この話、読めるかなーと思った。『犬のかたちをしているもの』高瀬隼子
あらすじを見たとき、正直「これ、読めるかなー」と思った。
恋人が、お金を払ってセックスをしていた女性との間にできた子どもを、「育ててくれませんか」と主人公に頼む。
しかも主人公の薫は、子どもを欲しいと思ったことも、可愛いと思ったこともない。
でも、読み始めてみたら、薫がどう行動していくのかが気になってしまって、意外とすんなり読めた。
ただ、読み終えて残ったのは「面白かった」という感覚ではない。
私なら、どうするだろう
私はずっと薫の立場になって読んでいた。
彼氏が、ほかの女性との間にできた子どもを「育ててほしい」と言ってきたら、私ならどうするだろう。
どう考えてみても、「いや、無理」で終わってしまう。
私ならそこで物語終了。
だから、薫がそこまで悩み続けることが、最後までよくわからなかった。
もちろん、薫には性交ができないという事情がある。
そして、それによって「自分は子どもを持てない」という思いが、薫の中には強くあるのだと思う。
だから、郁也が子どもを望んでいるなら、自分にはできないことを、この子を引き取ることで叶えられるのではないか。
そんなふうに考えていたのかなと思う。
でも、郁也は薫が性交をしなくなることを知ったうえで、「好きだから大丈夫」と言って付き合っていた。
だったら、それがどうしても無理になったのなら、
「ごめん、やっぱり無理だった」
と薫に話すべきなんじゃないのかな。
私なら、この出来事をきっかけに別れてしまうと思う。
「自分は性交ができない。だから子どもを持てない」という薫の気持ちは、もちろんわからなくはない。
でも、だからといって、郁也がほかの女性との間につくった子どもを育てることを、自分が引き受けなければいけないとは思えない。
薫の決断
だから最後の薫の決断を読んだときも、
「薫は何を思って、そうしたんだろう」と考えてしまった。
昔飼っていた犬を愛していたように、この子も愛せるかもしれない。
でも、私はその決断はできないなーと思った。
薫が何を思って、最後にあの選択をしたのか。
そこは最後までわからないまま。
私はそうはしない。
でも、薫はどうしてそうしたんだろう。
そんなことを考えながら、本を閉じました。
そして読み終えた今も、薫はそれでいいの?と、やっぱりちょっとモヤモヤしている。
