『手綱を離すな』と言われた結果、、、
以前、サファリで働いていた頃の話を書いた。
そこでは、本当にたくさんの経験をした。
ストップウォッチ先輩のこと。
大型動物に足を踏まれて、骨折したこと。
そして今回の話も、今では笑って話せるけれど、当時は身体を張った出来事だった。
私がサファリで働きたかった理由。
それは、檻の中ではなく、広い場所で暮らす動物たちのお世話がしたかったから。
できるだけ近い距離で、動物たちと向き合いたかった。
もちろん、動物は可愛いだけではない。
命ある相手だからこそ、時には人間の想像を超える力を見せてくる。
配属先によって担当する動物は変わる。
その中で、私は少し個性的なカピバラさんとも出会った。
みなさん、カピバラと聞くと、おっとりしたイメージを持つのではないだろうか?
でも、この子は違った。
数頭いる中で、その一頭だけが、他の飼育員さんにも同じような態度を取っていた。
まるで、
「今ならいける」
そんなタイミングを狙っているようだった。
そして、突進が成功すると……
「してやったり😎」
と言わんばかりの顔をする。
先輩たちからは、こう言われていた。
『掃除をする時は、絶対に背中を向けるなよ』
私は気をつけていた。
本当に気をつけていた。
でも……
一瞬の隙をつかれた。
「しまった!」
そう思った時には遅かった。
後ろから突進され、私は前方へ吹っ飛んだ。
飛ばされた先は……
汚れた藁や排泄物が集められた場所。
しかも、口を開けていた。
もう、お分かりだろう。
オエーーーーーッ。
顔は悲惨な状態。
そして私は、人生でなかなか経験しないものを味わった。
「カピバラの糞は美味しくない」
それを学んだ日だった🤣
その後はもちろん、さらに警戒するようになった。
「この野郎……」
と思ったのは言うまでもない。
でも、嫌いにはならなかった。
動物には、その子なりの性格がある。
それも含めて向き合うのが、飼育員の仕事だった。
そして、身体的な痛みで言えば……
カピバラ事件を超える出来事もあった。
ある日、珍しい種類の牛を担当していた。
園長から言われた。
『手綱を持っとけ!』
私は、
「分かった!よっしゃー!」
と意気込んだ。
若かった。
怖いもの知らずだった🤣
しかし、相手は大型動物。
私の想像を遥かに超えていた。
牛は走り出し、私はそのまま引きずられた。
数メートルなんてものではない。
止まらない。
止められない。
身体の前側は擦り傷だらけになり、皮も剥けた。
それでも、その時に思ったことは……
「クッソーーーーーッ!」
だった🤣
痛い。
怖い。
でも、悔しい。
完全に負けた気分だった。
最後は園長から、
『もう、離せ!』
と言われ、数名の男性飼育員さんたちが取り囲んで捕獲した。
今思えば、あの時の私は無茶だったと思う。
でも、あの頃は何もかもが新鮮だった。
また別の日。
大切に育てていた小さな鳥が、蛇に襲われた。
その鳥を特別大事にしていた私は、怒りが込み上げた。
「助けたい」
その気持ちだけだった。
今思えば、若さゆえの無我夢中だったと思う。
刺股の様なもので、吐き出させた。
園長に伝えると、
『おめーよー笑
怖いこと言うなよ。
腹が立つのは分かるけど、そいつも生きていかなきゃならねーんだよ』
そう言われた。
園長は口は悪かった。
でも、人情の人だった。
周りに流されず、自分の考えを持っている人だった。
私はそんな園長が好きだった。
当時は分からなかった。
ただ、その瞬間その瞬間を必死に生きていただけだった。
でも、年齢を重ねた今なら思う。
向こう見ずと大胆不敵は、時に周りを驚かせる。
そして、全力で向き合った時間は、後から大切な宝物になる。
もう一度サファリで働けるかと聞かれたら……
体力的に無理だし、人には簡単には勧めない🤣
でも、あの頃の私は、本当に楽しかった。
檻の中ではない場所で、動物たちと向き合った日々。
怪我もした。
痛い思いもした。
でも、それ以上に新鮮で、忘れられない時間だった。
