「日本語で言った方が早いのに使いたくなる英語ってありません?例えば…」

トリロジー。

こう言うと何か、
格が上がる気がしませんか?

あ、コーヒー、これで終わりです。

また来てくださいね。



 海が見えた途端に夏音がまた走り出す。

 こうなったらもう、
 追いかけるしかない。

「ちょっと待って!」

「待たなーい!」

 砂浜に踏み入れた途端、

 足が重い。

「なんでそんな走れるの?」

「遅ーい!!」

 夏音は

 波打ち際の手前で、

 急に立ち止まる。

「……あ!!」

「追いついた!!」

「でも、気持ちいいや」

 引き波が、

 夏音の足首をさらっていく。

「濡れるよ?」

「もう遅い!!」

 夏音が笑って、

 脱いだサンダルを俺の胸に押し付けてくる。

「持ってて」

「は? なんで俺が?」

「愛犬だから!」

「……まだ言われんの?」

 夏音の両足が、

 濡れた砂に沈んでいく。

 俺はサンダルを持ったまま、

 少し離れて立つ。

「ねえ」

「なに?」

「……また来れたね」

「……そうだな」

 夏音は振り返らず、

 沖を行く船を、

 ずっと見ている。

 波の音だけだ。

 夏の海って、

 蝉が鳴いてないのか……。

「ねえ!!」

 夏音が急に顔を近づける。

「……何?」

「手、貸して」

「なに?」

 手を出すと、

 夏音が両手で掴む。

「行こ!」

「どこに?」

「こっち!」

「こっちって、どこだよ!」

「こっち!!」

 そのまま、

 波の中へ引っ張られる。

「靴!! 靴濡れる!!」

「いいじゃん、夏なんだから!!」