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広島が秘めるポテンシャル――空港問題、人口流出、そしてラグジュアリー不動産の可能性

先日、仕事の関係で広島を訪れた。

広島には学生時代から数えると、ビジネス・プライベート合わせて何度も足を運んでいる。だが今回の訪問は、これまでとは少し違う目線で街を歩く機会となった。都市の構造的課題、そして不動産・地域開発におけるポテンシャル。改めてじっくりと考えさせられた2日間だった。

空港移転を「身をもって知った」30歳の苦い記憶

最初に広島へ行ったのは、学生時代の部活の試合がきっかけだった。当時は旧広島空港を利用したのだが、市街地からのアクセスの良さに、学生ながら素直に感動した記憶がある。

それから約10年後、30歳のころ、今度はビジネスの出張で広島を再訪した。アポイントの時間がタイトだったこともあり、空港からは迷わずタクシーを選んだ。あの便利さの記憶があったからだ。

ところが、15分経っても、30分経っても、市内に着かない。山の中の高速道路をひたすら走り続けている。「遠回りされているのでは」という疑念が頭をよぎった頃、たまらず運転手に尋ねた。

「前回いらしたのはいつ頃ですか?だいぶ前に空港は移転したんですよ」

結局、目的地まで1時間以上。当時の私には信じられないほどの料金を支払った。1993年の新広島空港開港、そして移転という事実を、財布ごと思い知らされた瞬間だった。

高速道路が整備されたとはいえ遠い…

それ以来、広島は「アクセスが悪い」という印象が頭に刷り込まれてしまっている。今回もまた飛行機を利用したが、考えてみれば新幹線で広島を訪れたことは一度もない。東京から4時間以上座り続けるのはどうも、という緩い判断基準があるためだ。ところが、知人のビジネスパーソンに聞くと、大半が「新幹線派」だという。飛行機の便数の少なさ、通信機器利用制限などが飛行機を避ける理由だと言う。感覚は人によって随分と異なるものだと実感した。

高速道路の整備が進んだことで、市内への移動時間は数十分ほど短縮されているらしいが、空港からの物理的・心理的距離は依然として残っている。

4年連続ワースト――若者が逃げていく街の現実

そんな広島県に、不名誉な記録がある。

総務省の人口移動報告によると、広島県は4年連続で若者を中心とした転出超過数が全国ワーストとなっている。年間1万人以上が県外へ流出しているのは、全国でただ広島県だけだという。

正直、これには驚いた。広島市は中国・四国地方で最大の都市であり、東京23区を除く全国の都市ランキングでも10位に入るビッグシティだ。世界的な知名度も持ちながら、人口流出が日本一とは。

一方で、地元の産業基盤を見ると、経済そのものは決して悪くない。自動車・重工業を中心とした製造業の集積地として知られており、地元金融機関の担当者も「足元の経済は堅調です」と話していた。さらに、近年の注目は半導体だ。マイクロン・テクノロジーが広島に進出し、次世代型メモリの製造を目的とした新工場に1兆5,000億円を投じると発表している。熊本のTSMC誘致ほどの社会的な熱量にはまだ達していないが、広島の不動産市場と地域経済にとって確実な起爆剤になると私は見ている。

人が出ていく。しかし経済は動いている。この矛盾をどう読み解けば良いのか…

マイクロン新工場は広島の起爆剤となり得るか?

観光客6,000万人なのに「素通り」される現実

観光についても、広島は独特の課題を抱えている。

令和6年の年間観光客数は6,474万人。コロナ前の水準をほぼ取り戻している。平和記念公園と厳島神社という、世界が知る二大コンテンツを擁しているのだから、当然と言えば当然だ。

ところが、この膨大な観光客の多くが広島県内に泊まらない。大阪から日帰りで来て帰る、そのまま九州へ抜けていく。いわゆる「素通り観光」だ。

原因のひとつは欧米の富裕層インバウンドが好むラグジュアリーホテルが、広島には圧倒的に少ないからではないかと私は思っている。ないから泊まらない。泊まらないから投資されない。この負のループが長年続いてきたのではないだろうか。

しかし、ここにきて変化の兆しがある。市の中心部では官民連携の再開発プロジェクトが進行中で、2027年、中国地方初の「アンダーズ 広島」が開業予定だ。客室数235室、中心的な宿泊費は1泊5万円から。地元では「広島では未知の価格帯」と言われているそうだが、東京・大阪で1泊15〜20万円近いラグジュアリーホテルが高稼働を維持している現実を知れば、むしろ広島での富裕層需要はまだまだ掘り起こせると私は感じている。

不動産目線で読む「広島ポテンシャル論」

不動産業界に30年以上携わってきた立場で率直な意見をに言うと、広島の都市の評価は、本来のポテンシャルよりも大幅に低く見積もられている。

起爆剤は2つある

① マイクロン新工場による地域経済の底上げ
半導体工場の誘致は、単に製造拠点が増えるという話ではない。高賃金の技術者が流入し、周辺に住居・商業・インフラの需要が生まれる。熊本・菊陽町のケースを見れば、その波及効果の大きさは明らかだ。

② 富裕層インバウンドの受け皿整備
課題はやはり、空港の国際線拡充と、空港から市内へのラグジュアリーな移動手段の充実だ。欧米・アジアからの直行便を増やし、高級ハイヤーやリムジンでスムーズに市内へ繋げる。市内や観光エリアにラグジュアリーホテルを複数誘致し、そこを起点に、大型ラグジュアリーバンで瀬戸内の多島美を巡り、しまなみ海道を渡って四国へ抜け、そこから帰国するプレミアムルート。こうした体験設計が実現すれば、富裕層はただ泊まるのではなく、長期滞在を選ぶようになるだろう。

こんなホテルがあったら海外富裕層が殺到するのでは??

この2つのうねりが重なった時、広島の不動産市場は一段階上のステージに入る可能性がある。

広島は「ポテンシャルの高い割安成長都市」だ

人口流出ワースト、素通り観光、アクセス問題。課題は多い。

しかしそれは裏を返せば、伸びしろが大きいということでもある。世界的な知名度を持ちながら、受け皿の整備が追いついていないだけだ。インフラと宿泊施設への「もうひと押しの投資」があれば、広島は劇的に変わると私は確信している。

半導体と富裕層観光という2つの追い風が吹き始めた時、広島は若者を惹きつける爆発的な発展をするに違いない。不動産投資や事業展開を考えるなら、今がその「仕込み時」かもしれない。

広島の可能性について、あなたはどう捉えるだろうか。

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