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レッドブル・ザルツブルク(FC Red Bull Salzburg):若手の発掘・育成に長じるオーストリア・ブンデスリーガの名門とRBライプツィヒ


レッドブル・ザルツブルク

FC Red Bull Salzburg
クラブ創設年:1933年 9月13日
本拠地:レッドブル・アレーナ(ヴァルスに位置)
ブンデスリーガ優勝:17回
2005年の買収以前の旧名称:
SVアウストリア・ザルツブルク(1933〜)
SVカジノ・ザルツブルク(1978〜)
SVヴュステンロート・ザルツブルク(1997〜)



オーストリアサッカー界の発展

1930年代、ウーゴ・マイスル監督率いるオーストリア代表チームは、「ヴンダーチーム」と呼ばれ、ヨーロッパ最先端のサッカーを披露した。しかし、その後のドイツとの併合や大戦などの影響により、オーストリアサッカーは衰退。散発的に見れば、6度のW杯出場や各クラブのミトローパカップ優勝などはあったものの、西欧や東欧の強豪と比して非常に地味な存在だった。

ただ、2026年現在の欧州サッカー界においては、オーストリアサッカーは絶大な影響力を誇る。では、なぜ劇的な発展を遂げられたのか。その中心となったのは、言わずもがな「レッドブル」と「ラルフ・ラングニック」である。2005年、世界最大級の飲料メーカー「レッドブル社」が、スポーツ界への投資の一環としてSVアウストリア・ザルツブルクを買収し、クラブ名を改称。

巨額の資金を得たレッドブル・ザルツブルクは、FCバイエルン・ミュンヘンからアレクサンダー・ツィックラーニコ・コヴァチといったスターを獲得したうえ、フランツ・ベッケンバウアーなどとも接近した。そして2012年、ラングニックがフットボールディレクターに就任。クラブの経営哲学、明確な若手の育成方針、何より強烈なプレッシング戦術を得た同クラブは躍進する。


ザルツブルクが輩出した天才たち

2012年以降のレッドブル・ザルツブルクが見事だったのは、若手育成に巨額の投資を強烈に行ったことだろう。ラングニックの戦術に合うタレントを獲得し、アフリカやフランス、北欧にスカウト網を張り巡らせた。中核を担ったのは、現バイエルンSDのクリストフ・フロイントだ。巨大な育成機関を完成させた同クラブは、欧州屈指の若手タレントの供給元となった。

同クラブが輩出したタレントの名前を挙げれば、枚挙に暇がない。世界最高峰のストライカーであるアーリング・ハーランドを筆頭に、サディオ・マネドミニク・ショボスライダヨ・ウパメカノザヴェル・シュラーガーコンラート・ライマーアマドゥ・ハイダラパトソン・ダカなどは、クラブの成功を物語っている。また、指導者の「育成」もクラブの成功の一因だろう。

2016/17シーズンにクラブをUEFAユースリーグ優勝に導いたマルコ・ローゼを筆頭に、ロジャー・シュミットジェシー・マーシュマティアス・ヤイスレなどがクラブを指揮した。これ以外にも、オーストリア2部に所属する事実上のセカンドチーム「FCリーフェリング」などインフラ面を整え、安定した育成環境の形成に成功。中欧屈指の育成クラブの地位を確立した。


レッドブルが生んだ「軋轢」

ただ、レッドブルによる動きが軋轢を生んだのも事実だ。例えば2005年のアウストリア・ザルツブルク買収の際には、それまでのクラブの歴史を否定し、レッドブル・ザルツブルクの設立年を「2005年」と主張。ファンと大きく衝突したうえ、オーストリアサッカー協会から注意を受けている。(なお、レッドブルはクラブのレジェンドを巧みに起用し、求心力を得ている。)

加えて、大きな問題となったのが兄弟クラブのRBライプツィヒの存在だ。2009年に当時5部のSSVマルクランシュタットを買収して設立された同クラブは、わずか8年後の2017年にブンデスリーガ1部昇格を達成。オーストリアとドイツでは注目度、つまりコマーシャル能力に絶対的な隔たりがあり、レッドブル社は、当然ながらRBライプツィヒに大量の選手と資金を投入した。

レッドブル・ザルツブルクからも、マルセル・ザビッツァーを筆頭に、ペーテル・グラーチナビ・ケイタ、ウパメカノ、ライマー、ハイダラ、ショボスライなどが、直接RBライプツィヒへ移籍。しかし、レッドブル・ザルツブルクのファンは、本来レッドブル・グループのトップチームだった自クラブの地位が下がり、育成の踏み台とされている事実に不満を抱えている。


レッドブル・ザルツブルクの影響力

いずれにせよ、レッドブル社の資金とラングニックのサッカー哲学のハイブリッドで巨大な成功を収めた「レッドブル・ザルツブルク」の存在が、オーストリアサッカー界の急激な成長に影響したのは、疑いようのない事実だ。2026年W杯に出場したラングニック監督率いるオーストリア代表にしても、主力選手の多くがレッドブル・ザルツブルク在籍経験のある選手たちである。

現在のチームにも、注目の若手逸材が揃っている。CBのジョアン・ガドゥ、MFのマッズ・ビストルップモウリツ・ケアゴー、アタッカーの北野颯太などはすでに欧州の他クラブから注目の的だ。2026年夏には、レンジャーズFCから37歳の新進気鋭の指揮官ダニー・レールを招聘するなど、野心的な動きを続けている。今後もレッドブル・ザルツブルクの動向に要注目だ!


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