心が軽くなる人は何を手放しているのだろう
― 出来事を変えるより受け取り方を少し緩めてみる
『未来は創られる― 意図が現実を動かす“小さな実践”の物語 ―』 Vol.105
第五章 ― 本来の自分を生きるということ ―
同じ出来事に出会っても、
なぜか軽やかに受け止める人がいます。
嫌なことがないわけではない。
悩まないわけでもない。
落ち込むことがないわけでもない。
それでも、
いつまでも出来事に引っ張られず、
少しずつ自分の心を戻していく。
そんな人を見ると、
どうしてあんなふうにいられるのだろう
と思うことがあります。
もしかすると、
心が軽くなる人は、
何か特別なものを持っているのではなく、
知らないうちに握りしめていたものを、
少しずつ手放しているのかもしれません。
心を重くしているのは出来事だけではない
私たちは、
嫌な出来事があると、
その出来事そのものに苦しんでいると思います。
でも実際には、
出来事にくっつけた意味によって、
心が重くなることがあります。
あの人に冷たくされた。
だから私は大切にされていない。
うまくいかなかった。
だから私はやっぱりダメなんだ。
返事が来ない。
だから嫌われたのかもしれない。
出来事は一つでも、
そこにどんな意味を乗せるかで、
心の重さは変わります。
心が軽くなる人は、
出来事をなかったことにしているのではありません。
ただ、
自分を苦しめる意味づけを、
少しずつ緩めているのです。
同じ出来事でも重さが変わる時
自分:
あの人の一言が、ずっと気になってるんだよね。
心の声:
心の中で再生回数が伸びてるね。
自分:
勝手にリピートされてる。
心の声:
しかも高音質。
自分:
そこは低音質でいい…。
心の声:
でも、その言葉そのものより、
その言葉にどんな意味をつけたかが重いのかも。
自分:
意味?
心の声:
私は否定されたって受け取ったのか、
相手も余裕がなかったのかもと見るのか。
自分:
同じ言葉でも、少し違って見えるね。
心の声:
出来事は変えられなくても、
受け取り方には少し余白を作れるんだよ。

手放すとは忘れることではない
ここは、
とても大切なところです。
手放すという言葉を聞くと、
忘れること。
気にしないこと。
何も感じなくなること。
そんなふうに思うかもしれません。
でも、
本当の意味で手放すとは、
無理に忘れることではありません。
傷ついたことを、
なかったことにすることでもありません。
ただ、
その出来事に、
自分の価値まで預けないことです。
うまくいかなかった日があっても、
自分の価値がなくなるわけではありません。
誰かに分かってもらえなかったとしても、
自分の感覚まで間違っていたことにはなりません。
出来事と自分の価値を、
少しずつ切り離していく。
その時、
心は静かに軽くなっていきます。
心が軽い人は鈍感なのではない
心が軽く見える人を見て、
あの人は気にしない性格なんだ
と思うことがあります。
でも本当は、
何も感じていないわけではないのだと思います。
感じている。
傷つくこともある。
迷うこともある。
それでも、
その出来事を、
自分の全部にしない。
一つの出来事は、
人生のすべてではない。
一つの反応は、
自分の価値を決めるものではない。
そうやって、
心の置き場所を少しずつ変えている。
心が軽くなるとは、
鈍感になることではなく、
自分を必要以上に責め続けないことなのです。
置き場所を変えてみる
自分:
心が軽い人って、
何も気にしてないのかな。
心の声:
それはちょっと違うかも。
自分:
違うの?
心の声:
重い荷物を持ってないんじゃなくて、
ずっと手に持ち続けないだけ。
自分:
あぁ、置くんだ。
心の声:
うん。
一回は感じる。
でも、全部背負わない。
自分:
それ、できたら楽だね。
心の声:
最初は、心の荷物置き場を作る感じでいい。
自分:
心の荷物置き場?
心の声:
これは今すぐ背負わなくてもいいって、
そっと置く場所。
自分:
なるほど。
手放すって、投げ捨てることじゃないんだね。

小さな実践で受け取り方を緩めてみる
もしよければ、
今日は一つだけ、
最近心に残っている出来事を思い出してみてください。
そして、
こう問いかけてみるのです。
私はこの出来事に、どんな意味をつけているだろう
責められた。
否定された。
失敗した。
大切にされなかった。
そんな意味をつけていることに気づくかもしれません。
気づくだけで大丈夫です。
無理に前向きに変えなくてもいい。
ただ、
他の見方もあるかもしれない
と、少しだけ心に余白を作ってみる。
その小さな余白が、
心を軽くしていく入口になります。
私たちは、
出来事に振り回されているようでいて、
実はその出来事に与えた意味に、
心を動かされていることがあります。
そんな時におすすめしたい一冊があります。
反応しない練習
目の前の出来事にすぐ反応するのではなく、
一度立ち止まり、
自分の心を静かに見つめる大切さを教えてくれる一冊です。
出来事を変える前に、
受け取り方を少し緩めてみる。
そんな視点を持ちたい時に、
そっと寄り添ってくれる本です。
まとめ ー 心が軽くなる人は意味づけを緩めている
心が軽くなる人は、
悩みがない人ではありません。
傷つかない人でもありません。
ただ、
出来事に自分の価値まで預けない人なのだと思います。
嫌なことがあった。
うまくいかなかった。
誰かに分かってもらえなかった。
それでも、
それだけで自分のすべてを決めない。
その出来事に乗せていた意味を、
少しずつ緩めていく。
それが、
心を軽くしていく一つの在り方です。
本来の自分を生きるとは、
何も感じなくなることではありません。
感じながらも、
自分を必要以上に重くしない選択を、
少しずつ覚えていくことなのかもしれません。
次回は、
心が静かに整う人は何を見ているのだろう
同じ毎日の中でも、
心が乱れやすい時と、
静かに整っていく時があります。
出来事が大きく変わったわけではないのに、
なぜか受け取り方が変わる。
その違いは、
どこを見ているかにあるのかもしれません。
心が静かに整う人の視点を、
やさしく見つめていきます。
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