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久しぶりの高円寺、初めてのお笑いライブ

春先、体調を崩し入院していた。
季節の変わり目、上司からのストレス、色々なものが重なったのだろう。
数日の絶食。
飲むゼリーなどしか食べられない。
食べる事が何より楽しみで、食事を『1日3回の幸福』と思っている私がだ。

そんな入院生活の中、とんでもないニュースが。

大好きな「日本エレキテル連合」さんの単独公演の開催日、チケット予約開始日が発表されたのだ。

去年も行きたかったが、端から諦めていた。

だが

これはやるしかない。

そう、思い立ったのだ。

私は何年も、有給も取らず

休日出勤には全て応じてきた。

人生、このままでいいのか?

ただ仕事と家の往復、上司の言うままの人生。


そんなものはやめだ

私の人生は、私のものだ。

早速チケットを取り

点滴を引き連れて病院内の某コンビニへ向かった。

そして、支払いを済ませた。


時を同じくして、おかゆ食が解禁されたのだ。
それからの入院生活は、輝きに満ちたものだった。

解禁後初めての食事は、一口食べるごとに涙を流し、嗚咽した。

食事の温かさ、美味しさ、作ってくださった方や、食材への多大なる感謝

それらが溢れ出てきたのだと思う。

大げさでも何でもない、素直な涙だった。

食事をとれる喜びと、日本エレキテル連合さんの単独公演のチケットを取れた喜び

体と心が満ち足りた中

日々感謝と治療を続け、無事退院となった。


退院後は、体力づくりと健康維持の為に食事と運動に気をつけた。

食事を気をつければ、無駄に血糖値なども上がらず体も軽くなり、運動をすれば体重も落ちて気持ちもスッキリするのだ。

もう倒れまいと気持ちを切り替えて生活をしていたのも束の間、一つ乗り越えなければならない壁があることに気付いた。

いや「思い出した」のだ。

現実から目を背けていたというのが正しい言い方かもしれない。

「有給を取ります」と上司に伝えなければならないのだ。

気が重い⋯

100%NGと言われる⋯

入社当時のトラウマが、何年も私の脳みそに、鎖のように纏わりついているのだ。


だが、私は変わると決めたのだ。

自分の為に生きると決めたのだ。


意を決した。

決戦の日が来た。

有給申請用紙に日程を認め、上司の所へ。


結果は目に見えていた。

即刻NGが出た。

『何で有給なんかとるんだ』『とれるわけないだろう』『駄目だ』

私は、心が折れてしまった。

あんなに強く決意したのに。

自分の為に生きると約束したのに。


そんな時だった

「なんで有給取らせないんですか」
「有給取っているところも見たことないし、休日出勤だって嫌な顔せずいつも出ているじゃないですか」
「私たちがいますから、有給取らせてあげてください」


同僚のみんなからの助け舟だった。


縁ギリギリまで出かけた涙を何とか引っ込め、後で同僚たちに大きな感謝を伝えた。


有給を取れることになった。

最後まで上司は不服そうな顔だったが。


それからの日々は感謝とワクワクの日々だった。

食事と運動も引き続き続け、体調管理をしっかりした。

仕事にもより一層力が入った。

上司は相変わらずだが

毎日が楽しかった。


そして迎えた単独公演当日

必要な荷物を揃え、電車に飛び乗った。


着替え、デオドラント、ボディペーパー
ファブリーズ、お金、読みかけていた本


忘れ物はないか時々確認しながら、読みかけていた本を読みつつ、東京駅までの道のりを過ごした。


ついに東京駅に到着。何年ぶりだろう。
人生通算2回目の東京駅である。

私は有給を取って今、東京にいるのだ

そう思うと、嬉しさと同時に胸の中がソワソワする感覚に見舞われていた。

トイレを済ませ、携帯で三鷹駅までの行き方などを確認した。

それと同時に「ホテルどうしよう」と考えた。

そう、私は宿泊先に関してノープランで来たのだ。

なぜノープランで来たか。

予約サイトでの予約の仕方が分からなかったからだ。

あまりに外出しなさすぎて、ホテル予約などの仕方も全くと言っていいほど変わってしまった。
俗に言う「浦島太郎状態」だ。

これはもう、ホテルに直接行くしかないと思い立った。

どこのホテルにしようか?

ふと思い立ったのが、もう何年も前に試験で泊まった高円寺のホテルだった。

あそこにしようと決め、早速切符を買って電車に飛び乗った。
だがそこは浦島太郎の田舎者

逆路線に乗ってしまったのだ。

駅員さんに行き方を教えて頂き、改めて高円寺へと向かった。


久しぶりの高円寺は、やはり見慣れない景色だった。
唯一純情商店街のアーケードの看板が、かろうじて記憶に残っている位だった。

さて、ホテルは何処だったか?

しばらく彷徨い、ようやく見つけた。


さあ、空きはあるか

恐る恐るフロントの方に伺う

「空きがございます」

ホッと胸をなで下ろした瞬間だった。

チェックインの時間を確認し、それまでの時間高円寺散策へと向かう。

コンビニで水分と凍ったお茶を買い、熱中症対策をしながら歩き出した。

高円寺ジュンジョーの外観を確認したり、色々なお店を見て回った。

その中で気になる喫茶店を見つけたので、入ってみた。

中には常連さんと思われるご婦人方がいらっしゃったり、スポーツ新聞を読みながらコーヒーを楽しむおじ様もいらっしゃった。

席に誘導して頂き、お冷とメニューを頂いたので、お冷を飲みながらメニュー表を開く。

折角だから良いコーヒーを、と思い立ち、1番高いコーヒーとハニートーストを注文した。

まず鼻を近づけ、コーヒーの香りを楽しんだ。

脳みその隅々までコーヒーの素晴らしい香りが行き渡るかのような感覚を覚えた後、味を楽しむ。

やはりコーヒーは良い。まして喫茶店で入れて頂いたコーヒーなのだ。人生で1番美味しかったコーヒーかも知れない。

ハニートーストもまた絶品だった。しっかりハチミツが染み込んでいるのだが、甘さにしつこさがなくとても美味しかった。

店主さんにお礼を伝え、お会計を済ませてお店を後にした。

そうこうしているうちに、チェックインの時間になった。

チェックインを済ませ、シャワーに入り、念入りにデオドラントを纏い、新しい洋服に着替える。

高円寺から三鷹までの電車を確認し、いざ三鷹へ。

武蔵野芸能劇場は、駅を出て右手に歩いてすぐの所にあった。

時間は丁度16:00

開場の時間だ。

階段を上がって3階へ。

ファンの皆さんが楽しそうにお話をしながら、入場受付を待っている。

今のうちに入場バーコードを準備しておこう。

この時の為に、何度も練習した動作だ。

私の番になり、無事受付を済ませる。

ロビーには爆笑問題さんをはじめ、ファン有志の方、ドロンコへいやさんたちのお花なども飾られていてとても華やかだった。

そして物販である。

私は事前に欲しいものを考え、購入させて頂いた。

ステッカー帳と、ステッカー、くじ(5回)ハガキだ。

ハガキに住所と氏名を認め、備え付けのポストに投函。

ステッカー帳と、くじで頂いたものを見ながらしばし浸る。

それからトイレを済ませ、指定席に着席する。

場内にはファンの方々のワクワクした雰囲気と、エレキテルさんがお好きなアーティストさんの曲が流れていた。

刻一刻と開演時間が迫る中、私の心臓は鼓動を早めていた。

そして、開演。


幕が開いたその先にスポットライトが当たる。

DVDやYouTubeでいつも見ていた、あの「日本エレキテル連合」さんがそこに居たのだ。

四角い画面の中ではない。再生ボタンもシークバーも無いのだ。

同じ時、同じ空間に、確かに日本エレキテル連合さんがいらっしゃるのだ。

きっと照明の雰囲気なども手伝っていた為だろう。

何だか夢を見ているような錯覚に、しばらく陥っていた。

だが、これは現実だ。

一分一秒も見逃すまいと、目を凝らしてネタを観させて頂いた。

私は独り身だし、1人で観に来た。

だけど誰かの手を握りたかったのかも知れない。

気づくと祈りのようなポーズで食い入るようにお二人のコントを観ている自分がいた。

面白い。

本当に来ることが出来て良かった。

お二人の演技力、表現力
そしてお笑いの力に圧倒されていたのだ。

どのコントも、お二人であってお二人でない。

1人ひとりに性格があり、生活があり

今ここに「生きている」のだ。


この感覚は、なかなか味わえるものではない。


私は、日本エレキテル連合さんのコントが心の底から大好きなのだと、改めて認識させて頂いた。

そして、公演が終わる。

あぁ、名残惜しい。

ずっとこの時間が続いて欲しいと思った。


公演後、お二人がお見送りして頂けるとの事だった。

お見送りの列に並ぶ。

1人、1組、だんだん自分の番が近づいてくる。

胸の鼓動が、また早くなる。

そして、ついに自分の番が来た。


日本エレキテル連合さんだ。

中野さんだ。橋本さんだ。

本当だ。

夢じゃないんだ。

憧れていたお二人が、今目の前にいらっしゃるんだ。

コントでお疲れのところ、丁寧にご挨拶して下さった。

お写真も取らせて頂けた。

スリーショット、夢のようだ。

お渡ししようと思っていたものも、無事お渡しすることが出来た。

そうして階段を降り、フワフワとしている中しばし時間を待つ。


そう

「アフタートーク」にも参加させて頂くのだ。

1階エントランスは、感想を言い合ったり、くじで当たったものを見せ合っているファンの方々でにぎやかだった。

そしてまた、開場のアナウンスがかかる。

列に並び、例のごとくあの動作を済ませ、入場受付を済ませる。

指定席につき、時間になる。

「涎」Tシャツとジャージ姿のお二人が登場。

足元には今日演じたキャラクターたちの衣装が並んでいる。

このアフタートークのコンセプトは、トークと、明日の準備というものだ。

それぞれの衣装を、演じるコントの順に中野さんが探し、それを橋本さんがチェックする。

そうしながら、衣装のこだわりであったり、仕掛けのネタバラシであったり、興味深いお話しをして下さる。

笑いと感心が入り交じる空間だ。

コントとコントの間に着替え、メイクなどを済ませ、時間内に出ていけるよう準備されているのだ。

まさに「職人」、コント職人なのである。

その後はジャンケン大会があり、勝った方には素敵な賞品が。

最後に勝った方には、劇中で作られたとあるモノ(詳細は伏せますぬんっ)が贈呈されていた。

私は勝つことが出来なかったが「好き」で溢れたこの空間が、堪らなく愛おしくなっていた。

そして、終幕。

楽しかった。

人生でこんな気持ちになったことがあっただろうか。

日本エレキテル連合さん、本当にありがとうございました。

名残惜しさと共に会場を後にして、三鷹の街へ。

今夜は久しぶりに飲もう。

そう決めたのだ。

どういう訳か、あれだけ好きだったお酒をパッタリ辞めて早2年。

だけど今日は、飲みたい気分だった。

鳥貴族に行くも満席。

そうだ、高円寺で飲もう。

昔の試験の時にみんなで行ったあの居酒屋へ。

電車の時刻を確認し、切符を購入。

高円寺へ向かった。

都会はやっぱりいい。

うちの田舎は1時間に1本しか電車が来ないのだ。

電車に揺られ、高円寺へ。

おぼろげな記憶を頼りに、昔行った居酒屋へ向かう。

あった。

あの居酒屋だ。

しかし、お店自体は別の居酒屋に変わっていたのをみて、少し寂しい気持ちになった。

入店し、着席。

バーコード注文というのも初めてで、カルチャーショックを受けつつ何とか注文。

2年ぶりの生ビールである。

うまい。

沢山頼んだツマミを食べながら、ビールで流し込む。

しかしそこは2年ぶりの飲酒である。

生2杯飲み終えたところでグッと効いてきたのである。

五臓六腑に染み渡るとはこの事だろう。

私は、前後不覚になるまで飲むことを何よりも嫌う。

自分の限界を察知し、最後にハイボールを注文。

ツマミも食べ終え、ハイボールを飲み干し、店員さんにお礼を伝えて会計し、店を後にする。

コンビニで麦茶を購入し、ホテルへ戻る。

シャワーを浴び、ほろ酔いになりながら、今日の出来事の余韻に浸る。

そうしているうちに、眠ってしまったようだ。


翌朝、聞こえないはずの目覚ましで目が覚める。

習慣とは恐ろしいものだ。

しばらくボーッとし、昨日撮らせて頂いた写真を見返す

同じフレームに、私と中野さん、橋本さんが写っている。

夢じゃなかった。

まさに「銀の手は消えない」である(出典:ロマンシング・サガ3)

シャワーを浴び、念入りにデオドラントを纏い、着替えて、ホテルをチェックアウト。

昨日行った喫茶店へ。

今度はアイスコーヒーとチーズトーストでモーニング。

これまた絶品であった。

高円寺に来たら、また来よう。

そう心に決めて、店を後にする。

東京駅に向かい、東京土産を購入するという田舎者ムーブをかまして、帰路につく。

今頃2日目の公演中だな、と考えながら電車に揺られ、遠く遠く離れた我が家へ。

乗り慣れない電車の影響か、立っているとグワングワンする感覚が残る中、頂いた御朱印達を神棚に飾った。


初めてのお笑いライブが日本エレキテル連合さんという、何とも贅沢な経験をしてしまった私の人生は、とても素晴らしい人生であると言えよう。

ゲスト出演のライブも観に行きたいし、もちろん来年の単独公演も絶対観に行きたい、いや、観に行くのだ。

本当に、本当に、日本エレキテル連合さんありがとう。

集まったファンの皆さんもありがとう。

ザクセスさんのスタッフさんたちも、ありがとう。

同僚のみんな、ありがとう。

全ての皆さんに、感謝の気持ちを伝えたい。



休み明け、同僚の皆にお土産を渡そう。


上司にも

渡そう。

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