私の世界の彼
仲の良い友だちグループの一人。
たった一言で表せるような人じゃないけれど、しいて言うなら、愛のある温かい人。
頭が良くて、仕事もできる。
悩みごとがあっても、どこか他人事のようにひょうひょうと話す。
「しょうがないよ」「仕方ないよ」って、自分なりの線引きが上手な人だった。
あっさりした性格なのに面倒見がいい。
少しせっかちで、話すスピードも速い。
自分の話したいことを話したら、こっちの話は半分くらい流し聞きしているように見えることもあった。
「もう、聞いてる?」
そんなふうに思うことも、もちろんあった。
でも、
不思議と嫌な気持ちにはならない。
だいたい後になって、
「そういえば、さっきの話なんだけど」
と、ちゃんと返ってくる。
その言葉がまた妙に腑に落ちて、気づけばまた相談したくなっている。
時々、いたずらっ子みたいな顔で毒づいて笑う。
そのお茶目さも含めて、彼らしかった。
だからだろうか。
男女も年齢も関係なく、彼の周りにはいつも自然と人が集まっていた。
就職や引っ越し、それぞれの生活が変わって、この10年ほどは年に一度会えるかどうか。
それでも、「またね」と言えば、また会えると思っていた。
でも、その「またね」は叶わなかった。
突然の病だった。
もうすぐお盆。
最後に「またね」と手を振ったのは、いつだっただろう。
会いたい。
ただ、それだけ。
物理的な姿はもうない。
それでも、私の中では確かに生きている。
ふと誰かの言葉や笑い方に、彼を思い出すことがある。
「あぁ、あの人なら、きっとこう言うんだろうな。」
そう思える人が、私にはいた。
今日は、そんな人が生きていたことを書いておきたかった。
