【蔵出し裏話】「24歳の娘、名門ブランドを辞めるってよ。」親に頼らずパリの大学院へ。〜我が家のZ世代が仕掛けるキャリア修復サバイバル〜

たくさんの飛行機雲が交差するこの場所へ、
我が家のZ世代が新しい未来をこじ開けに飛び込みます。
(……そして、私がまだ見ぬパリへ行く最高の口実ができました!笑)
Buonasera a tutti!(みなさん、こんばんは!)
フィレンツェの家具修復士のみっちーです。
金曜日の帰国エッセイには、たくさんの温かい共感コメントをいただき、本当にありがとうございました!無事にフィレンツェの日常へ戻り、夫と並んで作業台に向かうエネルギーを読者のみなさんからいただいたような気持ちです。
さて、今日は週末の「蔵出し裏話」ということで、ちょっと我が家のリビングの裏側にカメラを向けて、熱く、24歳になる娘の「大いなる反乱」についてお話しさせてください。
成人したお子さんをお持ちの読者のみなさん、あるいはこれからその時期を迎えるみなさん。もし、我が子がせっかく就職した「誰もが羨む有名企業」をたった1年ちょっとで「辞めて、パリの大学院に挑戦したい!」と言い出したら、どうされますか?
「えっ、せっかく入れたのにもったいない!」 「学費はどうするの!?」
親の頭の中は一瞬でパニックになりますよね。世間のいう「安定のレール」から子どもが自ら飛び降りようとするとき、私たちはどう佇めばいいのか。
今日は、かつて鬼ママ軍曹と呼ばれた私の前に立ちはだかる、我が家の頼もしいZ世代のキャリア修復サバイバルをお届けします。
第一章:華麗なるラグジュアリーブランドと、娘の「贅沢な(?)物足りなさ」
私の娘は、大学を卒業してすぐ、イタリアを代表する誰もが知る超一流ラグジュアリーブランドへ新卒で就職しました。
ポジションは、支社のディレクターアシスタント。しかもそのディレクターというのが、日本でもお馴染みのあの男性二人組デザイナーのうち、一人の「本物の甥っ子」という、まさにブランドの王道のド真ん中。華やかで、待遇も良くて、側から見れば「これ以上ない最高のスタートライン」に滑り込んだわけです。
親としても「あぁ、これでひとまず安心ね。」なんて胸を撫で下ろしていました。今年の10月で丸2年になるはずだった、その仕事。ところが、1年目を過ぎたあたりから、娘がリビングのソファでゴロゴロしながら、ポツリと呟き始めたのです。
「……お母さん、仕事が物足りない。」
贅沢なこと言うんじゃないよ!と一昔前の私なら一喝していたかもしれません(笑)。彼女は大学でファッションとラグジュアリーのマネジメントを3年間みっちり学んできました。しかし、実際に就いたアシスタントの仕事は、悪く言えば「秘書」や「事務作業」の連続。どれだけ大好きなファッション業界であっても、もっと現場のクリエイティブやビジネスに直結した部署で戦いたかった彼女にとって、その華やかなオフィスは、自分の情熱を燃やし尽くせない「綺麗な鳥籠」のようになっていたのです。
ヨーロッパでは、こうした専門職に就くための1番の近道は、マスターコース(大学院)に進んで、より尖った専門知識を身につけることです。始まったばかりの自分のキャリアを自分で修復するために、彼女は24歳にして、もう一度大学院へ進むという決意を固めたのでした。
第二章: YouTubeとTikTokが教科書?我が家の経済力と娘の「自力サバイバル」
決意は立派ですが、ここからが冷徹な現実です。 ロンドンやパリのファッション系大学院のマスターコースを調べてみると、学費は文字通り「目が飛び出るほど高額」でした。自分の毎月の給料だけでは、逆立ちしても払えません。
そこで、娘の動きが一気に「Z世代のデジタルモード」に切り替わりました。
実は我が家には、子どもたちが幼い頃から交わしている、絶対的な約束があります。 「お父さんとお母さんは、大学までの学費は100%負担する。でも、その後の人生は自分たちでやってね。」
娘もそれを痛いほどよく分かっていましたから、我が家に経済的に頼るという選択肢は最初から彼女の中になかったのです。そこで彼女は、自宅のソファに転がったまま、スマホを片手にYouTubeやインスタ、TikTokを駆使して、世界中の「自力でマスターへ進んだ人たち」の経験談や、奨学金、あらゆる留学制度の情報を、それこそ寝る間も惜しんでハッキング(笑)し始めました。
いまの若い子たちは本当にすごいですね。オンラインにある膨大な情報の海から、自分に必要なものだけをパパパッとすくい上げていく。そうして彼女がソファの上で自力で掴み取ってきたのが、フランス独自の「アルテルナンス(Alternance)」という、ものすごく画期的な制度だったのです。
親の懐を1円も痛めることなく、自分の実力だけでパリの大学院へ行く道。しかし、この夢のような制度、決して甘いものではありませんでした。誰でも使えるわけではない「超狭き門」の選抜試験、実力主義のパリの名門校への挑戦。さらには、合格した後に待ち受けていた「現在進行形の壮絶なサバイバル」の全貌とは?
32年前にまったく同じ24歳で日本を飛び出した私の記憶と重ね合わせながら、ここから先は、我が家のZ世代が挑むリアルなキャリア修復の裏側をディープにお届けします。
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