『アイスクリーム・パーラー』英雄になって何になる。
1985年(オランダ)The Ice-Cream Parlour
1941年2月ドイツのオランダ占領軍はまだ襲撃や追放は行われておらず表面上、平静であったがアムステルダムは動揺していた。ナチスの同調者はユダヤ人をののしり始め、ある者はナチ派に、ある者は反ナチ派へと別れていった。
この街でアイスクリーム・パーラー(アイス屋)を営んでいるオットー
(ジェラール・トーレン)は、ドイツでの迫害から逃れてアムステルダムにやってきたユダヤ人の男性だ。





冷酷な戦争の時代にあっても、彼の店だけは冷たくて甘いアイスクリームを求める人々で賑わい、ひとときの平和を感じられるオアシスのような場所なのだ。
しかし、オランダ国内のファシスト(親ナチス派のゴロツキたち)が店を荒らし始め、反発した若者たちが店を拠点にレジスタンス(抵抗運動)を組織するようになった。


平和主義で争いを好まないオットーは、事態が大きくなることを恐れていたのであるが・・。
店は否応なしに抵抗運動の過激な渦の中心地となってしまった。


さらに、オットーの愛する恋人の女性トルディ(レネ・ソーテンダイク)が、オットーを「臆病者」だと失望し、あろうことかドイツ軍の将校グスタフ(ブルーノ・ガンツ)と惹かれ合ってしまうという、残酷な三角関係に発展していった。


この映画の特筆すべきところは、「アイスクリーム屋」という、誰もが笑顔になる最も平和な場所が、戦争によってじわじわと破壊されていく恐怖と悲しさにある。
ただ普通に、美味しいアイスクリームを作って人々を喜ばせたいだけだった男が、抗えない時代の濁流に呑まれていく姿を、カメラはどこまでも静かに見つめ続ける。
のちに『ヒトラー 〜最期の12日間〜』でヒトラー役を怪演することになるブルーノ・ガンツが、今作ではドイツ軍の将校を演じているが、単なる記号としての悪のナチスではなく、教養があり、時に孤独や葛藤を抱えた一人の人間として描かれているのが見事であり、だからこそオットーの恋人であるトルディが彼に惹かれてしまうことに・・。
店内に響く子どもたちの笑い声や、アイスをすくう音。
それが、外から聞こえる軍靴の足音や銃声によってかき消されていく演出は、観ていて非常に胸が締め付けられるのであるが、だんだん色濃くなっていく立場の違いが物語の悲劇性をよりいっそう引き立ててしまう。
なお、本作は1980年のロッド・スタイガー主演の『ラッキー・スター』とも同じ1940年代初頭のドイツ軍占領下のアムステルダムが舞台のため、非常に雰囲気の似た背景があり、どちらも「ほとんど銃撃戦の無い戦争映画」でありながら、戦争が人間の絆やささやかな幸せをいかに容赦なく引き裂くのかを、これ以上ない説得力で教えてくれる作品だと思う。
どちらも、ほろ苦く、一度観たら一生心に残り続けるであろう、まさに隠れた名作と呼ぶにふさわしい珠玉の1本だ。


かつて私が任された地域の老舗の極小レンタルビデオ店の生命線はこういった大型店舗が目もくれなかった作品たちと、いつも入り浸ってた男女4人の顧客だった。
当時は学生だったけどほぼ毎日見た作品の感想などを大学ノートに書き綴った。
ネットなんて無いから大デタラメもあったと思うけど、あっても一緒か・・。相当かさ張るから1冊だけ残して破棄をした。
当時の「スクリーン」や「ロードショー」等の切り抜きの他‥たぶん書きかけのノート「VOL・56」56冊目が最後なんだと思うが‥。
ソコからの1本、1本をご紹介してきましたが、これが最後のページ‥。
「アントニエッタ」や「マルホランド・ラン」「オニオンフィールド」等も‥。
これで56冊目も破棄できる。余計な事も沢山書いてるから・・。
記憶って‥残酷だなって思う。凄く美化してるんだね・・苦しむためにあるんだろう。

奇しくも、この作品のアイスクリーム屋ように、温もりのあった地域の老舗が地方の大型店舗に飲み込まれていったのが何とも哀しい。
けどね‥やっちまった‥🐱✨ こんど記事にするかも・・📼💞✨

