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お嬢様育ちの人妻 保奈美 (29)


熊谷に渡されたアパレルショップの紙袋。

その中に入っていたのは、黒い無地の『タンクトップ・ミニワンピース』だった。

触れただけで分かる、伸縮性のある薄くタイトなリブニット生地。

これに袖を通せば、どれだけ隠そうとしても、女性らしいボディラインがハッキリと外に浮き出てしまうだろうことがすぐに分かった。

しかも、このワンピースの最大の特徴は、首元の中心からスカートの裾まで、フロント部分のど真ん中を一直線に貫くように付けられた『長い金属ファスナー』だった。

思わず〝このファスナーを下ろしたら……〟と、男たちなら絶対に想像せずにはいられないような、極めて挑戦的でセクシーなデザインになっていた。

さらに胸元はU字形に大きく広がっているため、もし保奈美が着たら、ファスナーを閉めていても胸の谷間が見えてしまうかもしれない。

そう、それはまるで、繁華街の『夜の店』で働く女性が、男の客を誘惑するために着ていそうな、ひどく過激なミニワンピースだったのだ。


「うおっ! さすが熊谷さん! マジでセンス良いっすね!」


そのワンピースのデザインを見て、岡田は歓声を上げた。


「これ着た保奈美さん見たら、俺たちマジで鼻血出ちゃいますよ!」


蒼も身を乗り出して、目を輝かせている。

そんな過激なワンピースをまじまじと見つめながら、岡田が興奮したような声で言った。


「ていうか、こんなの完全にエロい女しか着ないやつですよね。」


すると熊谷がニヤリと意地悪な笑みを浮かべ、冗談めかした口調でこう言ってきたのだ。


「じゃあ、保奈美さんなら着てくれそうだよな」


そう言って、熊谷は岡田たちと顔を見合わせてゲラゲラと豪快に笑い声を上げた。


「もぉーっ 、どういう意味ですかー。」


自分を暗に〝エロい女〟扱いしてからかってくる男たちに、保奈美はプンプンと怒った口調で抗議しながら、可愛らしくぷくっと頬を膨らませた。

本人は怒っているつもりなのだが、お嬢様特有の品の良さが抜けきらないその姿は、まるで木の実を隠したリスのように愛くるしい。

そんな保奈美の反応を見て、男たちは「怒った顔も可愛いな」とさらに笑っていた。


「保奈美さん、明日の午後、マジで期待してますからね!」


「保奈美さんのミニワンピ姿、楽しみすぎて今日寝れないっす!」


口々にそう言って盛り上がる男たちに、保奈美は顔を赤くしながらも、控えめな笑顔を作ってこう返した。


「もぉ……あんまり、期待しないでくださいね。」


期待しないでと言いながらも、保奈美の手は熊谷から渡された紙袋をしっかりと抱きしめていた。



その日の夜。

保奈美はまた一人きりの寝室の全身鏡の前で、昼間もらったミニワンピースを試着していた。


「んっ……。」


足元からワンピースを引き上げ、肩を通す。

予想通り、薄いニット生地は保奈美の身体にピッチリと吸い付くように密着し、くびれたウエストからお尻の丸みまで、そのシルエットを余すところなく浮き彫りにした。

そして何より問題なのは、フロント部分のファスナーだ。

保奈美は胸元までファスナーを上げようとしたが、Fカップの豊かな胸の膨らみがつっかえて、すんなりとは上がらない。

グッと胸を寄せるようにして、一番上までなんとかファスナーを上げきった。


「これ……ちょっと見えちゃう……」


ファスナーを一番上まで上げても、大きく開いたU字のネックラインからは、保奈美の左右の胸が寄り集まってできる『谷間の始まり』の部分が、どうしても少しだけ見えてしまう。

それに服のサイズが少し小さいのか、胸の周りの生地は、はち切れそうなほど窮屈に張っていた。

しかも、このフロントのファスナーは驚くほど動きが軽く、力を入れずとも、ほんの少し触れただけで滑るように動いてしまうのだ。

このまま放っておいたら、胸の圧迫感だけでも、勝手にツーッと下がってきてしまいそうだった。

さらに、ファスナーの取っ手部分は少し大きめの『丸いリング型』になっていて、ひどく指を引っ掛けやすいデザインになっている。

それはまるで、着る本人のためではなく、はじめから『男に下ろしてもらうため』に作られたかのような形をしていた。


鏡でミニワンピースを着た自分の姿をまじまじと見つめ、保奈美はカアッと顔を赤くした。

黒いタイトな生地が、保奈美の透き通るような白い肌を強烈に引き立てている。

タンクトップになっているから、華奢な白い肩や、美しいデコルテラインも完全に露出してしまっている。

どこからどう見ても、本当に夜の仕事をしているかのような、エロティックな格好だった。


(これをこのまま着ていくのはちょっと……抵抗あるかも……)


いくら露出の快感に目覚めつつあるとはいえ、この格好のまま男たちの前に出るのは、あまりにもあからさますぎる。

そう思った保奈美は、クローゼットから薄手の白い『サマーカーディガン』を取り出し、ワンピースの上にふわりと羽織った。


「うん……これならなんとか……。」


カーディガンを羽織れば、露出した肩や背中を隠すことができるし、黒いワンピースの面積も減って、少しはお嬢様らしい『清楚感』が出せる。

明日は、これでいこう。

保奈美は鏡の前で胸元を隠すようにカーディガンの前を少し合わせながら、明日の男たちの反応を想像し、一人で熱い溜息を吐いていた。




そして翌日の午後休憩。

保奈美は、黒のミニワンピの上に白いサマーカーディガンを羽織った姿で、男たちが待つ一階へと降りて行った。

階段を降りるたびに、タイトなスカートの裾がずり上がり、太ももが剥き出しになる。

保奈美は片手でお盆を持ち、もう片方の手で、谷間が見えそうになっている胸元のカーディガンの合わせ目を、ギュッと隠すように押さえていた。


「お茶、淹れましたよぉ……。」


保奈美が玄関に姿を現した瞬間、男たちは一斉に保奈美の方を振り向いた。


「おーっ!!」


「キタキタキタ!!」


歓声を上げる男たちだったが、保奈美の服装を上から下までジッと見つめると、すぐに少しだけ残念そうなリアクションを見せた。


「あれー? 保奈美さん、なんでカーディガンなんか羽織ってるんですかー。」


蒼が口を尖らせて不満を漏らす。


「せっかくのタイトなワンピースのラインが、全然見えないじゃないですかー。」


岡田もそれに同調する。


「……だって、これ一枚だと、肩とか出ちゃって恥ずかしいし……」


保奈美が胸元を手で押さえたまま、上目遣いでそう弁解すると、熊谷が一歩前に出てきて、真剣なトーンでこう言ってきた。


「保奈美さん。俺が昨日一生懸命選んで買ってきた服、そんな風に隠されちゃうのは悲しいっすね。」


「……そう言われても……」


「全体がどんな感じになってるのかしっかり見たいんで。……そのカーディガン、脱いでもらえませんか?」


また岡田の時と同じパターンだ。

保奈美は心の中でクスっと笑ってしまう。

でも本当は保奈美も、そう言われるのは最初から分かっていた。


「……脱ぐ……ですか……?」


「はい。お願いします。」


もちろん保奈美は断ることができる状況だ。

しかし、彼らの期待に応えたい、喜ばせてあげたいという保奈美の中の欲求が、羞恥心を凌駕していく。


「……じゃあ、少しだけ……。」


保奈美は顔を赤くしながら、ゆっくりとお盆をテーブルに置き、羽織っていた白いカーディガンを肩から滑り落とした。


「おおおおーーっ!!」


カーディガンを脱いだ瞬間、黒いタイトなミニワンピースに包まれた保奈美の完璧なボディラインと、真っ白な肩、そして美しいデコルテラインが完全に露わになった。


「ヤバい……! 保奈美さんの肩、めっちゃ綺麗……!」


「白い肌と 黒のワンピと合いすぎだろ!」


男たちのテンションが、一気に沸点に達する。

しかし、保奈美の片手はまだ、胸元の谷間を隠すようにギュッと添えられたままだった。


「保奈美さん、胸元隠してるその手も、外してもらっていいですか?」


岡田が、獲物を狙うようなギラギラとした目で要求してくる。


「え……でも……」


「いいから、外してください。そこが見えないと、せっかくのファッションが台無しですよ?」


「……はい……。」


葛藤しながらも、保奈美はゆっくりと、胸元を隠していた手を外して体の横へと下ろした。

途端に、はち切れんばかりに主張するFカップの胸の膨らみと、U字のネックラインから覗く谷間の始まりが、男たちの目に晒される。


「うおっ……! すげぇ……。」


蒼がゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。

しかし、ここで熊谷が保奈美の胸元をジッと見つめながら、わざとらしく不思議そうな顔をして指摘をしてきた。


「……保奈美さん。なんか、胸のあたりの生地、おかしくないですか?」


「えっ……? 」


「ほら、一番上までファスナー上げてるせいで、生地が横に引っ張られてすごく窮屈そうになってますよ。」


「それは……」


保奈美自身も昨日試着した時点で分かっていたことだが、熊谷の言う通り、胸のボリュームに生地が引っ張られ、ファスナーの周辺には不自然なシワが寄っていた。


「それじゃあ、せっかくの服のシルエットが崩れちゃいます。もう少しファスナーを下ろして、胸元を開けた方が、ファッション的にも絶対に良いですよ。」


「……でも、これ以上下げたら……」


これ以上下げれば、当然、今わずかに見えている谷間が、さらに大きく露出してしまうことになる。

すると熊谷は少しふざけたような、しかし明らかに下心を隠し持った口調でこんな提案をしてきた。


「じゃあ、この服を選んだ『ファッションコーディネーター』の俺が、一番良い感じのところまでファスナー下ろしましょうか?」


「えっ!?熊谷さんが……?」


「はい。」


「でも……そんなの……」


戸惑う保奈美に、熊谷はさらに言葉を被せてくる。


「じゃあ保奈美さん。俺がゆっくり下ろしていくんで、保奈美さんが『これ以上下げて欲しくない』ってところまできたら、ストップって言ってください。それならいいでしょ?」


「……ストップって……言えばいいんですか……?」


「はい。保奈美さんがストップって言ったら、俺は絶対にそれ以上は下げません。約束します。」


「……」



返事を考える保奈美。

自分で下ろすのではなく、男の人の手で下ろしてもらう。

本来なら絶対にあり得ないその提案は、保奈美の『エッチな好奇心』をこれ以上ないほど激しく刺激した。

『ストップ』と言えばいいだけ。

そんな言い訳を盾にして、保奈美は未知の興奮を味わおうとしていた。

そして、湧き上がる強烈な好奇心に突き動かされるように、保奈美はその危険な提案を了承してしまった。


「……じゃあ……お願いします……。」


保奈美が小さく頷き了承すると、岡田と蒼が『うおおお! 良いっすねぇ!!』と大喜びで盛り上がり始めた。

熊谷が一歩、保奈美に近づく。

大きな大工の男の身体が目の前に迫り、保奈美はギュッと目を閉じた。


「いきますよ。」


熊谷の無骨で太い指が、保奈美の胸元にある『丸いリング』の取っ手にそっと掛けられた。

金属の冷たい感触と、熊谷の指先の熱が、服越しに保奈美の肌へと伝わってくる。

たったそれだけのことで、保奈美の心臓は狂ったようにドキドキと早鐘を打ち、身体中がカアッと燃えるように熱くなっていくのを感じていた。


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