忙しかった、という言い訳を使う人は信頼されない
信頼喪失
仕事が遅れたから、信頼を失うわけではない。
「忙しかったので、できませんでした」
この一言で、説明を終わらせるから信頼を失う。
仕事をしていれば、予定外の依頼は入る。
顧客から急な連絡が来ることもあれば、トラブルで一日の予定が崩れることもある。
忙しいこと自体は、珍しいことではない。
問題は、
約束を守れなかった理由を「忙しかった」という状況だけで処理することだ。
資料が届かなかった金曜日
経営会議で使用する資料を、金曜日までに提出してほしいと依頼したことがある。
ところが、金曜日になっても資料は届かなかった。
確認すると、返ってきたのはこの言葉だった。
「今週は会議と顧客対応が重なって、忙しかったんです」
本人は、できなかった事情を説明したつもりだったのだと思う。
だが、こちらが知りたかったのは、今週どれだけ忙しかったかではない。
資料が間に合わないと、いつ分かったのか。 その時点で、なぜ共有しなかったのか。
会議と顧客対応と資料作成を、どのような優先順位で処理したのか。
そして、期限を守るためにどのような相談をしたのか。
知りたかったのは、そこだった。
水曜日の時点で遅れると分かっていたなら、対応はいくつもあった。
資料の範囲を狭めることもできた。
別の人に一部を依頼することもできた。
会議の議題を変更し、不足部分を翌週に回すこともできた。
だが、金曜日まで何も報告がなかったことで、その選択肢はすべて消えた。
本人は、一つの資料を遅らせただけだと思っていたかもしれない。
実際には、周囲が対応を選ぶ時間まで失わせていた。
信頼が下がった理由は、資料が遅れたことではない。
遅れると分かっていながら黙り、何も選べない状態で結果だけを渡したことだった。
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「忙しかった」は原因ではない
忙しかったことは、当時の状況でしかない。
原因ではない。
原因を分解すれば、別のものが見えてくる。
優先順位を決めなかった。
仕事を抱えたまま相談しなかった。
不要な仕事を断らなかった。
期限に間に合わない可能性を認めたくなかった。
「忙しかった」で説明を終えると、こうした判断の問題が見えなくなる。
問題が見えなければ、次も変わらない
次に会議と顧客対応が重なったときも、
同じように仕事を抱え、期限直前まで黙り、
最後に「忙しかった」と説明する。
だから、重要な仕事を任せづらくなる。
失敗した人が信頼されなくなるのではない。
失敗を分解せず、再び起こる状態のままにする人が信頼されなくなる。
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信頼される人は、周囲の選択肢を守る
では、あの資料について、水曜日の時点で次のように報告されていたらどうだっただろう。
・A案件の顧客対応を優先しているため、このままでは金曜日までに資料全体を完成できません。
・木曜日までであれば、意思決定に必要な部分を先に提出できます。
・全項目を金曜日までにそろえる必要がある場合は、一部を別の方にお願いしたいです。
この報告があれば、こちらは判断できた。
資料の範囲を狭めるのか。
他の人を入れるのか。
顧客対応と資料作成の優先順位を変えるのか。
信頼される人は、何でも一人で処理できる人ではない。
自分の処理能力を超える前に状況を共有し、相手が判断できる状態をつくれる人だ。
仕事が遅れる可能性は、誰にでもある。
その可能性を早く伝えるか、
期限を過ぎてから事情を説明するかは、
その人自身が選べる。
忙しさをなくすことはできなくても、
忙しい中でどのように報告し、
何を優先し、
何を諦めるかは管理できる。
忙しさを理由にすると、責任が消える
「忙しかったので、できませんでした」
この言葉には、主語がない。
自分が何を選び、何を選ばなかったのかが語られていない。
仕事が多かった。
会議が入った。
依頼が重なった。
すべて、自分の外側で起きたこととして説明されている。
だが、本当に振り返るべきなのは、環境ではない。
なぜ、その仕事を引き受けたのか。
なぜ、早く相談しなかったのか。
なぜ、優先順位を確認しなかったのか。
なぜ、間に合わないと分かったあとも黙っていたのか。
ここまで言葉にできて、初めて再発を防げる。
例えば、同じ失敗のあとでも、
「顧客対応を優先した判断自体は間違っていませんでした。
ただ、資料が遅れると分かった水曜日に共有しなかったことは私のミスです。
次回からは、期限に影響する可能性が出た時点で報告します」
と説明されたら、受け取り方は変わる。
失敗を認め、自分が変える部分を明確にしているからだ。
信頼とは、常に期限を守ることだけではない。
予定が崩れたときにも、相手が次の判断をできる状態を維持することだ。
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明日から確認すること
仕事が期限に間に合わなかったときは、
「忙しかった」
と説明する前に三つ確認してほしい。
・遅れる可能性が分かったのは、いつだったか。
・その時点で、誰に何を伝えたか。
・次に同じ状況になったら、何を変えるのか。
この三つに答えられないなら、忙しさが原因なのではない。
優先順位、報告、相談のどこかに問題がある。
あの金曜日の資料も、水曜日の時点で一言あれば、結果は違っていた。
資料が完成していなくても、会議を守ることはできた。
だが、何も伝えなかったことで、資料だけでなく周囲の予定まで崩れた。
この記事で残したいことは、ひとつです。
信頼される人は、忙しくない人ではない。
忙しいときほど、相手の選択肢を残せる人である。
ここまでは、個人の報告と判断の問題として書いた。
一方で、会社全体がいつも「忙しくて進まない」状態なら、個人の時間管理だけでは解決しない。
人が足りないのか。
時間の配分が悪いのか。
会議や承認が仕事を止めているのか。
何をやめるべきなのか。
経営資源の不足ではなく、順番・配分・接続から会社を見直す方法を、こちらの記事にまとめています。
『資源は持つな。構造にしろ|会社が重い時、最初に切るべきものと5資源の再設計』
あなたの周りにも、「忙しかった」という言葉で説明を終わらせる人はいないでしょうか。
同じ違和感を持ったことがあれば、スキやコメントで教えてください。
仕事や経営の現場で、信頼が失われる構造を今後も書いていきます。
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