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lazy_planet
声の波が突き抜けた【500字エッセイ】
緑が見える。
低い1階建の、でも新しい雰囲気の建物。周囲は低い草木に囲まれ、人の気配はすれど、やかましさが一切なく心地のいい気配で満たされている。窓からは長閑な陽射しが白いシーツに栄養を届けていた。眩しそうに目を細める老女。横たわる母を前に、肚に響くような声音で話をしていたのが息子さんだった。
察するに、怒り、またはやるせなさの発露だった。
本気で発せられた声の波は、原子レベルで体中を突き抜けていく。細胞という細胞の首根っこを引っ掴んで残らず揺すり倒していく。電気信号のスピードで進む波に、共感の思考が追いつけるはずもなく、置いて行かれた心と思考の表面で、私はただ頷きを自動運転するニンゲンだった。
ドラマや映画、舞台の俳優さんからも同じ“声の波”を受け取ったことがある。だがなぜそんなことができるのか。演じる役と全く同じ状況を事前に体験できているはずはない。なのに・・・。
そうか。演技としてそれができることは、言葉の内容や背景・文脈に対してではなく演じることそのものについての本気がそうさせているのか・・・。
なんて、受け止めきれない私の脳は、迷わず思考を寄り道させた。
私にも同じ波が出せるだろうか。
そんな時が来て欲しいような、そんな状況ならば来てほしくないような。答えは出せぬまま、遠く小さな羨望の箱に閉じ込めて、未来の自分に預けた。
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