PC-98、TOWNS、そしてMSX連合 ― 高校時代のパソコン物語
1990年代初頭、私が工業高校情報科にいたころの思い出です。
工業高校情報科はパソコン戦国時代
当時、まだパソコンを持っている高校生は珍しかったのですが、工業高校情報科のクラスには10人ほどパソコンを持っている人がいました。高校入学のお祝いで買ってもらった人もいれば、私のように中学のころからお小遣いやお年玉をためて買った人もいます。私は中学3年のときにMSX2+を買いました。
クラスの勢力図はこんな感じです。
PC-88/98派 … 2〜3人
X68000 … 1人(孤高)
FM TOWNS派 … 1人(孤高)
MSX派 … 6人(うち私だけがMSX2+)
MSX、多いですよね。理由は、「安いから」に他ならないと思うんですが、これだけ人数が多いと「MSX連合」が自然発生しました。ただMSXを持っている者同士というだけで勝手に仲良くなり、休み時間には自然と集まっていました。弱い者同士が集まる感じですかね。
性能より夢!MSXの魅力
MSXは他のパソコンに比べれば、性能は見劣りします。でも「夢だけは一番見させてくれるパソコン」だったと思います。
その当時発売されるパソコンゲームは、PC-98版やPC-88版がまず発売され、MSX版は後回し、もしくは発売されないことも多かったです。エメラルドドラゴン、BURAI、ソーサリアン、エロゲー達、他機種で発売され、雑誌で特集記事が組まれるゲームが、MSXではなかなか発売されず、明らかに1段下、という現実をまざまざと見せつけられてはいました。
しかし、MSXには、コナミとコンパイルという、MSX版のゲームだけを発売してくれる、私たちに夢を見させてくれる魅力的な会社もあり、それが心の支えでした。
「おまえらPC-98は、ウシャスも魔導物語も遊べないけど、MSXは遊べるから」
MファンとMマガ
そして、MSXには、MSXユーザーのためだけの、面白い雑誌が発売されていました。それが「MSX・FAN」(以下、Mファン)です。私はこの雑誌を毎月欠かさず買っていました。
他の機種用の雑誌としては、「ログイン」とか「コンプティーク」とかあったみたいですが、それらの雑誌はゲーム紹介が多く、中でもエロゲーが幅を利かせていて、袋とじまであったりする軟派さ。Mファンは違います。
Mファンはゲームの紹介記事は少なく(MSXで発売されるゲーム自体が少ないですから)代わりに投稿プログラムのコーナーや投稿音楽のコーナーが充実していました。
Mファンさえあれば、私は次の発売日までの1か月間、MSXで十分遊ぶことができました。Mファンのゲーム紹介記事をみて、そのゲームを遊んだ気になり、投稿プログラムコーナーのプログラムや音楽を打ち込んで遊んでいました。
特に、プログラムを打ち込むのにすごい時間がかかるので、それで1か月間遊べたんですね。
「今日はここまでプログラムを打ち込んで、続きは明日にしよう、完成が楽しみ」
プログラムを打ち込むのは、苦労というより、本当に楽しみでした。
打ち込んだゲームで、特に印象に残っているゲームは
たこの海岸物語シリーズ
体操人間マットマン
グレイコリアーグ
本当にすごいゲーム達でした。たこの海岸の物語シリーズは高校生が作っているというのを知った時は衝撃でした。
MSXの雑誌として、もう一つ、MAXマガジンというものもあり、こちらは自分にはあまり合わなくて、立ち読みして面白かった時だけ買っていました。
私が持っていたゲーム
クラスのパソコン勢力図で重要なのは「性能」よりも「人数」でした。
仲間が多ければ、ゲームの貸し借りで遊べるタイトルも倍増します。
FM-TOWNSの人は悲惨で、「ラストハルマゲドン」を一人寂しく遊ぶくらいしか、やることが無かったみたいです。
これがMSX連合の最大の強みでした。
高校3年間で私が買ったゲームを、思い出せる範囲で書いてみます。
F1スピリット(コナミ)
F1スピリット3Dスペシャル(コナミ)
ウシャス(コナミ)
スナッチャー(コナミ)
スペースマンボウ(コナミ)
アンデッドライン(T&Eソフト)
ワンダラーズフロムイース(日本ファルコム)
魔導物語(コンパイル)
吉田建設(Mマガ?)
エメラルドドラゴン(グローディア?)
XZR II(日本テレネット)
こうしてみると、「F1スピリット3Dスペシャル」と「エメラルドドラゴン」は置いておいて、他は全体的にかなりいいラインナップを持っていたと思います。特にスナッチャーとスペースマンボウは最強の札で、これさえあれば、友達のどんなソフトとも貸し借りができました。
やっぱり魅力的なMSX
今でもネット上には、MSXに強いこだわりを持ち続けているおっさんがたくさんいます。やっぱりMSXは、それだけ楽しかったんですよ。私にとっても、高校時代を彩ってくれた特別な存在でした。
でも、MSXのせいで――。
私はソフトウェア開発の道に進みました。絶対MSXが関係あると思っています。もし別のパソコンを買っていたら、もしくはパソコンを買っていなかったら、もう少し「まともな」生き方をしていたかもしれません。
後悔はしていませんけどね。
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