世界は今日もバグる〜メルヘンなおじさんと3匹〜
🌀 世界は今日も素敵にバグる
— 全文箱入り、
にゃんにゃんを振ると、
声が先に飛び出してブレた。
「なんだ?」が未来・過去・現在に分裂し、
尻尾は三つ子になって揺れ続ける。
半分消えたわんわんは、
白濁していく牧羊犬に吸着したまま、
声を二重に重ねて見せている。
一枚は光に近づき、
もう一枚は影の層に沈む。
牧羊犬はめーめーのほわほわ、
ほわいとを吸い込み、
毛先が形を溶かしながら、
ゆっくり白濁していく。
境界が薄まり、
ジィジィジィと声が混ざりながら、
影が、
こっそり未来へスキップしていく。
にゃんにゃんの、
ブレは世界の顔の周りを爪を立てて、
わんわんの、
読み込みミスは心拍だけがズレていく、
牧羊犬の白濁は光へにじんでいける。
三者はもう分離できない、
境界は溶け、
存在は混ざり、
意味は二重化し、
世界は読み込みミスのまま進んでいく。

【エッセイ】
〜メルヘンなおじさんと3匹〜
世界は今日も素敵にバグる最近、妙な詩を書いてしまった。
タイトルは「世界は今日も素敵にバグる」
にゃんにゃんを振ると声が先に飛び出してブレて、尻尾が三つ子になって、半分消えたわんわんが白濁した牧羊犬に吸着したまま、めーめーがいて、声を二重に重ねていく……というような内容だ。
読んでくれた人の多くが、最初にこう思ったらしい。
「これ、女の子が書いたんでしょ?」正直、その反応が一番面白かった。
実際に書いたのは、薄毛に悩み始めているおっさんの私だ。
まだ髪はちゃんと残っている。
でも、鏡を見るたびに「そろそろまずいかもな」と思い始めている年齢でもある。
普通に想像される「こんな詩を書く人」のイメージとは、やっぱりかなりかけ離れている。
そのズレ自体が、なんだかこの詩の続きみたいに感じられてしまう。
声がブレて、境界が薄まって、意味が二重になっていく世界。
読み込みミスのまま、それでも今日も進んでいく世界。
どうやら私自身も、その「読み込みミス」の一部になってしまったらしい。
詩の中では、「にゃんにゃん」と「わんわん」と「めーめー」が、もう分離できないところまで混ざり合っていく。
光に近づくものと、影に沈むものと、白濁していくものが、境界を失っていく。
書いていて気づいたのは、これが単なるファンタジーではなかったということだ。
四十を過ぎて、薄毛を気にしながら暮らしていると、自分の中にもいくつかの「層」があるのがわかってくる。
若い頃の感覚がまだ残っている層。
もう諦めてしまった層。
そして、今もなんとか現在を動かそうとしている層。それらがきれいに分かれているわけではなくて、時々勝手に混ざったり、ずれたりする。
声が二重に聞こえるような瞬間がある。
「自分はまだ若い」という感覚と、「もうおっさんだ」という感覚が、同時に立ち上がってくる。
そのとき、頭の中で小さな読み込みミスが起きている。詩に出てくる「尻尾が三つ子になる」感じに近い。
一本だったはずのものが、いつの間にか複数に分かれて、それぞれが違う方向に揺れ始める。
でも、不思議なことに、それで世界が止まるわけではない。
むしろ、バグったまま、素敵に進んでいく。私がこの詩を書いたのも、たぶんそういうことなんだと思う。
女の子が書きそうなふわふわした世界を、薄毛に悩むおっさんが書いてしまった。
その時点ですでに、十分にバグっている。人生がブレブレのおっさんにも、ちゃんと「素敵な一面」がある。
鏡の前で薄毛を気にしながら、ふと「まだ間に合うかもしれない」と思ってしまう瞬間。
もう遅いとわかりながらも、若い頃に書きかけたままの感覚を、今さらのように拾い上げてしまう瞬間。
そのとき、私の中で小さな声が二重になる。「こんな年齢で何をやってるんだ」という声と、
「それでも書いてみようよ」という声が、同時に聞こえてくる。普通なら、どちらかを消して、きれいに一つにまとめたくなる。
でも、消さない。
ブレたまま、重ねたまま、置いておく。
すると、不思議なことに、そのブレブレした状態のほうが、少しだけ優しく見えることがある。
女の子が書きそうな詩を、薄毛に悩むおっさんが書いてしまったこと。
そのズレ自体が、なんだか愛おしくなってくる。完璧に整合の取れた人生じゃなくていい。
読み込みミスのまま、声が二重になったまま、今日もなんとか進んでいく。そんなブレブレしたおっさんの、
不格好で、少し遅れ気味で、
それでも諦めきれずに手を伸ばしている一面に、
もし誰かがほんの少しだけ、枕を濡らしてくれることがあったら。
それだけで、このバグった世界は、十分に素敵だと思える。
これで完成形です。
「世界は素敵にハグる」
【Verse 1】
声が先に飛び出してブレた
「なんだ?」未来・過去・現在に分けていく
尻尾は三つ子になって
ブレブレになってるね
【Verse 2】
半分消えたワンワンは
白濁していく 牧羊犬に吸着したまま
声が二重に重なるままに
【Chorus】
境界が薄まり
ジィジィジィと声が混ざりながら
意味は二つに丸ごと重なる
世界は読み込みミスのまま進んでいる
密かにバグり始める
【Verse 3】
メーメーのほわほわホワイトが空気を漂白し
シロクスル、煙をお尻から出しながら
雲の散歩は、巻き戻され
風は未来から吹いて
声は過去へ逃げ込んでるね
【Chorus】
境界が薄まり
ジィジィジィと声がこんがらがる
意味は二重になる
世界は、
読み込みミスのまま、
進んでいく気づいたらバグってるね
【Bridge】
毛先が遊びながら
形を溶かしながら
時間の層を一拍ずつずらす
三匹は もう別れられない
できないよね
【Outro】
世界は、今日も素敵にバズりだす
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございます🐕