少女が少女を連れてくる——エプスタインの加害は、なぜ数十人規模まで広がり、長年止まらなかったのか
2005年3月、アメリカ・フロリダ州パームビーチの警察に、一人の女性から通報が入りました。14歳の継娘が、年上の少女に連れられて大きな邸宅に行き、その家の主の男に「マッサージ」をして、300ドルを渡された——そういう内容でした(パームビーチ警察の捜査記録、各報道)。
たった一件の通報です。けれど、この一本の糸を引いていくと、その先には、想像をはるかに超える広がりがありました。
エプスタイン事件を「一人の異常な金持ちが、ひそかに罪を犯していた話」だと考えると、本質を見誤ります。なぜなら、被害は数件では終わらなかったからです。パームビーチの警察が13か月かけて捜査しただけで、同じような被害を受けた18歳未満の少女が、約35人も浮かび上がりました。さらに2019年の連邦起訴状は、被害者を「数十人(dozens)」と記しています。
なぜ、加害がこれほどの規模に膨らみ、しかも何年も止まらなかったのか。
答えは、一人の人間の異常さだけでは説明できません。そこには、被害が被害を生むように作られた、ぞっとするほど合理的な「仕組み」がありました。
一本の通報から、35人が浮かんだ
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