旦那さんは福耳
私は、耳たぶが薄くて小さい。
昔から、自分の耳を見ては「もう少しあってもよかったのにな」と思っていた。
一方で、旦那さんは福耳だ。
ぷっくりとしていて、いかにも「福」が入っていそうな耳をしている。
私は昔から、何かにつけて、こじつけでもいいから良いことに結びつけようとするところがある。
今、私たちには、あまり余裕があるとは言えない。
先のことを考えれば、不安になることもある。
「大丈夫かな」と思うこともある。
それでも、ふと旦那さんの耳を見る。
福耳。
なんだか、ちょっと笑ってしまう。
そうだ。
この人は福耳なんだった。
じゃあ、きっと大丈夫だろう。
根拠なんてない。
福耳だからって、何かが保証されるわけでもない。
でも、私はそういう「根拠のない小さな縁起」を、けっこう大事にしている。
今はあまり余裕がなくても、
きっと大丈夫。
なんとかなる。
いや、なんとかする。
そう思わせてくれるものが、家の中にひとつあるだけで、少し心強い。
私は自分の薄くて小さい耳たぶではなく、
旦那さんの福耳に賭けてみようと思う。
福をたくさん蓄えていそうな、その耳に。
どうかお願いします。
我が家に、ちょっと多めに福を。
……まあ、きっと大丈夫だろう。
なんとかなるだろう。
旦那さん、福耳だし。
だが、ひとつ懸念がある。私の耳たぶと相殺されているのでは……
