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40代から始める「持たない暮らし」。大喧嘩の末に見つけた、本当の豊かさとは?

西日が差し込む、少し古びた喫茶店。

コトコトと珈琲豆を挽く音が響く店内で、向かいに座る学生時代からの友人・アキラは、熱心にとある漫画を読みふけっていた。

アキラ:「ん〜〜っ、これこれ!やっぱり最高だなあ」
:「さっきから何読んでんの?」
アキラ:「『あおによし、それもよし』」
:「あー、どんな話やったっけ?」
アキラ:「奈良時代にタイムスリップしたミニマリストの話なんだけどさ。刺さるんだよ〜」
:「ミニマリスト? お前、『男は時計と車で語れ』っていっつも言うてたやん」
アキラ:「でもさ、何もない時代で『これでいいんだ』って言ってるの見てたら羨ましくなっちゃって。俺たち、毎日仕事追われてさ、家には使わないモノ溢れてて……『豊かになりたい』って頑張ってきたのに、なんでこんな息苦しいんだろ」
:「まあ……ちょっと分かるなぁ」
アキラ:「……なぁ、実はさ。昨日、家で事件が起きて本気で悩んでるんだよ」
:「事件? 何があったん?」
アキラ:「嫁ちゃんと『あるモノ』捨てる捨てないで大喧嘩。ぶっちゃけ、これからどう生きていけばいいのか心が迷子なんだよ!」
:「ちょー待てって! ほんまになにがあったんや……?」

人生の折り返し地点を迎えた私たちが、本当に手に入れるべき「真の豊かさ」とは何なのか。

アキラの身に起きた事件と、そこから見えてきた「持たない暮らし(ミニマリズム)」がもたらす心の余白について、少し深くお話ししようと思います。


1. 豊かさとは「増やすこと」ではなく「減らすこと」

私たちが目指すべき「真の豊かさ」とは、お金やモノをたくさん買い集めることではありません。

「自分にとって本当に大切なもの以外を、手放すこと」です。

モノや人間関係、そして「こうしなければならない」という思い込みを減らすことで、初めて心に「余白(ゆとり)」が生まれます。

その余白があってこそ、私たちは日々の小さな幸せをじっくり味わうことができるのです。

2. アキラの家に起きた「事件」とその顛末

アキラが悩んでいた「事件」の全貌は、こうでした。

アキラの家には、若い頃にローンを組んで買った高価な牛革のソファがありました。

今ではすっかり傷み、部屋の大部分を占領して圧迫感を出しています。

アキラ夫妻が新居にへ引っ越す際、引っ越し代をケチって、アキラと私の二人で重い思いして運んだ、ちょっとした思い出のソファでもあります。

漫画『あおによし、それもよし』に感化されたアキラは、奥さんにこう提案しました。

「このソファ、処分して部屋を広くしないか? モノを減らしてスッキリ暮らしたいんだ」

しかし、奥さんからの返答は予想外のものでした。

「何を今更言ってるの? あなたが『高級家具くらい家に置かないと格好がつかない』って言って無理して買ったんじゃない。それを急に処分するなんて身勝手よ!」

奥さんが怒っていたのは、ソファそのものに対してではありませんでした。

「自分の気分だけで身の回りをコントロールしようとするアキラの勝手さ」と、「過去の自分を簡単に否定するような姿勢」にショックを受けたのです。

結局、二人は大喧嘩。

アキラは「部屋をスッキリさせて心を楽にしたい」と思っていたのに、逆に奥さんとの間に大きな壁を作ってしまい、どうしたらいいか分からなくなってしまったのでした。

3. この出来事から得た「教訓」

アキラの話を聞いて、私は次の2つの大切なことに気づきました。

「持たない暮らし」は、カタチから入ると失敗する
単にモノを捨てれば幸せになれるわけではありません。

大切なのは「なぜそれを手放したいのか」という理由であり、家族と一緒に暮らしているなら、相手の気持ちにも「余白」を持って寄り添う必要があります。

私たちは「過去の栄光や見栄」を部屋に飾っている
アキラが執着していたのはソファではなく、「高価な家具を買える自分」という昔の見栄でした。

過去のプライドを手放すことで初めて、現在の自分を認められるようになります。

その後、アキラは奥さんに素直にこう謝ったそうです。

「見栄で買ったソファだったから、余計に執着していた。急に捨てるなんて言ってごめん。でも、これからは二人でゆったり過ごせる空間を作りたいんだ」

素直な気持ちを伝えたことで、奥さんも納得し、二人で話し合って新しい小さな椅子を置くことに決めたそうです。

ソファを処分したあとのリビングは驚くほど広く見え、夫婦の会話も自然と増えました。

4. 今日から試せる「3つのアクションプラン」

「真の豊かさ」と「心の余白」を手に入れるために、あなたが今日からすぐ試せる3つの行動を提案します。

どれも難しい専門知識は要りません。

① 「1日1つ」いらないものをゴミ箱に捨てる
いきなり大きな家具を捨てる必要はありません。

賞味期限の切れた調味料、使っていないボールペン、着なくなった服などを「1日1つ」だけ手放してみてください。

「自分で選んで減らした」という小さな成功体験が、心に余裕を生み出します。

② スマホを見ない「5分間のぼーっとする時間」を作る
現代人は、隙間時間にすぐスマホを見て情報を詰め込んでしまいます。

これでは心が休まりません。

1日に5分だけでいいので、スマホを置いて、外の景色を眺めたり、お茶の香りを楽しんだりしてください。

脳に「余白」を作る練習になります。

③ 「〜しなければならない」を1つやめてみる
「毎日完璧に掃除しなければならない」「誘われたら付き合わなければならない」という思い込みを1つ手放してみましょう。

「まあ、いいか」「それもよし」と受け入れることで、精神的な縛りがスッと解けていきます。

5. それも、よし。

数週間後。

再びあの喫茶店で、私はアキラと会っていた。

:「すまん、すまん、だいぶ待った?」
アキラ:「おせーよ。まぁ、漫画読んでたから気にしてないけど。」
:「おー、なんや今日はえらいスッキリした顔してるやん〜。あ、おねぇさん、ブレンドくださーい。」
アキラ:「おかげさまでね!例のあのソファ、処分したよ。部屋だけじゃなくて胸のつかえまで取れた感じ!」
:「マジか!奥さんとは大丈夫やったん?」
アキラ:「うん。今は何もない床で二人でストレッチするのが日課なんだ(笑)」
:「めっちゃ良かったやんー。夫婦の時間増えて、大成功な感じやーん」
アキラ:「本当にな。特別なんにもなくても『今日もお茶がうまいな〜』って思える。こういうのが豊かさなのかもな。……あおによし、それもよし、だろ?」
:「めっちゃ影響されてるやん」
店員さん:「お待たせしましたー、ブレンドです」
:「ありがとうー。せやけど……ほんま、……それでええんよなぁ」
アキラ:「いいんだよそれで。ってお前、砂糖、何杯入れるんだよ?入れ過ぎじゃね?」
:「えー、そぉ?」
アキラ:「これから一つづつ手放して行こうって話の流れ、ぶった斬るなよ。」
:「ええねんええねん、それもよしやで。」
アキラ:「そうか。そうだな。まぁいっかぁ」
:「…あっま!」

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