演歌の番組は、BSでしかやらないですね?
演歌の番組はBSでしかやらないね
テレビを見ていると、「最近、演歌の番組を見かけなくなった」と感じる人は多いだろう。かつては地上波のゴールデンタイムで演歌歌手が歌い、歌謡番組が毎週のように放送されていた。しかし現在、演歌や歌謡曲のレギュラー番組の多くはBS放送へ移っている。
代表的な番組としては、人生、歌があるや、新・BS日本のうたなどがある。特に「人生、歌がある」はBS朝日の看板音楽番組として長年放送され、往年の名曲や演歌を中心に多くの視聴者を集めている。
昔は地上波が演歌の中心だった
昭和から平成初期にかけて、演歌は日本の音楽文化の中心の一つだった。
大みそかにはNHK紅白歌合戦があり、歌番組では演歌歌手が必ず登場した。
美空ひばり、北島三郎、石川さゆり、五木ひろしなどの名前を知らない人はほとんどいなかった。
当時のテレビはチャンネル数が少なく、家族全員が同じ番組を見る時代だった。そのため幅広い年代に支持される演歌は、地上波にとって重要なコンテンツだったのである。
なぜ地上波から消えたのか
演歌が地上波から減った最大の理由は視聴者層の変化である。
民放各局は広告収入によって成り立っている。広告主は商品を買う可能性の高い世代を重視するため、若年層や現役世代の視聴率を求める傾向が強い。
一方で演歌ファンの中心は高齢層である。
もちろん高齢者も重要な視聴者だが、スポンサーが求める層とは必ずしも一致しない。そのため民放の地上波では、演歌番組よりもバラエティー番組やドラマ、情報番組が優先されるようになった。
また音楽の多様化も大きい。
昭和時代には全国民が同じ歌を聴く傾向があったが、現在はJ-POP、K-POP、アニメソング、ロック、ヒップホップ、ボーカロイドなど音楽の選択肢が非常に増えた。
結果として、演歌だけで視聴率を確保することが難しくなったのである。
BS放送との相性が良い
一方でBS放送は地上波とは事情が異なる。
BSは全国放送でありながら、地上波ほど高い視聴率競争にさらされない。
そのため特定のファン層に向けた番組作りがしやすい。
演歌ファンは熱心な視聴者が多く、長時間番組でも最後まで見る傾向がある。そのためBS局にとって演歌番組は安定した人気コンテンツとなっている。
実際に「人生、歌がある」は2013年から続く長寿番組であり、現在も毎週放送されている。
さらにBSの演歌番組では、地上波では難しいフルコーラス歌唱や特集企画が組まれることも多い。
演歌ファンにとってはむしろ恵まれた時代
「演歌の番組はBSでしかやらない」というと、少し寂しい印象を受けるかもしれない。
しかし見方を変えれば、演歌ファンにとっては恵まれた環境とも言える。
地上波の音楽番組では1曲だけ歌って終わることが多いが、BSの演歌番組では歌手の特集が組まれ、ヒット曲や名曲をじっくり楽しめる。
例えば「人生、歌がある」では、石川さゆりや神野美伽などの特集回が放送されている。
また、橋幸夫のような大御所歌手を特集した再放送も行われており、演歌文化の継承という役割も果たしている。
これからの演歌番組
今後も地上波で演歌番組が大幅に増える可能性は高くないだろう。
しかし演歌そのものが消えるわけではない。
BS放送に加え、インターネット配信やYouTubeなど、新しい視聴方法も増えている。
演歌は日本人の情感や人生経験を歌う音楽であり、一定の支持層が存在し続ける限り、その文化は受け継がれていくはずだ。
「演歌の番組はBSでしかやらないね」という言葉には、テレビ業界の変化と視聴者層の変化が凝縮されている。しかしBSには今も多くの演歌ファンが集まり、名曲は歌い継がれている。地上波から舞台を移しただけで、演歌の灯は決して消えてはいないのである。
