メロンパンのクリームが教えてくれた、「全体を見る」ということ
視覚障害があると、食べているところを、あまり人に見られたくないと思うことがあります。
もちろん、いつも気になるわけではありません。
けれど、ナイフやフォークを使う料理や、具材がたくさん入った食べ物を前にすると、
「今、自分の食べ方は大丈夫だろうか」
と、少し不安になることがあります。
ニンジンがジャンプする
例えば、ハンバーグをナイフで切っているとき。
ハンバーグを押さえているつもりが、付け合わせのニンジンをハンバーグが当たり、ニンジンが皿の外へとジャンプしてしまうことがあります。
サンドイッチを食べているときには、最後まで中に収まっていると思っていた具材が、思いがけないところから顔を出すこともあります。
見えていれば、
「あっ、反対側から出てきている」
と、すぐに気づけるのでしょう。
ところが、私の場合は発見が遅れます。
気づいたときには、ニンジンは移動し、具材は飛び出し、ちょっとした一大事になっています。
先日も、コンビニで買ったメロンパンを食べていたときに、事件が起きました。
クリームたっぷりのメロンパン
そのメロンパンには、メロンの香りがするクリームがたっぷり入っていました。
ひと口食べると、濃厚なクリームの味が広がります。
「こりゃ、おいしい!」
とうれしくなり、夢中で食べ始めました。
パンの表面は少しサクッとしていて、中のクリームはなめらかです。
順調に食べているつもりでした。
ところが、半分以上食べたところで、パンの反対側に何か違和感を覚えました。
指にパン生地とはことなるベトベトしたものが・・・・。
すると――。
クリームが、しっかり飛び出していました。
食べている側に気を取られ、反対側がどうなっているのかを、まったく確認していなかったのです。
幸い、クリームが服の上に落ちる前に気づくことができたので、よかったと思うことにしました。
部分だけを見ていると
指をウェットティッシュでふきながら、ふと思いました。
これは、数学の授業でもよくあることだな、と。
数式を計算していると、目の前の一部分だけに集中してしまうことがあります。
符号を変える。
かっこを外す。
分母を払う。
同類項をまとめる。
一つひとつの操作は、正しくできているかもしれません。
けれど、その操作に夢中になるあまり、
「今、何を求めようとしているのか」
「式全体はどのような形になっているのか」
「最初の式と意味が変わっていないか」
ということを忘れてしまう場合があります。
目の前の計算は順調に進んでいる。
ところが、式の反対側では、クリームならぬマイナスの符号が飛び出している。
そんなことが起こるのです。
私は生徒に、
「一部分だけを見て計算するのではなく、ときどき式全体を確認しよう」
と伝えています。
それなのに、自分はメロンパンの一部分だけに夢中になり、反対側をまったく確認していませんでした。
これは、いかんなあ。
ときどき、全体を確かめる
見えない状態で食べるときには、食べている場所だけでなく、ときどき反対側の状態も手やナイフやフォークで確かめる必要があります。
数学でも、同じなのかもしれません。
一つの計算が終わったところで、少し手を止める。
そして、式全体を見直す。
「この計算は、どこへ向かっているのだろう」
「求めたいものに近づいているだろうか」
そう確かめるだけで、途中の間違いに気づきやすくなります。
部分に集中することは大切です。
ただし、部分だけを見ていると、反対側で思いがけないことが起きているかもしれません。
おいしいメロンパンを食べながら、改めて「全体を見ること」の大切さを教えられました。
