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S&P500だけでも分散投資になっているはずなのに、なぜ債券や金まで持つ必要があると言われるのか。そもそも「分散」とは何を分散することなのか。

【注意】この記事は、特定の金融商品や資産配分を勧めるものではありません。分散投資について疑問に思った30代会社員が、公開情報を調べて自分の考えを整理した記録です。

インデックスファンドで、もう分散できていると思っていた

投資を始めたときに見たのは、「S&P500などに連動するインデックスファンドを買っておけば、複数の会社へまとめて投資できる」という説明だった。

1社だけの株を買うのとは違い、たくさんの企業へ投資できる。それなら、これで分散投資になっていると思っていた。

ところが、投資の動画や記事を見ていると、今度は別の話が出てくる。

「株だけではなく債券も持った方がいい」
「金も組み合わせた方がいい」
「資産ごとに割合を決めてポートフォリオを組むべきだ」

ここで分からなくなった。

S&P500で複数企業へ投資しているのに、まだ分散が足りないのだろうか。

さらに、株が下がったときに債券や金が上がるように組むのなら、結局はプラスとマイナスが打ち消し合うだけではないかとも思った。

そもそも、分散投資とは何を分散することなのか。そこから調べてみた。

「分散」は、何を分けるかで意味が変わる

調べて最初に分かったのは、分散投資は一種類ではないということだった。

大きく分けると、次のような分散がある。

・銘柄や業種を分ける
・国や地域、通貨を分ける
・株式、債券、金など資産の種類を分ける
・一度に買わず、購入時期を分ける

金融庁は、国内・海外、株式・債券・不動産など、値動きが異なる複数の資産へ分散することで、価格変動をある程度抑え、安定的な運用を目指せると説明している。

つまり、「分散できているか」は、はい・いいえだけでは決められない。

どの範囲で、何のリスクを分散しているのかを見ないといけなかった。

S&P500は分散されている。でも、すべてを分散しているわけではない

S&P Dow Jones Indicesによると、S&P500は米国の主要企業500社で構成され、米国株式市場の投資可能な時価総額のおよそ80%をカバーしている。

その意味では、1社や数社だけを持つよりも、銘柄や業種は大きく分散されている。

ただし、S&P500は米国大型株の指数であり、構成銘柄を同じ割合で持つ仕組みでもない。時価総額の大きな会社ほど指数への影響が大きい。

そのため、S&P500を持つ状態は、次のように整理できる。

・個別企業への集中は薄められている
・複数の業種へ投資できている
・一方で、資産の種類は株式に集中している
・地域は米国を中心としている
・株式市場全体が下がるリスクまでは消えない

S&P500も分散投資ではある。ただし、「米国大型株の中での分散」だった。

ここが、債券や金を組み合わせる話との違いだった。

債券や金を加えるのは、別のリスクを減らすため

株式インデックスへ債券や金を加えるのは、S&P500の銘柄数が少ないからではない。

目的は、株式市場全体が下がる局面や、資産全体の値動きが大きくなりすぎるリスクを弱めることにある。

GPIFは、値動きが異なる資産を組み合わせると、各資産のリターンを平均しただけの場合より、資産全体のブレを小さくできる可能性があると説明している。

ここで大事なのは、片方が下がったら、もう片方が同じだけ上がる必要はないということだ。

たとえば、株式が大きく下がったときに、債券や金の下落が小さいだけでも、株式100%より資産全体の下落は小さくなる。

分散の目的は、毎回プラスとマイナスを完全に相殺してゼロにすることではない。

増える可能性を残しながら、資産全体が一方向へ大きく動く影響を和らげることだった。

ただし、債券や金も必ず守ってくれるわけではない

一方で、「株が下がれば債券や金が必ず上がる」と考えるのも違った。

国際決済銀行(BIS)は、インフレ環境によって株式と債券の値動きの関係が変わり、2021年半ば以降は米国株式と国債のリターンの相関がプラスへ転じたと分析している。インフレや金利上昇の局面では、株式と債券が同時に下がることもある。

金にも、利息や配当はない。価格も大きく動く。

2026年8月に公表されたGPIF職員のワーキングペーパーでは、分析期間において、金は外国債券を除く伝統的資産と長期にわたり相関が低く、株式市場の急落時にも独自の下落耐性が見られたと報告されている。

ただし、この資料はGPIF職員個人の研究で、組織の見解ではなく、結果は改定される可能性がある。将来の金価格を予測するものでもないと明記されている。

つまり、債券や金には分散の役割が期待できるが、いつでも確実に株式の損失を埋める保険ではない。

「25%ずつ」は、全員に共通する正解ではない

資産を25%ずつに分ける例を見ると、それが分散投資の基本形のように感じてしまう。

しかし、配分は分散の定義ではなく、ある目的へ合わせた設計だった。

たとえばGPIFは、2025年4月から、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式をそれぞれ25%とする基本ポートフォリオを採用している。

ただし、これは公的年金が必要な利回りを、できるだけ小さいリスクで確保するという運用目標から決められたものだ。個人が老後資金を積み立てる場合の万能な比率ではない。

米国証券取引委員会の投資家向けサイトInvestor.govも、すべての目標に共通する資産配分はないとしている。運用期間や値下がりへの耐性によっては、若い人が老後へ向けて株式だけで運用することも、条件次第で合理的になり得ると説明している。

結局、先に決めるべきなのは割合ではなかった。

・いつ使うお金なのか
・どこまでの下落に耐えられるのか
・資産の増加と値動きの安定のどちらを優先するのか
・途中で売らなければならない可能性があるか

こうした条件があって、その後に配分が決まる。

自分に戻すと、今は株式インデックス中心が合いそうだった

自分の場合、投資しているお金は、今のところ老後まで使わない前提で考えている。

株式市場が下がり、元の水準へ戻るまで数年かかったとしても、保有と積み立てを続けるつもりでもいる。

また、値動きが大きいこと自体を望んでいるわけではないが、下落を小さくすることより、長期的な成長期待を優先したいという感覚がある。

この条件なら、株式インデックスを中心にする考え方は、自分の目的と矛盾していないと思った。

調べる前は、「インデックスファンドだけで十分なはず」と、分散の意味を一つにまとめて考えていた。

調べた後は、少し言い方が変わった。

S&P500だけでも銘柄の分散はできる。ただし、株式という資産への集中は残る。それを理解したうえで、今の自分は成長期待を優先して株式中心を選ぶ。

少なくとも、分散という言葉だけを理由に、債券や金を必ず追加しなければならないとは思わなくなった。

ただし、「歴史的に戻ってきたから、今後も必ず戻る」とは言えない。Investor.govは過去の実績が将来を予測するものではないと注意しており、FINRAも株式は長期保有すれば安全になるわけではないとしている。

だから必要なのは、「どうせ戻る」と思い込むことではなく、回復時期が読めなくても保有を続けられる資金なのか、自分の生活条件が変わっても耐えられるのかを確認することだと思う。

分散は、資産の数を増やすことではなかった

今回調べて分かったのは、分散投資とは、いろいろな商品をたくさん買うことではないということだった。

同じような値動きをする商品を増やしても、守れるリスクはあまり変わらない。反対に、資産を増やしすぎれば、何を目的に持っているのか分からなくなることもある。

分散とは、自分が避けたいリスクを決め、その影響を一つの資産へ集中させないための手段だった。

S&P500だけで十分か、債券や金も必要かという問いに、全員共通の答えはない。

今の自分にとっては、株式インデックス中心という選択を続ける理由が、以前よりはっきりした。

ただし、それは「完全に分散できているから」ではない。

どこへ集中しているのかを理解したうえで、今の目的にはその集中を受け入れられると考えたからだ。


参考情報

・金融庁|資産形成の基本:NISA特設ウェブサイト
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/invest/

・S&P Dow Jones Indices|S&P 500
https://www.spglobal.com/spdji/en/indices/equity/sp-500/

・Investor.gov|Beginners’ Guide to Asset Allocation, Diversification, and Rebalancing
https://www.investor.gov/additional-resources/general-resources/publications-research/info-sheets/beginners-guide-asset

・GPIF|分散投資の意義③ 卵を一つのかごに盛るな
https://www.gpif.go.jp/gpif/diversification3.html

・GPIF|基本ポートフォリオの考え方
https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html

・BIS|The correlation of equity and bond returns
https://www.bis.org/publications/correlation-equity-and-bond-returns

・GPIFワーキングペーパー|金価格のダイナミクスとインフレ感応度の実証分析
https://www.gpif.go.jp/investment/20260826_workingpaper.pdf

・Investor.gov|Investor Bulletin: Performance Claims
https://www.investor.gov/introduction-investing/general-resources/news-alerts/alerts-bulletins/investor-bulletins-47

・FINRA|Risk
https://www.finra.org/investors/investing/investing-basics/risk

確認日:2026年8月30日

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