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白銀比にお熱

今回は折り紙の構造についての話です。
普段こんなことばかり考えています。

構造至上主義者の悩み

20年も折り紙をやっていると、ただ形が作れるだけだと満足できなくなる。ここ数年、構造として蛇腹はもちろんのこと、22.5度とか整数比較度系とかもやり尽くされた感があってつまらないなと意識的に避けていた。では何をやっているかと言えば、15度(√3系)をメインに創作しているのだが、これがなかなか楽しくて飽きずに15度ばかり弄っているこの頃である。最近、これに加えて、白銀比も今後使っていきたいと思った。どちらも蛇腹構造や√2系との接続性が高いのでうまく使えると気持ちがいい。√3系についてはまたいずれ。

白銀比再評価

白銀比とは1:√2の長方形である。A4サイズに代表されるように世にありふれた比率であるとともに、折り紙をやっている者にとっては見ない日はないと言っても過言ではないくらいの頻出図形だ。そんな白銀比の性質をいままで存分に活かすことができていなかったのでは?と気づいた 。普通白銀比が登場するのは22.5度(√2系)の構造のときで、とても相性が良くこれは結構みんな馴染みがあると思う。でも22.5度に囚われないことでこの比率のポテンシャルをもっと引き出せるのではないかと気づいた。それは対角線の√3の長さを活かすことだ。

蛇の鱗と幅変換

というのも去年の年始ころに干支の折り紙を折ろうと蛇をモチーフに創作していたのだが、どうにもつまらない構造になってしまい放置していた。神谷さんの龍神に代表されるように、鱗のある構造をつくるとき、まずは等間隔の蛇腹を幅変換して1:2の幅に階段状にずらすのが定石になっている。この幅変換の方法はいろいろあって、龍神のように45度のみで構成するパターン(図1)や3:4:5のピタゴラス三角形を用いるパターン(図2)などが考えつく。

図1
図2

最初はピタゴラス三角形を用いたパターンで構成していたのだが、どうにも紙効率が満足いかなかったり、整数比に拘束されて山谷の整合性を取るのに気を遣うのが美しくなかったりして投げ出してしまった。

そんなこんなで1年くらい放置していたのだが、最近ふと思いついた別パターンに突如白銀比が出現したのだ。これがなかなかおもしろくて即採用することにした。そもそもの話、等間隔の蛇腹から幅変換して階段状にずらす構造を考えるとき、もとの等間隔の蛇腹は必ずしも格子点に乗っている必要はなく、線が斜めでもいい。よくあるパターンとしては今井さんのトンボに使われているような斜め45度の蛇腹からの幅変換(図3)がある。

図3

これは幅変換後の階段の比率が1:3+2√2(図4)になる。

図4

この幅では扱いにくいので、同じ構造を変形して幅変換後の比率が1:2になるようにしたい。そこで幅変換部分に使われている直角三角形の長辺を対角から引いた垂線で分割した比率が1:2になるように相似を用いて計算すると1:√2(白銀比!)の直角三角形が現れた(図5)。

図5

これを用いて幅変換を行うと非常に紙効率がいいことがわかるだろう(図6)。

図6

ここで現れる斜めの蛇腹の角度は、計算すると1:2√2の長方形の対角線の角度であることがわかる。つまり白銀比の長方形を縦に半分にした長方形の対角線である。思いついた当初の予想より随分単純な比率だったので割と使いやすそうだと思った。これはおもしろい構造が作れそう。

どう組み込む?

ただ単純と言っても無理数が含まれてるのでそのまま蛇腹に組み込むことができない。正方形の全体構造に組み込むにはまた別のテクニックが必要になる。
これについてはまた蛇が完成したら展開図(図7)とともにBOOTHで解説を販売予定である。

図7
チラ見せ

おわりに

こんなマニアックな話に興味持っていただいた稀有な方は完成をお楽しみに。おもしろい構造になってると思います。
BOOTHぜんぜん更新してないのに今もちょくちょく過去作の展開図買ってくださる方がいて本当にありがたいです。

今後もこういったtips的な記事も書いていこうと思っています。もし気に入っていただければいいねしていただけると励みになります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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