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味がぼんやりする日は何が起きているのか|食欲と感覚のつながりをやさしく見る


海外では、人を部分ではなく全体で見る「Whole Person Health」という考え方があります。

五感解析ラボは、その考え方を日常の悩みに落とし込み、心・身体・生活・環境をつなぎながら、今のあなたに合う道具を探す場所です。


昨日まで普通においしかったものが、

今日はなぜか、

少し味が薄く感じる。

いつもの味噌汁なのに、

「こんな味だったかな」

と思う。

いつも飲んでいるコーヒーなのに、

香りも味も、

どこか遠く感じる。

料理を作った人が同じでも、

使っている調味料が同じでも、

自分で作ったいつもの料理でも、

そういう日はあります。

そんなとき、

私たちはつい、

「味付けが薄かったかな」

と思います。

醤油を足す。

塩を足す。

ソースを足す。

あるいは、

何となく物足りなくて、

もう一品食べる。

甘いものを口にする。

濃い味のものが欲しくなる。

もちろん、

本当に料理の味付けが違っていることもあります。

けれど、

もう一つ見てみたいものがあります。

それは、

料理ではなく、今日の自分の側です。



味は、舌だけで感じているわけではありません

私たちは普段、

食べ物を口に入れて感じるものを、

まとめて「味」と呼んでいます。

甘い。

しょっぱい。

酸っぱい。

苦い。

うま味がある。

こうした味を舌で感じています。

けれど、

実際に私たちが「おいしい」と感じる体験は、

舌だけで作られているわけではありません。

食べ物の香り。

温度。

食感。

口の中での広がり方。

噛んだときの感覚。

そして、

食べ物を飲み込むまでの間に、

口から鼻へ抜けていく香り。

さまざまな情報が重なって、

一つの「味」として感じられています。

たとえば、

鼻が詰まっているとき。

風邪をひいたとき。

食事をしても、

「何だか味がしない」

と感じた経験がある人もいるでしょう。

舌では甘味や塩味を感じていても、

香りの情報が入りにくくなるだけで、

食べ物全体の印象はかなり変わります。

つまり、

「味がぼんやりする」という感覚は、舌だけの問題とは限らない。

ここが、

今日の話の最初のポイントです。

「味」は舌だけではなく、香りや温度、口の中の感覚など、
いくつもの情報が重なって生まれています。



同じ料理でも、「受け取る側」は毎日同じではありません

少し考えてみます。

同じ部屋にいても、

暑い日と寒い日では、

空気の感じ方が違います。

同じ音楽でも、

元気な日に聴くのと、

疲れている日に聴くのでは、

感じ方が違います。

誰かに肩を触れられることも、

安心している日なら心地よくても、

余裕のない日は、

少し負担に感じることがあります。

味覚も、

完全に独立した感覚ではありません。

私たちの身体は、

毎日まったく同じ状態ではないからです。

眠れている日。

寝不足の日。

よく動いた日。

ほとんど動かなかった日。

鼻の調子が良い日。

口の中が乾いている日。

気持ちに余裕がある日。

緊張が続いている日。

食事をゆっくり食べられる日。

何かをしながら、

急いで口へ運んでいる日。

食べ物が同じでも、

それを受け取る身体の条件は変わっています。

だから、

昨日と同じ味が、

今日もまったく同じように感じられるとは限りません。


「味が薄い」と感じたとき、私たちは味を足したくなる

ここで、

少し面白いことが起こります。

食べ物を口にした。

でも、

思ったほど「おいしい」が来ない。

すると、

もう少し何か欲しくなります。

醤油を足す。

七味を足す。

濃い味のおかずを追加する。

デザートを食べる。

甘い飲み物を飲む。

食後なのに、

何となく口寂しい。

もちろん、

これだけで食べ過ぎの理由を説明することはできません。

人が食べる理由は、

そんなに単純ではないからです。

空腹もあります。

習慣もあります。

楽しみもあります。

ストレスもあります。

「せっかく買ったから」

という理由もあれば、

「今日は頑張ったから」

という日もあります。

けれど、

一つの可能性として、

こんな見方もできます。

お腹が足りないのではなく、感覚として“満足が届いていない”ことはないだろうか。

という見方です。


「もっと食べたい」と「もっと味を感じたい」は、同じとは限りません

たとえば、

食事は十分に食べたはずなのに、

なぜか満足しない。

そんなとき、

私たちは、

「まだお腹が空いている」

と考えがちです。

けれど、

胃の空腹と、

口や脳が求めている感覚は、

必ずしも同じではありません。

もう少し甘いものが欲しい。

もう少しパリッとしたものが欲しい。

もう少し濃い味が欲しい。

もう少し香りの強いものが欲しい。

これは、

単純なカロリー不足とは別のところから起きている可能性もあります。

人は食事から、

栄養だけを受け取っているわけではありません。

香り。

温度。

食感。

音。

満足感。

安心感。

楽しさ。

「食べた」という区切り。

いろいろなものを一緒に受け取っています。

だから、

身体にエネルギーが入っていても、

感覚として物足りないと、

食事が終わった感じがしないことがあります。

ここを、

すぐに

「私は食欲が強すぎる」

と決めつけなくてもいいのです。「まだ食べたい」の中には、空腹だけではなく、もう少し味や刺激を感じたいという“感覚の物足りなさ”が混ざっていることもあります。

「まだ食べたい」の中には、空腹だけではなく、
もう少し味や刺激を感じたいという“感覚の物足りなさ”が混ざっていることもあります。

味がぼんやりする日は、食べる速さも見てみる

もう一つ、

簡単に確認できることがあります。

それは、

食べる速さです。

忙しい日。

スマートフォンを見ながら食べる日。

仕事の合間に食べる日。

考え事をしながら食べる日。

食事の時間は同じでも、

味を受け取っている時間は、

意外と短くなっています。

口に入れる。

噛む。

次を入れる。

飲み込む。

また入れる。

こうなると、

「味わう」というより、

食べ物を身体へ運ぶ作業に近くなることがあります。

食事が終わってから、

「あれ、何を食べたっけ」

と思うほどのこともあります。

こんな日は、

料理の味が弱いというより、

味を拾う余白が少なかった

とも考えられます。

だからといって、

毎食、

目を閉じて一口30回噛みましょう、

という話ではありません。

そんなルールを増やしたら、

今度は食事そのものが疲れてしまいます。

ただ、

「今日は全然味わっていなかったな」

と気づくだけでも、

見え方は少し変わります。


口の中の状態でも、食べ物の印象は変わります

口の中が乾いているときも、

食べ物の感じ方は変わります。

唾液は、

ただ口を潤しているだけではありません。

食べ物を口の中で広げ、

味の成分を感じるうえでも関わっています。

水分をあまり取っていなかった。

長時間しゃべっていた。

口呼吸になっていた。

緊張して口が乾いている。

こうしたことでも、

普段とは違う感覚になることがあります。

だから、

「今日は味がおかしい」

と思ったとき、

すぐに調味料を追加する前に、

水分を少し取ってみる。

口の中の乾きに気づく。

それだけで違いが分かることもあります。


鼻・口・舌・身体は、別々に働いているわけではない

五感を考えるとき、

私たちは、

視覚。

聴覚。

嗅覚。

味覚。

触覚。

と分けて考えます。

もちろん、

分けることで分かりやすくなります。

けれど、

実際の生活では、

これらはかなり混ざっています。

焼きたてのパンを見て、

香りを感じ、

表面のパリッとした感触を想像する。

湯気の立つ味噌汁を見て、

香りを感じ、

口へ運ぶ前から、

何となく身体が反応する。

食事という行為は、

かなりの「総合五感イベント」です。

だから、

味だけを取り出して、

「舌が正常かどうか」

だけを見るより、

今日は食べ物をどう受け取っているだろう

と少し広く見る。

五感解析ラボでは、

そんな見方を大切にしています。


ただし、「疲れているから」で全部片づけない

ここは大切なので、

少し立ち止まります。

味の感じ方が変わる理由は、

一つではありません。

鼻の状態。

口腔内の状態。

薬の影響。

加齢。

体調。

感染症。

栄養状態。

その他、

さまざまな原因が考えられます。

ですから、

五感解析ラボでは、

「味が変なのはストレスです」

「疲れている証拠です」

と決めつけません。

心や生活を見ることは大切ですが、

何でも心の問題へ持っていくことも、

何でも栄養不足へ持っていくことも、

同じように危ういと思っています。

たとえば、

「味覚には亜鉛が大切らしい」

という情報を見て、

すぐに大量のサプリメントを取る。

これも、

身体を見ることとは少し違います。

必要な人もいれば、

原因が別にある人もいます。

だから、

まず観察する。

そして、

続くなら相談する。

この順番でいいのだと思います。

味や香りの変化が急に起きた場合や、

長く続いている場合、

食事が取れないほど強い変化がある場合には、

医療機関へ相談することも大切です。


今日の五感チェック|いつもの味が違う日に見る5つのこと

味がぼんやりした日に、

すぐ答えを出す必要はありません。

こんなところを、

軽く確認してみてください。

① 鼻は通っていますか?

鼻づまりや鼻の違和感があると、

食べ物の香りを受け取りにくくなることがあります。

② 口の中は乾いていませんか?

水分不足や緊張、

口呼吸などで、

いつもより乾いていないでしょうか。

③ 食事を急いでいませんでしたか?

食べた時間ではなく、

「味を受け取る時間」が少なくなっていなかったでしょうか。

④ 最近、味付けの強いものが続いていませんか?

濃い味や強い刺激が続いたあと、

いつもの料理を物足りなく感じることもあります。

⑤ 味の変化は、一時的ですか?続いていますか?

一食だけなのか。

一日なのか。

何日も続いているのか。

ここは大事な違いです。


「味が足りない」と感じたら、調味料の前に一度だけ確認する

味が薄い。

だから、

醤油を足す。

もちろん、

それでいい日もあります。

料理は楽しく食べるものですから、

何でも我慢する必要はありません。

けれど、

毎回、

何かを足さないと満足できない。

以前より濃い味を求めるようになった。

食べ終わっても、

何となく「足りない」が続く。

そんなときは、

食べ物だけを見るのではなく、

一度だけ、

自分の側を確認してみてもいいかもしれません。

今日は疲れていたかな。

鼻はどうかな。

口は乾いていないかな。

ちゃんと味わっていたかな。

何かを考えながら、

ほとんど無意識に食べていなかったかな。

こうして見ると、

「食欲」という一言でまとめていたものの中に、

いろいろな感覚が隠れていることがあります。


物足りなさは、意志の弱さとは限らない

食べすぎた。

甘いものを食べた。

濃い味が欲しくなった。

そんな自分を見ると、

人はすぐ、

「また我慢できなかった」

と評価してしまいます。

でも、

評価する前に、

観察してみる。

私は本当にお腹が空いていたのか。

それとも、何かをもっと感じたかったのか。

この二つを分けてみるだけでも、

食欲との付き合い方は少し変わります。

答えが分からなくても構いません。

「分からないけど、今日はいつもと違った」

それも、

立派な観察です。

五感を見るというのは、

何でも原因を当てることではありません。

自分の中に起きている変化を、

乱暴に一つの言葉へ押し込めないこと。

それも、

大切な使い方だと思います。


味覚は、身体から届く小さな便りでもあります

毎日、

食事をしていると、

味を感じることは当たり前になっていきます。

でも、

その「当たり前」は、

毎日まったく同じではありません。

昨日は濃く感じた。

今日はちょうどいい。

明日は少し薄く感じるかもしれない。

料理が変わったのかもしれません。

身体が変わったのかもしれません。

両方かもしれません。

だから、

味が少し違う日に、

すぐ正解を決めなくてもいいのです。

調味料を足す前に、

ほんの数秒、

自分へ向いてみる。

今日の私は、どんな状態でこの味を受け取っているのだろう。

それだけで、

いつもの食事が、

小さな身体観察の時間に変わります。

味覚は、

料理を採点するためだけの感覚ではありません。

今日の身体が、

世界をどんなふうに受け取っているのか。

その小さな変化を教えてくれる、

入口の一つでもあります。


五感解析ラボでは、

心だけ、

身体だけ、

食事だけ、

という見方をしません。

眠り。

疲労。

食事。

人との距離。

音。

光。

匂い。

触れ方。

そして、

今日取り上げた「味」。

それぞれを別々の問題として切り離すのではなく、

今の自分の中で、何がどうつながっているのか

を見ていきます。

誰かにとって役に立った方法が、

そのまま自分にも合うとは限りません。

一つの方法を正解にするのではなく、

いくつもの道具の中から、

今の自分に使えそうなものを探してみる。

五感解析ラボは、

そのための「道具箱」のような場所でありたいと思っています。

※本記事は、味覚の変化について診断・治療を行うものではありません。味や香りの変化が急に起きた場合、長期間続く場合、食事や日常生活に支障がある場合、その他気になる症状がある場合は、医療機関へご相談ください。

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