【小説】 ザ・サン・インザレイン #00|プロローグ
「一緒に部屋借りない?」
そいつがそう言ったのは、はじめて会ったその日だった。

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◀︎ 𝙉𝙤𝙬 𝙋𝙡𝙖𝙮𝙞𝙣𝙜
Madison Avenue — "Don't Call Me Baby"
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誰かの家で開かれた、誰かの誕生日パーティー。
主役の名前すら知らない。
広いリビングには大勢の人間が、出たり入ったりして、大音量でハウスミュージックが流れている。
みんなグラスを片手に、話したり、踊ったり。
タバコとマリファナの匂いで充満した室内に、話し声が交差して、意味をなさない雑音として鳴り響いている。
音楽と酒、ときどきドラッグ。
そんなありふれたパーティーだった。
入り口から何度も知人に遭遇し、その度に大袈裟なハグや握手が繰り返される。
日本人もわりといて、ビールを取りに行った時に顔を合わせたこいつと、なんとなく話をすることになった。
*
「え?」
思わず聞き返した。
「見てたんだけど、不動産屋行ったらいい物件ありそうなんだよね」
部屋を借りるときは、フラットシェアで誰かが出る部屋を、また別の人間に貸すことが多いから、不動産屋で借りるという発想がなかった。
けど――
「なんで俺に?」
そいつはポケットからラッキーストライクを取り出し、俺にも吸うよう促してきた。一本もらい、口にくわえると火をつけられる。
自分のタバコにも火をつけ、ひとくち吸って、ゆっくり煙を吐き出し、
「似てるんだよね。うちの小太郎に」
そう言って、とびきりの笑顔を見せた。
なんてまぶしく笑うやつなんだ、と思った。
これが俺とカイとの出会いだった。
𝙉𝙚𝙭𝙩 →
※この作品は、前作「ア・リトル・ビット・クレイジー・デイズ」のスピンオフ作品となっていますが、当作品のみでもお楽しみいただけます。
【CHAPTERS】
#00│プロローグ
#01|カルボナーラ
#02|キャッツ
#03|チャイナタウン
#04|ノッティング・ヒル
#05|ポートベロー・マーケット
#06|Fox in Fog
#07|Angel
#08|38番
#09|エリック
#10|香水
#11|クリスプ
#12|カムデン・マーケット
#13|Purple Turtle
#14|月
#15|最終話|邂逅
