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部下はアドバイスでは育たなかった。700人と向き合ってたどり着いた答え


「花ちゃんと話していると、自分の頭の中が整理されるんです。」

「なぜかわからないけれど、つい相談したくなります。」

「安心して話せます。」

これまで、そんな言葉を何度もいただいてきました。

でも、最初から「聴くこと」ができていたわけではありません。

むしろ、私は、たくさんアドバイスをする上司でした。

「こうした方がいいよ」

「あなたならできるよ」

「こうすればうまくいくよ」

良かれと思って伝えていました。

けれど、今振り返ると、それは「育てる」こととは少し違っていたのだと思います。

管理職として10年。

そのうち最初の8年間は、本当の意味で「人を育てる」ということが、まだ分かっていませんでした。

人は、正しい答えをもらったから成長するのではない。

自分の気持ちや考えを安心して話せる場があるから、自分で考え、自分で一歩を踏み出せる。

私は30年間、人と向き合う仕事を続ける中で、そんな答えにたどり着きました。

今回は、私がなぜ「話せる場」を大切にするようになったのか、少し自己紹介を兼ねてお話ししたいと思います。



1.四姉妹の末っ子。人の気持ちに寄り添うことが、いつの間にか身についていた

私は四姉妹の末っ子として育ちました。

幼い頃は人見知りで、おとなしい性格。

知らない人の前では、いつも姉たちの後ろに隠れているような子どもでした。

一方で、人の表情やその場の空気から、

「本当はこうしたいのかな」

「困っているけれど、言い出せないのかな」

と、相手の気持ちを感じ取ることは、昔から比較的得意だったように思います。

困っている人を見ると、どうしても放っておけない。

気づけば相手の話を聴き、一緒に考え、必要なときには手を差し伸べていました。

社会人になり、販売の仕事に就いてからも、管理職になってからも、その姿勢は変わりませんでした。

当時は、それが自分の仕事につながっていくとは思っていませんでした。

でも今振り返ると、

人の話を聴くこと。

相手の気持ちを考えること。

その人が自分らしく力を発揮できるよう支えること。

それが、今の私の仕事の原点だったのだと思います。



2.企業で30年。人を育てる現場で見えてきたこと
 管理職、教育担当、社内コーチとして、700人以上の社員の育成に関わってきました。

特に、女性が多い職場で多くの女性の成長に伴走してきたことは、今の私にとって大きな財産です。

そこで何度も目にしたのは、

「能力がないから前に進めない」のではなく、

「自分にはまだ足りない」と思っていることで、一歩を踏み出せずにいる人たちでした。

十分な力を持っているのに、

「私なんて……」

「まだ準備ができていない」

「もっと勉強してから」

と、自分でブレーキをかけてしまう。

反対に、

「これならできるかもしれない」

「やってみたい」

と、自分で思えた瞬間、人は驚くほど変わっていきます。

その姿を何度も見てきました。

だから私は、育成するときに「できていないこと」を伝えるだけではなく、

「あなたには、こんな力がある」

「ここは、あなたらしい強みだと思う」

と、その人自身が気づいていない力を言葉にすることを大切にしてきました。

人は、自分の可能性を自分で信じられたときに、一歩を踏み出せる。

それは、女性に限ったことではありません。

ただ、女性が多い職場で多くの女性の成長を見てきた経験は、今の私が女性リーダー育成を大切にしている理由の一つになっています。



3.管理職10年。最初の8年間、私は「育てているつもり」だった

ここからは、少し耳の痛い話です。

管理職になったばかりの私は、部下のためを思って、たくさんアドバイスをしていました。

励ます。

背中を押す。

答えを伝える。

「何とかしてあげなければ」と思っていたのです。

部下の話も聞いているつもりでした。

でも今振り返ると、聞いていたのは「事実」であって、その人が抱えている不安や葛藤、本音までは、十分に受け止められていなかったのだと思います。

今でも忘れられない出来事があります。

ある面談で、私は「あなたのためを思って」と、改善してほしいことを一方的に伝え続けました。

すると、目の前にいた部下が突然、涙を流したのです。

その瞬間、私は気づきました。

私は「聞いている」のではなく、

「伝えているだけだった」。

部下のためと思っていたけれど、いつの間にか「私が考える正解」に相手を近づけようとしていたのかもしれません。

それは、私にとって大きな転機でした。



4.「答えを教える」から「一緒に考える」へ

そんな私が、管理職生活の最後の2年間で出会ったのが、コーチング型のマネジメントでした。

そこで学んだのは、

「答えは相手の中にある」

という考え方でした。

それまでの私は、

「どうすれば、この人を変えられるだろう」

と考えていました。

それが、

「この人は、本当はどうしたいんだろう」

と考えるようになりました。

「どうしたい?」

「何が一番気になっている?」

「あなた自身は、どう思っている?」

すぐに答えを伝えるのではなく、相手が自分で考えるための問いを投げる。

そして、答えが出るまで待つ。

もちろん、簡単ではありませんでした。

上司としては、早く解決したい。

経験があるからこそ、答えも分かる。

だからこそ、「こうすればいいのに」と言いたくなる。

でも、そこで一歩引いて相手を信じる。

すると、少しずつ変化が見えてきました。

「話しているうちに、自分の考えが整理されました」

「自分がどうしたいのか、分かりました」

「やってみます」

そんな言葉が増えていったのです。

その姿を見て、私は初めて実感しました。

人を育てることは、答えを与えることではない。

その人が自分で考え、自分で決められるように支えることなのだ。



5.対話を重ねて分かった、「話せる場」の力

その後も、教育やコーチングの仕事を通して、多くの人との対話を重ねてきました。

そこで何度も聞いたのが、

「花ちゃんと話していると、自分の考えが整理されます」

「否定されないから、安心して話せます」

「話しているうちに、自分で答えが見つかるんです」

という言葉です。

私は、ここに人が育つための大切な条件があると感じています。

人は、正しい答えをもらったから成長するのではありません。

安心して話せるからこそ、自分の考えに気づく。

自分の考えに気づくから、自分で決められる。

自分で決めるから、自分の行動に責任を持てる。

その積み重ねが、少しずつ人を変えていく。

だから私は、

「話せる場が、人を育てる」

と考えるようになりました。



6.管理職は、実はとても孤独です

今、私は管理職の方とお話しする機会を増やしています。

そこで感じるのが、管理職の孤独です。

部下には弱音を吐けない。

上司には「管理職なんだから」と思われる。

経営者には、現場の細かな悩みまで相談しづらい。

部下のこと、チームのこと、会社のこと。

いろいろなことを抱えながら、「自分が何とかしなければ」と頑張っている管理職は少なくありません。

かつての私も、そうでした。

だから私は、管理職自身にも「話せる場」が必要だと思っています。

自分のことを振り返る。

今、何に悩んでいるのかを整理する。

自分は本当はどうしたいのかを考える。

そして、次の一歩を自分で決める。

管理職自身が自分の考えを整理できると、部下との向き合い方も変わっていきます。

管理職が変われば、チームが変わる。

チームが変われば、組織も変わる。

私は、現場でその変化を何度も見てきました。



7.私が目指しているのは、「話せる場をつくれる管理職」を増やすこと

私が目指している未来は、とてもシンプルです。

人が職場でつまずいても、ひとりで抱え込まず、安心して前に進める社会をつくること。

人がつまずくこと自体は、悪いことではありません。

失敗することもあります。

悩むこともあります。

立ち止まることもあります。

本当に苦しくなるのは、

「誰にも話せない」

と感じたときではないでしょうか。

反対に、安心して話せる相手がいれば、

自分で考え、

自分で答えを見つけ、

もう一度前へ進むことができます。

だから私は、

「話せる場をつくれる管理職」

を増やしたいと思っています。

部下の言葉を受け止める。

すぐに答えを与えない。

相手が考える時間をつくる。

必要なときには、一緒に考える。

そんな管理職が増えれば、人はもっと自分らしく力を発揮できるはずです。



8.これから、私が企業の中でしていきたいこと

私はこれまでの経験を活かして、

管理職が「指示する人」から、「人が自ら考え、動ける環境をつくる人」へ変わっていくための支援

をしていきたいと考えています。

管理職研修だけで終わらせるのではなく、

「聴く」

「問いかける」

「待つ」

そして、

「相手を信じる」

ということを、実際の職場で使える力にしていく。

また、女性が多い職場で多くの女性の成長に関わってきた経験を活かし、女性リーダーが自らの強みに気づき、自分らしいリーダーシップを発揮できるための支援にも取り組んでいきます。

これまで人を育てる立場にいた私自身も、最初からうまくできていたわけではありません。

失敗して、

立ち止まって、

自分の向き合い方を変えて、

ようやく「人を育てる」ということが少し分かるようになりました。

だからこそ、今、管理職として悩んでいる方に伝えたいことがあります。

部下を変えようとする前に、まず話してみませんか。

答えを教える前に、

「あなたは、どうしたい?」

と聞いてみませんか。

人が育つきっかけは、正しいアドバイスではなく、

安心して話せる一つの対話

なのかもしれません。

これからnoteでは、私自身が管理職として経験してきたことや、人を育てる中で学んできたこと、そして明日から職場で実践できる「話せる場」のつくり方について発信していきます。

管理職として悩んでいる方。

部下の育成に悩んでいる方。

人が育つ組織をつくりたい経営者・人事の方。

そんな方々の、何か一つの気づきになればうれしく思います。

話せる場が、人を育てる。

これが、30年間、人と向き合ってきた私が、今、大切にしている言葉です。
HP
http://www.kahanalabo.com

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