「サ終」の裏側で進む、スマホゲーム業界の淘汰
スマホでゲームをしていて、ある日突然「サービス終了のお知らせ」を見た経験はありませんか。
いわゆる「サ終」です。育てたキャラクターも、貯めたアイテムも、すべて水の泡になります。
正直なところ、「またか」と感じている人も多いのではないでしょうか。
実は今、このサ終が相次ぐ背景で、スマホゲームをつくる中小のデベロッパー(開発会社)の倒産が増えています。
新作を出しても当たらず、資金が尽きて開発を続けられなくなる。そうした会社が積み重なり、業界全体の「淘汰」が進んでいるのです。
ヒットに次ぐヒットを求められる厳しい世界の裏側が、数字となって表に出てきたともいえるでしょう。
スマホゲーム市場そのものは、今も多くの人が日常的に楽しむ大きな市場です。にもかかわらず、その内側では体力のない会社から静かに姿を消していく。
にぎわいの裏側で進む淘汰は、決して珍しい話ではなくなってきています。
ヒット一本に賭ける経営のこわさ
スマホゲーム業界の多くは、「一本の大ヒットで数年分の利益を稼ぐ」という構造を持っています。
逆にいえば、そのヒットが出なければ収入はゼロに近づきます。開発費は数千万円から数億円かかることも珍しくありません。
たとえば、ラーメン屋さんが看板メニュー一本だけで勝負しているところを思い浮かべてみてください。
その一杯が飽きられてしまえば、お店ごと立ち行かなくなってしまいます。
複数のメニュー(タイトル)を抱えていれば、ひとつがふるわなくても別の商品で持ちこたえられます。
しかし体力のない中小デベロッパーには、それがなかなかできません。
新作を一本出すたびに、会社の命運そのものを賭けているようなものです。
課金モデルにも独特の難しさがあります。多くのスマホゲームは、無料で遊べる代わりに、一部の熱心なユーザーの課金で成り立っています。
その熱心なユーザーが離れてしまうと、収益は一気に細ってしまうのです。
ヒットのあとに何が続くか、が問われている
さらに厳しいのは、ヒット作を出せたとしても、それで安心できるわけではないという点です。
スマホゲームには寿命があります。人気タイトルでも数年たてば飽きられ、新しいユーザーが入りにくくなっていきます。
そこで次の柱となる作品を用意できているかどうかが、会社の存続を大きく左右するのです。
一本のヒットに頼りきった会社ほど、そのタイトルの人気が落ちたときの落差が大きくなります。
倒産が増えているという今回のニュースは、こうした構造がいよいよ限界を迎えつつある会社が増えていることの表れともいえるでしょう。
「一点集中」のリスクは、個人の資産づくりにも通じる
この構図は、実は個人の「投資」にもそのままあてはまります。
一つの会社の株や、一つの業界だけに資金を集中させてしまうと、そこがつまずいたときのダメージがとても大きくなるからです。
「分散投資」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
値動きの異なる複数の資産に分けて持つことで、どれか一つが不調でも家計全体への影響をやわらげる考え方です。
スマホゲーム会社の苦境は、「稼ぎ頭が一つしかない状態のもろさ」を、私たちに分かりやすく見せてくれる材料ではないでしょうか。
個人的には、こうした倒産や事業縮小のニュースを見るたびに、自分の資産の持ち方を見直すきっかけにしています。
コンテンツ産業に投資するときに見ておきたい視点
コンテンツ産業への投資を考えるときも、この視点は役に立ちます。
ヒットタイトルを持つ会社が一時的に注目を集めることはあるでしょう。ただ、その会社が「次の一手」をどれだけ用意できているかも、あわせて見ておきたいポイントです。
複数のタイトルを安定して展開できているか。海外展開など収益の柱を増やす努力をしているか。
こうした点は、決算資料やニュースリリースからある程度うかがい知ることができます。
映画やアニメといった他のエンタメ業界でも、似た構図はよく見られます。
ヒット作一本に頼る制作会社もあれば、複数のシリーズを同時に走らせてリスクを散らす会社もあるでしょう。
ヒット作の話題性だけに引っ張られず、収益の土台がどれだけ広いかに目を向けることが、長い目で企業を見るときの助けになるはずです。
まとめ
サ終のニュースは、ゲーム好きにとっては寂しい出来事です。ですが少し視点を変えると、ビジネスの持続力とは何かを考えるきっかけにもなります。
一つの成功に頼りきらない仕組みづくりは、企業にとっても、私たちの家計にとっても、同じくらい大切な考え方なのかもしれません。
次にサ終のニュースを見かけたときは、その裏側にある経営の構造にも、少しだけ思いをめぐらせてみてはいかがでしょうか。
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