『植物×アート』の次回予告|サージェントを知っていますか?
こんにちは。ラブリープランツの管理人です。
突然ですが、皆さんは「ジョン・シンガー・サージェント」という名前の画家を知っていますか?
次回の『植物×アート』では、サージェントの絵画を特集します。
「えーー。知らないなぁ…」「モネとかルノワールとか、知っている画家をやってくれよーー!」
「知ってるけど、サージェントって、肖像画ばかり描く地味な画家でしょ?」
うんうん。分かります。皆さんの心の声はしっかり届いています。
でも、安心してください。
サージェントには、『植物×アート』というテーマにぴったりの絵画が一枚だけあるんです。
それが、次回取り上げる《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》というタイトルの絵画です。

どうですか、皆さん!素敵な作品でしょ?
これは、夕暮れの庭で白いドレスを着た少女たちが、日本の提灯に火を灯す瞬間を描いた作品です。
「マジックアワー」と呼ばれる日没間近の魔法のような時間。その幻想的な世界をサージェントは描きました。
ピンクのバラが少女たちを囲み、足元には赤や黄色のカーネーションが咲いています。そして、画面上部に咲き誇る大きなユリの花は、実は日本原産のヤマユリです。
「提灯?ヤマユリ?」「そもそもサージェントってどこの国の画家なの?」
それは、ちょっとややこしいのです…
まず、サージェントの両親はアメリカ人なのですが、サージェント自身は1856年にイタリアのフィレンツェで生まれました。だから、サージェントはフィレンツェ生まれのアメリカ人なんですね。
そして、1870年代のパリで本格的に画業を始めます。この時期に印象派の画家たちと仲良くなって、モネの家に遊びに行ったりしてました。

もう一度《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》を見てください。白いドレスに落ちる紫色の影の描き方は、明らかに印象派の影響を受けていることが分かります。
そして、サージェントは、パリのサロンで「マダムX事件」と呼ばれるスキャンダルを起こします。これが原因で絵の仕事を失ったサージェントは、再起をかけてイギリスに渡り、《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》を描いたのです。
ですから、《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》は、イングリッシュ・ガーデンを描いた作品で、提灯やヤマユリは当時のヨーロッパで流行していた「ジャポニスム(日本趣味)」によるものです。
サージェントの《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》は、日本ではあまり知られていませんが、海外では非常に人気がある作品です。エンヤの「On My Way Home(1996年)」のMVで絵画の世界観が実写で再現されています。
《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》を実写化したシーンは、動画の2:30~2:55あたりです。
そして、《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》という三種の花の名前を並べた不思議なタイトルは、18世紀の作曲家ジョゼフ・マッツィンギによる楽曲「花かざりの輪(The Wreath)」の歌詞の一節から取られています。この曲はサージェントが絵を制作していた1880年代にリバイバルとして流行していました。
この動画は当時流行していた「花かざりの輪(The Wreath)」を再現したものです。サージェントの《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》を子供たちに説明するために、5人の教師たちが歌を披露しています。歌のシーンは動画の3:55からです。
YouTubeで「花かざりの輪(The Wreath)」の音源はこれだけなので、とても貴重な動画です。ここでも学習のためにお借りしました。
🌸 次回予告:【植物×アート】#10 サージェントの花々と永遠の夕暮れ

今回の予告記事はいかがだったでしょうか?
サージェントの《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》を覚えていただけたでしょうか?
この作品を紹介している海外の記事はたくさんあるのですが、日本で詳しく解説している記事はあまり見かけません。ですから、日本語で書かれたこの記事や次回作は貴重な情報源になると思います。
2026年5月1日公開予定の『【植物×アート】#10 サージェントの花々と永遠の夕暮れ』では、《カーネーション、リリー、リリー、ローズ》の植物学やモネとの交流など、サージェントの魅力をたっぷりお届けします。お楽しみに。
━━この記事を書いた人━━
植物の情報サイト『ラブリープランツ』及び、noteブログ『lovely plants@note』の管理人。美大卒・学芸員資格保有者が【植物×アート】をテーマに、植物の魅力を新たな視点から読み解く物語をお届けします。
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