些細などうしようもない日だ
些細なことだ。
早朝から嘘泣きを交えつつ構ってアピールする娘がいた。
自分の準備だけ早々に済ませた夫がいた。
せっかく作った朝ごはんを食べる時間がなかった。
どこの家庭もだいたいそうだろうが、我が家ももれなく平日の朝は戦場だ。
出発の時間がもうすぐだというのに支度が終わらず、ひとりであっちこっちと動いていた。私と娘たちとで時間感覚に温度差があるのは、いつものこと。
お弁当を袋に入れて、化粧して、あぁ保育園の連絡帳も書かなきゃ……と焦っていたところに、「なっとう、ごはんにかけてよ〜」とのんびりした娘の声が響く。夫に対応してほしい。が、さっきまで娘の隣で朝ごはんを食べていた夫は消えている。
「自分でやって!」
そう返した瞬間、
「やだーー!!!」
3倍の熱量で返ってきた。
あぁやってしまった。
たった一言で、娘の機嫌が飛んでいってしまった。
とはいえ、反省している時間もない。本当のタイムリミットまであと5分。ここを過ぎたら遅刻まっしぐらだ。
「あぁもう!時間ないのに!」
と叫びながら娘のそばへ向かったそのタイミングで夫が現れ、「そんな言い方するなら俺がやる」そう言って私の立ち位置をさらっと奪っていく。
────言い方ァ!!
私の熱量も一気に上がるが、言い合いをしている暇はない。
どうぞご勝手に!という気持ちで足音だけ立派に荒くしながら残りの支度を済ませ、食べ損ねた自分の朝ごはんを前に「冷蔵庫に入れといて!」と言い放ち、そのまま家を出た。
会社へ向かう間中、頭の中で散々文句を垂れ流し、仕事が始まり、この文章を書いている今、ようやく熱量が少し下がってきている。
文字にしてしまえば、些細なことだ。
びっくりするくらい、くだらないことだ。
原因だって、「時間にゆとりがなかった」それだけだ。
いや、それだけじゃないか。
今日の爆発は、昨日の、この1週間の、もっと前から積もっていた小さな不満が、ちょうど今日あふれただけなのだと、自分でもわかっている。
ならば普通はここで、気づきとか、反省とか、そういうきれいな締め方をするのだろう。
まぁ、しないけど。
とりあえず帰ったら、娘とハグをしよう。
夫のことは、そのあと考える。
日々は続くのだから。
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