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人は疲れすぎると、逃げる力まで失ってしまうものです

どうも、まさたかです。

一生懸命に仕事をしていると、ときどきこんな不思議なことが起きませんか?

「有給はちゃんと取ってください」と言われます。
「残業はしないでください」とも言われます。
「休日出勤した分は、期限内に振替休日を取ってください」とも言われます。

なんてホワイトな職場でしょう!

という皮肉を混ぜつつも、実態は真逆だったりするんですよね。

たしかに、言っていること自体はすべて正しいんです。

会社としても、上司としても、そう伝える必要があるのですからね。

でも、その一方で、仕事の量は減らない。納期も変わらない。顧客対応も止まらない。むしろ成果が出ている人ほど、さらに案件を任されることがあります。

そして気づいたら、朝から晩まで仕事のことを考えていて、土日にも頭のどこかが休まらない。休んだ方がいいことは分かっているのに、休んだら仕事が詰まることも分かっている。だから結局、また自分で抱えてしまう。

こういうこと、現実にありますよね。

しかも厄介なのは、本当に限界に近い時ほど、人は大きな判断ができなくなることです。

元気な時なら、「この働き方はおかしいかもしれない」「そろそろ環境を変えた方がいいかもしれない」と考えられます。誰かに相談したり、職務経歴を整理したり、別の選択肢を探したりする余裕も少しはあります。

でも、仕事がうまく回っていて評価もされている時は、今の環境を手放す理由が見えにくくなります。「今は充実しているし、もう少し頑張れるかもしれない」と感じてしまうんです。

反対に、本当に疲れ切っている時は、今の環境がおかしいと分かっていても、動く力が残っていません。新しい出会いを作る気力も、冷静に条件を比べる力も、自分の未来を考える余白も削られていきます。

人は、疲れすぎると、逃げる力まで削られてしまうのです。

これは、本人の根性やスキルが足りないからではありません。

慢性的な職場ストレスは、ただ気分を落ち込ませるだけではなく、判断力や柔軟に考える力にも影響すると考えられています。

WHOも、バーンアウト(燃え尽き症候群)を単なる疲れではなく、管理されない慢性的な職場ストレスから生じる職業上の問題として整理しています。

つまり、限界まで働いている人に「ちゃんと休めばいい」「嫌なら辞めればいい」と言うのは、ただの極論なんで、そんなことは本人も分かっています。

分かっているのにできないところに、この問題の苦しさがあるんですよね。

特に危ないのは、属人的な成果が高く評価されている職場です。

ある人が顧客満足度を上げる。売上を作る。現場を回す。周囲から見ると、素晴らしい成果に見えます。実際、本人の努力や工夫があるのも間違いありません。

ただ、その成果が、長時間労働、休日対応、暗黙の気遣い、見えない調整、個人の我慢によって成立しているなら、それは再現性のある成功モデルではなく、かなり危うい状態です。

本来、会社組織はリレーや駅伝のように、誰かから誰かへ仕事が渡っていくことで成果を出すものです。ところが、現実にはバトンを渡されたつもりで走り出したら、渡す相手がいないことがあります。

気づけば、ゴールの見えない長距離を一人で走らされているような状態になっている。

それなのに、数字が良いから横展開しよう、もっと構造化しようと言われるんですよね。

人が疲労困憊してなんとか得ている成果を構造化するなんて冷静に考えれば世紀末のような職場になりますよね。

もちろん、良い取り組みを広げること自体は大切ですが、その前に見なければいけないのは、「その成果は、何を犠牲にして出ているのか」という部分ではないでしょうか。

業務量を減らさずに、休めと言う。
納期を変えずに、残業するなと言う。
人を増やさずに、成果だけを横展開しようとする。
この状態で本人だけに頑張らせるのは、構造化ではなく、消耗の標準化になってしまいます。

そして、その環境に長くいると、本人の中にも少しずつ危ない考えが生まれます。

「自分がもっと効率よくやればいいのかもしれない」
「自分が弱いだけかもしれない」
「ここで投げ出したら迷惑をかけるかもしれない」

そう感じること自体は、とても自然です。責任感がある人ほど、そう考えてしまいます。でも、責任感と自己犠牲は同じではありません。

責任感とは、成果を持続可能な形にすることです。自己犠牲とは、自分を燃料にして一時的に成果を出すことです。

短期間なら似て見えるかもしれませんが、長く続けるほど、この二つはまったく別のものになっていきます。

今すぐ大きな決断ができなくてもいいと思います。辞める、戦う、変える、そういう大きな言葉をいきなり背負うと、かえって動けなくなることもあります。

まず必要なのは、選択肢を取り戻すことです。

一週間の仕事を記録してみる。何にどれだけ時間を使っているのかを見る。自分がいなくても回る仕事と、自分しか抱えていない仕事を分けてみる。社外の人と少し話してみる。職務経歴を一行だけでも更新してみる。

それは逃げる準備ではありません。自分の人生を、今いる環境だけに預けないための作業です。

仕事は大切です。成果を出すことも、誰かの役に立つことも、たしかに尊いことだと思います。

でも、終わりのない仕事を、終わりのある身体で走り続けることはできません。

もし今、「もっと頑張らなければ」と思いながら、心のどこかで息が詰まっているなら、その感覚を無視しないでほしいんです。

それは、あなたが弱いから苦しいのではなく、苦しくなるだけの構造の中にいる可能性があります。

すぐに全部を変えるなんてのは現実的でないことは百も承知です。

ただ、自分を追い込む前に、いま自分がどんな構造の中で走っているのかを見てみることはできます。

そこから、本当の意味での前進が生まれるのでしょう。


それでは、また次の記事でお会いしましょう。

まさたかでした。

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