セリーヌ・エレナ氏のフレグランスセミナー(2017年)
こんにちは。
今回は、2017年5月18日(木)にパリで参加したセリーヌ・エレナ氏のセミナーのことを書こうと思います。
実はこの日は日本への帰国日。フライトの都合上、冒頭のわずか20分ほどしか参加できなかったのですが……それでも「行って本当に良かった!」と心から思える、とても濃密で贅沢な時間でした。
当時の記憶をたどりながら、あの頃のパリの空気感を伝える画像とともに皆さまへシェアさせていただきますね。
調香師 セリーヌ・エレナ氏とは
セリーヌ・エレナ氏は前回までの記事で取り上げたジャン=クロード・エレナ氏の娘としてグラースに生まれ、祖父、父、叔父はいずれも香水業界に携わっているという環境にて、幼い頃から自宅にある花やハーブの香り、そしてグラースの香水工場でさらにたくさんの香料に出逢います。
「私は、コストやマーケティングの制約に一切縛られることなく、可能な限り最高の香りを生み出すことを目標に、香りを調香しています。」セリーヌ・エレナ | 2004年。
大学で言語学と心理学を学んだ後、セリーヌ・エレナは父ジャン=クロード・エレナの真の継承者として、名門校ISIPCAに入学し、すぐに大手メゾンの調香師となりました。
この初期の経験を通じて、彼女は香りの世界を観察する好奇心と、情熱と生きる喜びに満ちた繊細な分析力を身につけ、それらは彼女のすべての作品に表れています。
※ The Different Company fr. HPより
セリーヌさんの代表作
このページで紹介されている香水はすべてセリーヌ・エレナ氏の作品です。彼女が手がけた《The Different Company》の作品の中でも、特に人気が高いのが2008年発表のシプレフローラルノート《 SUBLIME BALKISS | スブリーム バルキス 》。
ブランド公式HPにある、香水自身が語りかけてくるような紹介文がとてもお洒落なので、少しご紹介しますね。
「私は、生き生きとして現代的な香りを放つ香水です。アイルランドの雨の香り - 降り注いだばかりの清々しい香り、風が運ぶビロードのような香り、そして湿った荒野の下に広がる「炎の国」特有の、ほのかに甘いヘザー(エリカ)の香り - これらすべてが、私の調香師を魅了しました。
私は、2つのステージに現れるパチュリによって再構築されたモダンなシプレの香水です。1つめは、ダマスクローズが主役を務めるフローラルなハートを際立たせ、もう1つはベースのカカオパウダーと調和して、その深みのある温かな香りを引き立てます。トップノートは、フルーティーでエスペリディックな香りが、繊細なスミレの葉の遊び心あふれる余韻を支えています。
私は、世紀を超えて人々を魅了し続ける、神秘的で、魅惑的、捉えどころがなく、心を揺さぶるシバの女王そのものです。」
※ The Different Company fr. HPより

フラゴナール博物館のフレグランスセミナー
さて、グラース、そしてパリでもそうですが、タイミングが良ければ香水関連のイベントや、著名なパフューマーのセミナーに参加できる機会は結構あるものです。この日も「パリにいるならフラゴナールでセミナーがあるよ」と教えてくださる方がいました。
パリのフラゴナールとは、1993年にオペラ座の近くに開館したフラゴナール博物館。南仏グラースの老舗香水ブランド、フラゴナールの製品は全日空商事さんが輸入されて日本の百貨店でも取り扱っていた時期があったので、長年のファンの方も多いと思います。
そのフラゴナール博物館では月に一度、フレグランス関連のイベントを行なっていて、この年の春から初夏にかけては以下のセミナーが開催されました。
▪︎4月28日(金) 18:30 - 20:00
Jean-Marie Martin-Hattemberg氏 / 20世紀のヴィンテージ香水コレクター
による
"LORSQUE LE FLACON DE PARFUM DEVIENT ŒUVRE D’ART"
(香水瓶が芸術作品となる時)
▪︎5月18日(木)18:30 - 20:00
Céline Ellena氏 / 調香師
による
"REGARDER AVEC SON NEZ : LE MÉTIER D'UN PARFUMEUR"
(鼻で眺める:調香師の仕事)
▪︎6月15日(木)18:30 - 20:00
Hirac Gurden氏 / CNRS(フランス国立科学研究センター)神経科学者
による
"LES MYSTERES OLFACTIFS : UN VOYAGE EXTRAORDINAIRE AU CŒUR DE DE NOTRE CERVEAU"
(嗅覚の謎: 私たちの脳の奥深くへの驚くべき旅)
2016年から2019年まで継続されていたようですが、現在は開催していないようです。当時の登壇者やラインナップにご興味のある方はフラゴナール博物館の公式サイトをご覧くださいね。
まるでモデル!「颯爽」と現れたセリーヌさん
この日の会場はフラゴナールのセミナールーム。受付を済ませて開場を待ちます。

そこへ、まさに「颯爽」という表現が相応しくセリーヌ・エレナ氏が到着されました。出迎えたフラゴナールの女性も洗練されていてステキなのですが、それ以上におしゃれで、かつモデルのようなプロポーション。本当に美しいセリーヌさん。

スタッフの方に「どうぞ前の席へ」と勧めていただきましたが、フライトの時間を考え、恐縮しながら「20分ほどで退出してしまう」旨を伝え、最後列に着席しました。会場はほぼ満席で、いよいよセミナーが始まります。

香りで旅する『5月のある日のパリ散歩』
「皆さん、こんにちは。私はセリーヌ・エレナです。私の仕事は調香師です。今日は私の仕事についてお話し、調香師が香水を作る時の様子を皆さんに体験していただきたいと思います。」
「音楽家が音符で曲を作るように、画家が絵の具で絵を描くように、調香師は香料を使って香水という作品を創作します。そしてすべての芸術作品には表現したいテーマがあります。」
「今回のテーマは『ある日のパリ散歩』です。」「お散歩のスタートは18区。モンマルトル駅近くのサクレクール寺院です。そこから10区、2区、1区とパリを縦断しながら散策し、セーヌ川を渡って左岸の5区、サンミッシェル ノートルダム駅近くのカルチェ ラタンまで歩きましょう。」
セリーヌさんの言葉に導かれ、香りの散歩が始まります。
「まず、朝のサクレクール寺院を香りで描いてみましょう。寺院から感じられるのは朝のミサの香り。インセンスですね。」
「そして今は5月。花々がいちばん美しい時期です。」
と、お散歩中に感じられる香りの解説とともに、香料を賦香したムエットが配られます。

でも残念ながら私はここで時間切れ。それでも、美しいセリーヌさんやフラゴナールのスタッフの進行がとても勉強になり、日本に帰国後の講座の進め方に取り入れさせて頂きました。
2017年のこの時から比べると、日本での香水人気の盛り上がりとともに、海外で活躍する日本人の香水業界のプレイヤーも増えて、隔世の感があります。この辺りのことも、またいつかまとめられたら、と思っています。
