【随想】映画『シラート』オリベル・ラシェ
すごかった。
なんなんだこれは。
久々の感覚。
懐かしさもある。
映画で退屈で眠くなるなんて、久しぶり。
もう序盤はほとんどウトウトしていて
記憶があいまい。
かろうじて起きているのに必死だった。
何が起きているかもあまり分かっておらず
登場人物の印象もあまり残らず
ただただ雄大な景色に
壮大な電子音楽が鳴り響く。
音楽がなければ
見ていられないような
特に何も起こらない時間が続く。
もしかしてこのまま
何も終わらないまま
終わってしまうのか。
もしかして
それがこの作品が絶賛されている理由なのか。
そんな風に思いながらも
ある地点で急に
急転直下。
前半の退屈さとは比べ物にならないほどの
緊張の連続となる。
なるほど。
この展開も予期していた。
これだけネタばれ禁止が叫ばれ
結末は絶対に他言無用と言われている作品。
もはやその言及自体がネタばれだ。
絶対に何かある。
もうそれに怯えながら後半はずっと見続けていた。
なるべく
目を薄めにして
耳も塞ぎながら。
怖くて怖くてしかたなかった。
こうなることは分かってはいたが
ホラー映画を観る時と同じで
来るぞ来るぞと思っている時が一番怖い。
それなら最初から見なければいいのだが
ここまでネタばれ禁止と煽られると
見たくなってしまうのが人間の性。
まあ
結局怖いのは苦手だ。
緊張と緩和で物語が作られるのも
そりゃあ目が離せなくなるに決まっているので
面白いのか分からない。
刺激物だ。
ただシラートは
異質であった。
まずいったいどういう世界観なのか。
どの時代のどの場所でどういう文化なのか。
謎が多い。
タルコフスキーを見ているような気持ちにもなる。
ブニュエルを見ているような気持ちになる。
それともホドロフスキーか。
いやフェリーニだろうか。
砂煙。
風。
断崖。
水。
服。
車。
物質がこれでもかと脳裏に焼きつく。
音楽は
画に対して強すぎるように感じた。
こういうジャンルの音楽なのだろうが
前半は画に対して浮いている。
というより直接的すぎて分かりやすすぎるのかもしれない。
こんな説明的でよいのか。
最後まで音楽は説明的であった。
ダンスは素晴らしかった。
これぞダンス。
リズムがバチッとはまり
気持ちよさの極地である。
これぞ映画である。
あらすじを読んでも何も楽しくない。
切り抜きで見ても何も楽しくない。
そもそも楽しいものではない。
突きつけるものである。
ふと
今年のTHE SECOND 漫才トーナメントの決勝
金属バットの漫才が思いだされる。
よく似ている。
漫才のネタの半分以上を
笑いのないフリに使い
笑いの代わりに
緊張を与え続ける。
それは笑いが緊張と緩和であり
ためればためるほど
緩和の瞬間の笑いが爆発する。
しかし
ここまで緊張感をためる漫才というのを
他に見たことがない。
シラートにも同じことが言えるかもしれない。
決しておすすめできる映画ではないが
見るのであれば覚悟して見てほしい。
