「凸凹は漢字です」そして「その漢字は使えません」
小学校に上がるとき、真新しい「机」を買ってもらった。
その机と一緒に来たのは「ディスクマット」。
そこには楽しいキャラクターではなく「常用漢字表」「収入印紙早見表」「所得税速算表」など、おとなが会社で使うマット。
そのマットの漢字表は「最新」だった。
わたなべは、この常用漢字表がとても好きだった。
習ってもいない画数の多い漢字がお気に入りで、小学生低学年で「魔」とか書いていた。
小学2年だったかな。
「『凹凸』は、漢字か記号か」と授業で聞かれた。
漢字の成り立ちで、状況をそのまま漢字に表している何かだった。
わたなべは、
「漢字です。」と答えた。
一人だけだった。
毎日見る「常用漢字表1945文字」には、凸凹があったのだ。
1981年「当用漢字表」に95文字が追加された「常用漢字表」ができた。はやりあのディスクマットは最新だった。
もちろん常用漢字表に入る前から、漢字であることには変わりないが、日常で使われる漢字の一部として、今でも思い出深い。
その漢字は使えません
時は20年ほど経て、わたなべが結婚する「そのとき」。
「あー、この漢字は今は使えませんね。
現在使えるのはこの5個。ここから選んでもらえます?」
夫婦になる直前の結構デリケートな時に、あっさりと「この漢字使えません」と言われた。わたなべの「なべ」の漢字で、いっぱいあるあれである。
平成13年だったかに戸籍上の漢字表記に「許容体」が使えなくなった。
コンピュータ時代に入り、データに載らない漢字は、表記を改めることになったからだ。
そんなことはよくわからず、新戸籍を作ろうとする男女の前に「漢字どうします?」と問われた。
婚姻届は、書き直しが許されていない。
新戸籍を作るのだから、語句訂正は容易ではない。
結局、修正する一番安易な「点を付け加える」方法で着地。
その日から、わたなべの「画数占い」は1画増えて、運命が変わったのだ。
最近「あの時もっと『簡単』な漢字にしておけばよかった」と思う。
5画と17画では、結構運命変わったと思うんだ。
