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映画のはなし:タクシーもドラマが生まれる場所『パリタクシー』『人生タクシー』

山田洋二監督の新作『TOKYOタクシー』って、『パリタクシー』(2022)のリメイクなんですね!母親が『TOKYOタクシー』を観てきたようなのですが、「『パリタクシー』のリメイクなんだって。そっちも観たいわぁ」って言ってたのを聞いて、びっくり。

「木村拓哉がカッコよすぎて、全然しょぼくれてないの」って言ってたけど、まぁ、そらそうよ。キムタクがしょぼくれるなんて、普通の役者の100倍老けてちょうどくらいだよ。
そんくらいビジュ保ってるんだから。ご本人的にはジレンマだろうな、と思いますが。芸能人ってホントに大変だね。

『TOKYOタクシー』は観ていないのですが、『パリタクシー』はじんわりいい映画だったし、言われてみると山田洋二作品ぽい。
『パリタクシー』、配給が松竹だったんだね!なるほど!

免停寸前、借金も抱え家族を養うため、働きづめの無愛想なタクシー運転手シャルル。ある日、マドレーヌという92歳の老婦人を遠くまで送り届ける仕事を受けることに。マドレーヌは老人ホームに入るため、タクシーに乗っていると話したことを皮切りに、「思い出の場所を辿ってほしい」とシャルルに頼む。マドレーヌはさまざまな寄り道とともに波乱の人生を語り、徐々にシャルルも彼女の人生に引き込まれていく。

ふたりの間で大きな事件が起こるわけじゃないんだけど、シャルルとマドレーヌがお互いを知っていく中で、不愛想だったシャルルがに寄り添いはじめたり、そして何よりキュートなマドレーヌが本当に素敵なんですよ!
こんなおばあちゃんになりたいよね!

なんか、人間の琴線にふれるような、ラストにじんわり涙がでてくるような良作。
「誠実に生きていくことって大事だよな」と思わせてくれる、大人のおとぎ話。

シャルル=木村拓哉、マドレーヌ=倍賞千恵子ってことだと思うけど、マドレーヌの人生は東京に置き換えるとどんな感じになるんだろうね。マドレーヌは92歳で、第二次世界大戦の記憶もしっかりある、っていう設定だったけど。

で、タクシーの映画というと、リュック・ベッソン監督『TAXi』とかもあるけど、個人的にはジャファル・パナヒ監督の『人生タクシー』(2015)がパッと思いつく。

イラン人のパナヒ監督は、カンヌ/ベルリン/ヴェネツィア映画祭の最高賞を制覇。政治体制を批判する作品を撮ったりしてて、国内上映が禁止されたり、自宅拘束でカンヌの授賞式に来れなかったり、逮捕&投獄されたり、海外渡航禁止を言い渡されたり、とにかく反骨精神に満ちた監督です。
自宅軟禁中に自撮りして『これは映画ではない』ってタイトルのドキュメンタリー映像を、カンヌ映画祭に応募したりもしてた。たしか、お菓子か何かの箱に隠して送りつけたのよね。やるな、パナヒ。

そんなパナヒ監督が、『人生タクシー』を制作したのは、映画なんてとってんじゃねえぞコノヤロー!と政府から禁止されていた時期。

というわけでパナヒ監督は「”映画“じゃなきゃいいんだよね!」と、タクシーに車載カメラを搭載し、自身はタクシー運転手として、「偶然乗り込んできた客とタクシー運転手の会話を記録しただけ」の体裁で作品を作り上げた。これ、映画じゃなくてドキュメンタリーですよ、のテイで。

もちろんモキュメンタリーなんだけど、イランという国で市井の人々がどう生きているのか、どう考えているのかをリアルに知ることができる。そして、それがすごい興味深いんだ!
なにより、途中で乗り込んでくる、パナヒ監督のリアル姪っ子がかわいいの!口が達者で!

ラスト、バラの花束を抱えた弁護士の女性を乗せるんだけど、彼女が運転席のパナヒ監督に花を渡すときのひと言にグッとくるんですよ。
その後の、パナヒと姪っ子の会話にも考えさせられるものがある。

社会派作品にカテゴライズされる作品だと思うけど(制作背景を考えても社会派よね)、なんだかふわっとした柔らかさも感じられる、不思議な作品。ベルリン映画祭で最高賞となる金熊賞受賞も納得ですよ。

でも、見ず知らずの人と狭い空間を共有するタクシーって、改めて考えるとすごい独特なシステムだよね。お話好きの運転手さんと目的地に到着するまで世間話をしたり、何も話さずにずっと携帯いじってたり。

最近は深夜まで働くこともなくなったのですが、社畜時代は週3タクシー帰宅なんてこともザラで、「遅くまで大変だねぇ」とリポDをもらったり、通る道のうんちくを教えてもらったり、個人的にはタクシーの運転手さんには優しくしていただくことが多いと思う。

回顧厨にはなりたくないけど、Uberとは違う魅力があるんだよね。


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