月を拾ったねこ
桜が咲く春の夜。
小さなねこが、川辺をてちてち歩いていました。
すると橋の向こうで、
ぽとん、と光るものが落ちてきます。
こねこが近づいてみると――
それは、まんまるのお月さまでした。
「みゃっ!?」
こねこは大あわて。
でも、お月さまはやわらかく光って、
まるで「見つけてくれてありがとう」と笑っているみたいでした。
ねこは大事そうに月を抱えます。
すると町の灯りが、ふわっと明るくなりました。
消えかけていた提灯の灯も。
眠そうだった星たちも。
みんな、少しだけ元気になります。
どうやら月は、
誰かに優しく抱えてもらうと、また光れるみたいです。
ねこは空を見上げました。
「かえしてあげなきゃ」
そうして、えいっと背伸びをすると――
ふわり。
月は夜空へ戻っていきました。
その夜から町では、
“満月の夜になると、月を拾ったねこが現れる”
そんな不思議な噂が広まったのでした。

片桐みかんさんのこちらのお題に参加させていただきました👇️✨️
