26.06.12 一人飲み

彼氏と最近全然デートをしてないねと話をして、家の近くの飲み屋を調べていると、意外と良さそうな店が沢山あることに気づいた。結局、彼氏とは家飲みに落ち着いたが、近所の店を開拓したい欲求がふつふつと湧いてきたので、今日は一人飲みに出ることにした。

事前にリサーチをして気になる店を三つに絞っておき、会社を少し早く上がって、気の赴くまま一つに狙いを定める。知らない店に突撃する時の、期待と緊張の混じった感覚が楽しい。混んでたら嫌だなぁと思いつつ、Googleマップを頼りに辿り着いた店の戸を引くと、店内に先客は三人だけ。カウンターにはママが座り、キッチンでは旦那さんが調理をしていた。

意外にも空いているので拍子抜けしながら、案内された二人席に座ってメニューを見ると「焼きとんがおすすめ」という前評判に反してどこにも串が載っていない。不審に思って箸袋をよく見ると店の名前が全然違う。間違えて隣の店に入ってしまったのだ。

「ごめん間違えました」と出て行くわけにもいかず、とりあえずビールとまぐろ刺を頼む。お通しはズッキーニと牛すじの洋風煮込み。灰皿は要るかと聞かれ、煙草の吸える店なのだと気付く。非喫煙者にとってはマイナスポイントだなと思っていると、一人で食べるにはちょっと多いくらいの量の刺身が運ばれてきた。ビールで流し込む。

うまー!!!!想像を超えて美味い。角煮みたいに分厚く切られたまぐろは、添えられた茗荷とマッチしてどんどん酒が進んでしまう。

でも、やっぱり、隣の店はどうしても気になるので「あと一品と一杯だけ」と決めて、おすすめと書いてある「手羽先の胡麻醤油」1本とビールを頼んだ。注文すると、油で鶏を揚げる音が聞こえてきてテンションが上がる。運ばれてきたのは手羽の唐揚げに甘辛い醤油だれと胡麻をかけたもの。揚げたての手羽は、食べづらさを圧倒的に凌駕する美味しさ。これで延々とビールを飲んでいたい気持ちを、残る理性で振り切って店を出た。

同じビルの隣にある目当ての店に入ると、コの字型のカウンターには十人以上の先客がいる。お堅めの居酒屋かと思いきや、流れる曲はオールディーズ。さっぱりと綺麗に片付いた店内にもこだわりを感じる。人気のもつは終わってるものも多かったが、ギリギリ残っていた、しろ、かしら、たんを頼む。お通しはジャガイモとピーマンのきんぴら。キリンラガーの瓶を注文して、飲み始める。 

ふと、カウンターの向かいで、会計をしている老人に目をやると、どこか見覚えがある。おでこにある特徴的なほくろを見てピンときた。間違いない、あれは菅直人だ。隣にいるのは奥さんと息子だろうか。好好爺となった、かつての総理大臣を横目で見送る。

そうこうするうち、目の前でもつが焼き上がり、タレをくぐって皿に盛られる。一口食べると、それはもう最高に美味い。これが1本120円だなんて、馬鹿げてるとしか言いようがない。「醤油してください!」と言われて出てきた冷や奴には、擦りたての生姜と切り立てのネギがたっぷりと乗っている。なんて贅沢。

他の人が頼む料理を見ていると、炭火で炙る焼きなす、いわしの丸干し、ミニトマトのベーコン串、自家製のポテトサラダ、もはやなんの変哲もない茹でたての枝豆でさえ、旨そうに見える。今度は全メニュー食べられるくらい、とんでもなくお腹を空かせて来るぞと心に誓った。

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