職長になるまで四年、一人前と呼べるまで九年
四年。
型枠大工が、職長をやれるようになるまで、うちでは大体これくらいかかる。
でも、それで一人前じゃない。
そこから職長として五年ほど現場を経験して、やっと一人前と呼べるようになる。
四年足す五年、大体九年だ。
今のままの働き方だと、この九年が、もっと延びる。
土曜と祝日、現場ができなくなった、働き方が変わったんだから当たり前のことだし、それは分かってる。
でも単純な問題がひとつ出てくる、現場に出る日数が減れば覚える速度もそのまま落ちるし、
一年、二年、平気で延びる、これは仕方がないで済ませられる話じゃない。
もうひとつ、
今年は別の現実もあった、物価高で仕事の量が薄くなって、
以前ほど現場が詰まっていない分、
時間に空きが出てきた。
だったら、この空いた時間を育成に使おう、そう決めた。
型枠の技術には順番がある、
締め方、
墨出しと敷き残し、
ダメ周り、
建て込み、
拾い出し、
この五つを一段ずつ積み上げていくのが、
これまでの王道だった。
締め方ができてから墨出しに進む、一段抜かしはしない、それが職長になるまでの一番確実な道だった。
確実な道は、確実な分だけ時間がかかる、
だから道の作り方自体を変えるしかないと思った。
最初にやったのは、
得意なところを先に伸ばすやり方だ、
直近2,3年で
一人ひとりに好きなところ、
得意そうなところをヒアリングして、
本人だけじゃなく周りにも聞く。
そこを見つけて、まずそこを最大まで伸ばす、
得意なところで自信をつけてから、横に広げていく。
正しいやり方に思えたし、実際、悪くなかった、
得意なところがある人は、
そこで一気に伸びる。
でも、これだけでは足りなかった。
現場の仕事は、
締め方、墨出しと敷き残し、ダメ周り、建て込み、拾い出し、
この五つのジャンルしかない、
得意なところを聞いていくと、
当然、被る人が出てくる、
締め方が得意な人ばかり増えて、ダメ周りをやる人が足りない、ということが起きてきた。
一人ひとりの成長と、チーム全体で工程が揃うことは、別の問題だった、
個人を伸ばせば伸ばすほどいいと思っていたけど、そうじゃなかった。
今年から、勉強会を始めた、
現場の実務時間だけでは足りない分を、
別の場所で補うことにした。
拾い出しは、本来なら五番目に覚えるものだけど、勉強会でダメ周りや建て込みと並行して教えるようにして、この勉強会は職長が担当している。
建て込みも、原寸トレーニング場という場所を使って、墨出しやダメ周りと並行して育てている。
一段ずつ積む階段じゃなく、
いくつかの段を同時に登らせる形にした、
土台になる部分はちゃんと固めた上で、
その上に何段も同時に積んでいく、
ピラミッド型というのが、
今のところ一番近い言い方だ。
これを運営してくれているのが、教育長と職長だ。
教育長は、
社長のわたしと十五年以上前からの付き合いがあって、教えるのがうまい人で、丁寧に、笑いながら教える、
当時、わたし自身もこの人にたくさん教えてもらった、優しい大先輩だ。
役割を分けるときに、教える力で選んだ、
現場を仕切る力と、教える力は、別の才能だと思っている。
細かい指示はしていない、
どのジャンルを、誰に、いつやらせるかは、それぞれに任せている。
それでも、今日はこれをやります、
と毎回報告が来る、頼んでいるわけじゃない、
でも必ず報告してくれるし、
正直、これが嬉しいかったりします。
実習生や、若手の日本人からも、夕方報告が来る、今日は敷き残しとレベルの見方を教わりました。
と、これも頼んでいないのに、自分から言いに来てくれる。
正直、最初は勉強会と原寸トレーニング場さえ作れば、あとは仕組みが回ると思っていた。
場所と機会を用意すれば、それで育成の問題は解決するはずとお思っていた。
でも、報告が自然に上がってくるのを見て、
これは違うと分かった。
制度として役割を分けただけなら、
報告なんて来ない、
教える側も教わる側も、
義務でやっていることに、
自分から報告しようとは思わない。
両方から届くのは、
教育長も職長も、ちゃんと信頼されていて、
教わることが嬉しいと思える場を作れているからだ。
仕組みを作ったのはわたしだけど、仕組みを動かしているのは人だ。
ここまで、
育成をどう効率化するかという話をしてきたけど、職長になれることが、ゴールじゃない。
型枠大工の本当の実力は、
職長になってからの現場で決まる、
どれだけの現場を経験して、
どれだけミスをして、
どれだけ改善するか、
それを五年、繰り返して、やっと一人前と呼べるようになってくる。
だとしたら、職長になるまでの四年は、短ければ短いほどいい。
一年でも半年でも早く職長になって、
一日でも多く、職長として現場に立つこと。
その日数の積み重ねが、一人前までの五年を、中身の濃いものにしていく。
勉強会も、原寸トレーニングも、教育長や職長が作ってくれている仕組みも、
全部、そこに向けての時間の作り方だった、
早く職長にすること自体が目的じゃない、
その先の、
職長としての現場経験を、
一日でも多く確保するためだ。
来週も、報告は届くはずだ、今日は何をやります。
今日は何を教わりました、
その一言一言が、
九年かかる長い道のりの、
最初の一歩だと思っている。
かたやん、べに子、あみの3人が、記事を読み終えたところ。
べに子「今日の記事、数字にびっくりしたとです。職長になるまで四年、一人前まで九年て」
かたやん「俺も読んで、育成の考え方が完全に変わったんだなと思った。得意分野を伸ばす、で終わりじゃなく、そこに落とし穴があったって正直に書いてるところがいい」
べに子「勉強会と原寸トレーニング場、並行して育てるってやつですね。階段を一段ずつじゃなくて、何段も同時に」
あみ「私も読んだんですけど、途中に出てきた『ダメ周り』って、社長さんが現場で怒られてる新人を、優しくフォローする係のことですよね?」
べに子「ダメ周り?」
あみ「はい。ダメ出しされた人の周りを回って、大丈夫だよって声かける係かなって」
かたやん「あみちゃん、それも違う(笑)ダメ周りってのは、型枠を組んだあと、コンクリートを流し込む前に、弱いところを補強して回る作業のことだ。立ち起こしとか、セパレーターが効いてないところの補強とか。人をフォローする係の話じゃない」
べに子「そうですそうです。打設の時、コンクリの重みで型枠が動いたり、出隅が開いたりしたら大変なことになるとです。だけん、チェーンやターンバックル、サポートを使って、そこを先に固めていくとですよ」
あみ「あ、そうなんですね……人へのフォローじゃなかった」
かたやん「お、あみちゃんも自分で気づけるようになってきたな」
あみ「はい!でも今日の記事読んで思ったんですけど、教育長さんも職長さんも、頼まれてないのに報告してくれるって話、あれ、ダメ周りの補強に似てるなって、勝手に思いました」
べに子「お、それはうまいこと言うとね」
あみ「言われてやってるんじゃなくて、後で崩れたら困るところを、自分から先に固めに行ってる感じ、というか」
かたやん「あみちゃん、成長したな。今のは的を射てる」
べに子「私も現場の様子もっと知りたくて、YouTube見てるとです。https://www.youtube.com/@kensetu ダメ周りの作業も映ってますよ」
あみ「見ます!Instagramのほうにも現場の写真あるんですよね」
かたやん「ある。https://www.instagram.com/mamitsuka_const/ 今日みたいな育成の話も、写真で伝わる部分があると思う」
べに子「会社の考え方は公式サイトにまとまっとうとです。https://www.mamituka.co.jp/ 育成の仕組みとか、もっと詳しく知りたい人は見てみてほしかとです」
あみ「まみ社長の考え方、もっと深く知りたいときは、まみナビでしたよね」
かたやん「そうだ。https://notebooklm.google.com/notebook/dae0f71d-e472-431f-9cd2-a28f0d9b8251 記事だけじゃ拾いきれない部分も、そこに詰まってる」
べに子「気になったことがあれば、LINE公式からも聞けますとよ。https://lin.ee/PHgidlL 」
あみ「今日の記事、九年っていう数字、ずっと頭に残りそうです」
かたやん「じゃあ、今日はこのへんにしておこう」
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