」と伝えることで、人間関係の揉め事という問題を、組織や上司のリスク管理問題にすり替えて伝えることができる。

③自分なりの解決策(案)をセットで伝える


問題を投げただけで終わると、上司の印象は愚痴を言いに来た人になる。
「後輩たちに対しては私からフォローを入れたいと考えています。『使えない』の発言に至った経緯などを聞き取りして追ってご報告するので、その上でその業務自体の負担の見直しなどをご検討いただきたいです」と、自分のアクションと併せて上司側のアクションも提案して着地させる。
この場合、先輩の〇〇さんが発言した背景を汲み取り、同じような状況が発生しないようなシステムづくりも視野に入れると、今後の再発予防になる上に、先輩〇〇さんの行為自体が組織的な問題から個人の逸脱へとすり替える事ができる。

④相談としての立場を取り、上司の立場を立てる。



「〇〇さんを処分してください」と、いきなり発展した先の手段を提示してしまうと上司も身構える上に慎重になりかねない。
まずは処分という最終手段を含めずに、ライトに検討できる内容から提案し、改善してみて、それでも続くようなら後輩たちから入念に聞き取りをしてハラスメントとして処分を提案すると良い。
また、「組織の安全とリスクヘッジのために、事実としてあったことを共有し、相談いたしました。組織としてどう動くべきかのご判断を仰ぎたいです」という形を取ることで、上司の責任と権限を尊重した上で釘を刺せる。


これらの①〜④はあくまでも例ではあるが、伝え方の内容を活かせば、どのような課題に対しても適切な報告として共有することができるだろう。
口頭での報告と併せて、①〜④を含めた日付入り提案書を出しておくと、後々の"言った言わない"を防げるため、個人的にはオススメである。

5.最後に

今回はチクリと報告の違いについてまとめた。
不満を言いに来た人間ではなく、組織のリスクを事前に察知して現場を収めようとしてきた実務者としての立ち位置から、事を荒立てずに静かに事実を突きつけるのが、上司を正しく動かすためのコツである。
また、社会人として報告するスキルが求められている以上は、適切な報告や提案をする術を持っておくと少しは働きやすくなるだろう。
社会人として論理的にどんどん報告をしていってほしい。

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