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そうだ、木刀を振ろう…

先日、買い物の途中でふと通りの向こうのガラスに目が留まった。

そこに映っていたのは、イメージしていた自分の姿ではなかった。

思わず衝撃を受けた。


「姿勢が悪い……」


かつて就職面接のたびに「姿勢が良いですね、何かスポーツでも?」と褒められていたはずなのに。

いつの間にか自分が一番「楽な歩き方」に逃げていたのだから恐ろしい。

人間の体というものは、サボれるとなればとことん筋肉を休ませようとするらしい。



私の姿勢の原点は、昔やっていた剣道にある。

剣道では猫背は厳禁だ。

顎を引き、丹田にぐっと力を入れて立つ。

感覚としては「殿様気分で左に刀を下げ、凛々しく構える」イメージだ。


かつて会社にいた頃は、殿様気分のイメージが過ぎて後輩に「mugiさん、反り返って歩いてますね」と言われたこともあるくらいだ。


久々に家で姿見の前に立ち、当時を思い出して姿勢を正してみた。

それだけで、心なしか少し若返ったような気がする。

だが、この正しい姿勢を維持するのは存外疲れる。


背筋を伸ばし続けるだけで、これほど体力を使うものなのか。

案の定、家事をひと通り終えてふと鏡を見ると、すっかり力を抜いたいつもの姿に戻っていた。

筋肉は怠けられるのならいくらでも怠けようとするのだと痛感する。


そんな折、木刀があることを思い出した。

「久しぶりに振ってみようか」 そう思い立ち、構えて振ろうとした瞬間、天井に当たりそうになって慌てて手を止めた。

だからといって、家の外に出て木刀を振り回していたら完全に通報案件である。


その時、奥に「小太刀(こだち)」の木刀もあることを思い出した。

これなら短いので、室内で振っても天井にぶつからない。


長木刀に比べるとズッシリとした重みはないものの、いざ振り下ろしてみると、肩甲骨のあたりがガチガチに凝り固まっているのがよく分かった。

そして何より、自然と姿勢がシャキッと伸びる。


しばらく真顔で小太刀を振りながら、ひとつの閃きが舞い降りた。

(これ、めちゃくちゃ良いエクササイズじゃない……?)

アップテンポでノリノリの洋楽を流しながら行う「小太刀エクササイズ」。

フィットネス界に新しい風を巻き起こせるかもしれない……そんな妄想を膨らませながら、気づけば一人でニヤニヤと小太刀を振っていた。



……冷静になると、少し怖い。

もし今の私の姿が盗撮でもされていたらどうだろう。

室内で、真顔から一転、ニヤニヤしながら小太刀を振る女。

不気味極まりない。


それでも、肩周りはすっきりするし、姿勢も整う。

案外面白いので、しばらくこの密かな日課を続けてみようと思う。



「小太刀エクササイズ」特許出願しておこうかな…



☆参考までに長木刀は2本、小太刀1本を所有☆

昇段試験では型があるため、木刀を買ったのだが、もう1本は大会で準優勝した時にもらったものだ。
(決してお土産で買ったものではない)



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