【DREAM THEATER 3rd】 全曲感想・好きなポイント 【Awake 後編】
0. はじめに
様々な楽曲への個人的な愛をつらつらと綴るだけのシリーズ。前回は、DREAM THEATER の 3rd アルバム "Awake" の前半についてでした。
1. The Mirror
穏やかな "The Silent Man" の余韻から、目の覚めるような刻みで幕を開ける名曲。2nd の頃のツアーから、"Take The Time" への導入としてイントロ部分が存在していて、"Puppies on Acid" という仮題が付いています。Derek 在籍時のライブでは、これに更なるイントロ("A Crack in the Mirror")が付いたアレンジもありましたね。
一曲として発展させた後、その一部であったリフ・パートを更に "Lie" として独立させて仕上げたことから、"The Mirror" と "Lie" は連続した2曲となっていますね。
ギターやベースは「3つ刻んで1つ休符」の音数を変わらず繰り返す一方で、ドラム・パターンの変化によって、リズムのフィールが変わってくるのが特徴ですね!「メトリック・モジュレーション」ってやつでしょうか。
Kevin Moore (Key.) のミステリアスなサウンドがとても活きていて、ところどころで "Space Dye Vest" のフレーズが顔を出すのも好きな点です!
アルバム後半は Bマイナー の曲が多く、この曲もヘヴィで冷たい曲調ですよね。Aメロでは B → D → E 、B → F → C と移るリフがひたすら重いです!
イントロのキーボードを由来とするサビも緊張感マックスで最高です! 3:21 〜 3:43 の進行は、イントロの疾走パートのリプライズですが、不気味で静かなアレンジになってます。
2回目のサビが終わり、"Space Dye Vest" のフレーズと共に、間奏に移行しますが、5:31 〜 の John Myung (Ba.) のヘヴィなリフも大好きです! 6:16 〜 は、そのリフが Kevin のフレーズと絡み合い、"Lie" へと突入します。
ちなみに、この 6:16 〜 6:46 の部分は、Jordan Rudess (Key.) 加入後はフリーのキーボード・ソロになっていますが、私はここの Kevin のフレーズが好きなので、そこはライブでもオリジナル通りに弾いてほしいな…と思っちゃったりもします。
歌詞は Mike Portnoy (Dr.) によるもので、彼が作詞していた "A Change of Seasons" が 2nd に収録されなかったことで、彼単独の作詞ではこれが初めて世に放たれた曲ですね("Take The Time" では共同で作詞を担当)。
彼自身のアルコール問題に基づいている点で、 "12-Step Suite" の序章に当たるような内容とも言われます。"12-Step Suite" については(今後詳しく書ければと思いますが)、簡単に言えば、6th 〜 10th アルバムの中で1曲ずつ共通のテーマに関する楽曲を作り、それに彼自身が詞を付け、最終的に12章から成る組曲が出来上がったというものです。
長々と書いてしまいましたが、個人的にも大好きな曲で、ヘヴィなだけではなく、緩急や美しさも兼ね備えた曲だと思います!
2. Lie
"The Mirror" から直接連なる曲で、ヘヴィなリフで押し通す楽曲ですね!当時のリード・シングルにも選ばれています。
ヘヴィ極まりないメイン・リフは、この作品から導入した7弦ギター・6弦ベースの面目躍如という感じで、とてもかっこいいです!
歌詞は Kevin によるもので、当時の彼の失恋経験に基づいているようです。 James LaBrie (Vo.) の表現も、吐き捨てるような攻撃的なヴォーカルとなっています。
3:22 〜 3:41 の重たいリフなんて最高ですし、そこからドラム、ギターの見せ場も待っていますね。彼らのヘヴィなアルバムといえば、この作品以外に "Train of Thought" (7th) が挙げられますが、個人的には方向性は少し異なるように思います。
"Train of Thought" の方が照準が定まっていて、より普遍的なヘヴィ・メタルを、彼ら流で仕立て上げたという印象ですが、"Awake" は彼らの多彩な要素を残しつつ、当時のシーンの中心的存在であったグランジ・ロックやグルーヴ・メタル的な暗さ・重たさも取り入れたという感じがします。
最後は "The Mirror" にリプライズして、ギター・ソロと共に疾走して終幕します!"The Mirror" とセットで聴くと、より楽しめる曲だと思います!
3. Lifting Shadows Off A Dream
John Myung のハーモニクスを用いた神秘的なフレーズに、John Petrucci (Gt.) と Kevin Moore が音を重ねていく様子が何とも幻想的な名曲ですね!
Bm と G を行き来するようなイントロのフレーズと、歌詞のアイデアを持っていた John Myung を起点として、彼らは苦慮しながらも、忍耐強くジャムを繰り返して、この曲を完成させています。
Lifting shadows off a dream once broken
She can turn a drop of water into an ocean
John Myung の歌詞は、とても詩的で大好きです。直訳すると「かつて破れた夢から影を振り払う」「彼女は一滴の水を大海へと変えられる」という感じですが、彼は歌詞の背景を次のように語っています。
John Myung:この曲は詞の方が先に出来たもので、その詞に相応しいムーディな曲を探してたんだ。詞は僕とリサ(婚約者)のことを書いたもので、人間の二元性とでもいったものについて歌ってる。女性は知恵、男性は力を持っているけれど、男性の力が意味を発揮し得るのは女性の知恵がその力を正しい方向に導いた時で、つまり2人の持っているものは両方合わさって初めて本当の意味と力を持ち得る、というようなことを言っているんだ。
先述のフレーズが歌われるサビでは、平行調のDメジャーに移行し、穏やかな希望の光を感じさせます。そして、また 1:38 〜 Bマイナーに戻りますが、今度はキーボードのフレーズがイントロと同じな一方で、後半のベースとギターはコードを変化させているのも堪らないです!
2:49 〜 3:33 にかけてのギターなどは、U2 の The Edge (Gt.) を彷彿とさせるディレイを用いたようなサウンドとなっていて、よく「U2にも影響を受けている」と公言している彼らのルーツも垣間見ることができますね。
そこからプログレッシブながらもオーバープレイしない間奏を経て、Dマイナーの哀愁のあるパートとなります。James の表現も素晴らしいです。
そして最後のサビに向かって盛り上がり、再びDメジャーに辿り着き、何とも言えない高揚感を感じます!最後のサビの裏で鳴っているアコギと、
A → G → F# → G → A → G → F# → E → D
というエレキ・ギターのフレーズも、爽快で最高です!
5:07 〜 5:25 にかけてのヴォーカル・ハーモニーで最高潮を迎えた後は、Bマイナーの主題に戻っていきます。ヘヴィな2曲の後で、こういった繊細で美しい曲も聴くことができて、改めて素晴らしいアルバムだと思います!
4. Scarred
前曲のムードを引き継ぐかのように穏やかにスタートする "Scarred" ですが、このアルバムで最初に書かれた曲でもあり、後半のクライマックスの一つでもあります。2nd に近い要素と、この作品のヘヴィな要素が、絶妙なバランスで融合されている名曲ですね!
1:49 〜 2:09 の都会的な進行は、この後もヴォーカルを交えて何度も登場しますね。そこから一気にヘヴィなパートへと突入します。
緊張感に満ちたオルガン的なサウンドと、感情溢れる James の叫びに加え、弦楽器のリフとリズム・パターンの変化が絡み合って、極めて素晴らしく機能しているパートだと思います!
3:16 〜 3:33 の進行は、鐘の音とギターのマッチング、メロディアスなヴォーカルによって、最高のものに感じられます!この進行は、実はこの曲のエンディングの下地にもなっています!
もうひと回しすると、4:35 〜 はイントロの進行に戻り、5:12 〜 は穏やかなパートに入ります。James の歌唱と共に盛り上がる 6:07 〜 6:25 も素晴らしく、この進行は後のギター・ソロにも引き継がれます!
7:02 〜 は3つ割のリフを用いたトリッキーな間奏へ入っていき、7:38 〜 は(イントロの進行上で)キーボード・ソロ、8:15 〜 は(5:49 〜 6:25 の盛り上がる進行の上で)ギター・ソロが演奏されます。名演ですね!
最後のヴォーカル・パートで James が高らかに歌い上げた後は、DREAM THEATER 史上でも屈指のエンディングに入っていきます。
鐘の音がトレードマークだった先述の進行を発展させており、9:50 〜 重ねられる Kevin Moore 節が何とも堪らないです!この見事なエンディングが、初期の DREAM THEATER を象徴しているようで感動します!
この曲で終わっても文句なしの作品だと思いますが、最後にもう一つ Kevin Moore による名曲が残っていますね…!
5. Space Dye Vest
"The Mirror" で一部が顔を見せたこの曲ですが、当初はアルバムに入れる予定はなく、アルバム制作中に脱退の意向を伝えた Kevin Moore を引き止めるために収録を決定したようです。Kevin 単独で作詞・作曲された楽曲で、バンドとしては異質なほどパーソナルな楽曲になっています。
この曲も彼の失恋を基に作られていて、歌詞とサンプリングのセリフはとても重いです。曲の方も Kevin による悲しげなピアノと、諦念を感じさせる James のヴォーカルによる演奏が中心です。
There's no one to take my blame
If they wanted to
There's nothing to keep me sane
And it's all the same to you
There's nowhere to set my aim
So I'm everywhere
Never come near me again
Do you really think I need you
I'll never be open
I could never be open again
抱いていた愛情を注ぐ人を失ったことで、感情が行き場を失い、あらゆるところに発露するようになった、という当時の彼の状況が現れています。「二度と僕の近くに現れるな、僕が君を必要としているとでも思ってるのか?」「僕はもう二度と心を開かない(開けない)」という歌詞には、強い拒絶が感じられますね。
最後にバンド全体で盛り上がる部分も、やはり感動しますね。Kevin のピアノとストリングス、Mike のオクタバンを用いたフィルなど、バンド全体のアレンジもさすがだと思います。
この楽曲を収録したことが、"Awake" を更に特別な作品にさせていると改めて感じました! Kevin Moore は結局、このアルバムをリリースした後に、正式にバンドを脱退してしまいます。
後の彼自身のプロジェクト Chroma Key では、"Space Dye Vest" の歌詞の一節をタイトルとする楽曲 "On The Page" を制作していて、一部では "Space Dye Vest" の続編と言われています。
6. 終わりに
いかがだったでしょうか。今回は DREAM THEATER の 3rd アルバム "Awake" の後半の感想でした。お楽しみいただけたなら幸いです!
そんな私も、彼らに影響を受けたプログレ・メタルに、映画音楽や電子音楽やフュージョンの要素を加えたような、長編楽曲を制作しています。
ぜひチェックしていただけると、とても嬉しいです!
(下記リンクより、各種サブスク、Bandcamp、CDがチェックできます)
各種サブスク:https://linkco.re/pD3Re0Y7
Bandcamp:https://liftingshadows.bandcamp.com/album/fragments-of-life
CD(歌詞・対訳・解説付き):https://progshadows.base.shop
アーティストページ:https://www.tunecore.co.jp/artists?id=1106584
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