もし明日、あなたの家に赤紙が来たらどうする?私たちはメモを書き、買い物に行く。
服は平和の象徴だと思われている。ショーを見て、写真を撮り、服を買う。
そこに戦争を結びつける人は少ない。
だから今回、戦争で実際に配られた「赤紙(召集令状)」をモチーフにした。
赤紙は、人を戦場へ向かわせるための紙だった。一枚の紙が、人生を変え、日常を奪い、
命の行き先まで決めてしまう。
その力を持った紙を、あえてファッションの広告として再構築した。服と戦争。
遠く離れているようで、本当にそうなのだろうか。
私たちが着る服は世界中で作られている。その背景には、紛争地域で採れる資源、搾取される労働、
そして今も続く戦争が存在している。
ファッションは決して、戦争から切り離された文化ではない。
見えなくなっているだけだ。
だからMAD SCIENTISTは、最も戦争を象徴する紙を借りて、最も戦争から遠いと思われている場所へ置いた。
この広告には、余白いっぱいに手書きのメモが残されている。普通なら、
「戦争を軽視しているのか。」
そう思われるかもしれない。
だが、このメモは違う。
僕にとって、戦争そのものは価値がない。
人が人を殺し合う理由も、命に優劣をつける思想も、理解する価値すら感じない。
だから赤紙は、神聖な歴史資料ではなく、メモ用紙にしてしまう程度の存在として扱った。
崇拝もしない。美化もしない。恐れもしない。
ただ、「意味を失わせる」。
それがこの作品に込めた反戦の形である。
この召集令状が命じるのは、戦場への集合ではない。
思考への召集である。服を着る前に、その服がどこから来たのか。何の上に成り立っているのか。
そして、ファッションは本当に戦争と無関係なのか。
その問いに向き合うこと。
MAD SCIENTISTは、服を作るブランドではない。常識を実験する研究所である。
この一枚の赤紙は、あなたを戦場へ送るためのものではない。
固定観念の最前線へ送り出すための召集令状である。
