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アロハで高速回転!神楽沼に落ちた3歳児の「やっつける人」への道【中編】

ここ数か月にわたり3歳の息子は平日毎晩同じナイトルーティンに励んでいる。

保育園から帰宅→入浴→レーズンをつまみながら神楽の自主練(親は夕飯の支度)→夕食→自主練やらUNOやら→約20分間プロジェクターで神楽の演目を観ながら踊り狂う→締めのUNOとレーズン→歯磨きトイレ絵本就寝

我が家の1日のスクリーンタイムの基本ルールは、YouTubeは夜プロジェクターで1本だけ。
プロジェクターは暗い中すなわち夜しか投影できず、日中観たいと言っても無理なので息子は案外守ってくれる。

息子にとって貴重な1日1本だけのYouTube時間。ここ数か月はもっぱら神楽の演目を選ぶ。
この1週間は悪狐伝(あっこでん)、紅葉狩、吾妻山、土蜘蛛あたりを観た。

前回3歳息子が「神楽」に出会ったきっかけについて書いた。
出会ったものの、親が剣を手の届かないところにしまい、しばらくは神楽を嗜む程度。
今回は現在の神楽狂に至るまでの経緯を書こうと思う。

神楽熱、再燃

今年の3月に息子はパパとアウトレットで行われた無料公演に一度行き、終演後にファンサービスで鬼が近くに来てビビるという経験以外は神楽に触れる機会もなかった。
思い出したかのように剣を欲して短時間渡したり、たまーに「どぅんどぅん」と太鼓の音色を口ずさんでステップを踏んだりするくらいでそこまで執着はせず。

転機となったのは、下の子が生まれて外出もできるようになったゴールデンウィーク。
私の両親が九州から初めて孫娘に会いにやってきた。

ただ、夫が繁忙期かつ娘もまだがっつり外で過ごすのは厳しかったため、室内でできることないかなーと探していたところ、ホールで行われる神楽の有料イベントを発見!

2つの神楽団が2演目ずつ、合計4演目を披露するということで、両親も広島の神楽は観たことがないし、
冷房の効く中で息子が静かに観てくれたら親は楽だな〜と思い行ってみることに。

1演目は約40〜50分と3歳児がじっと座り続けるには結構長い。
1演目くらいで満足したら帰るかと思っていた。

1演目目「鈴鹿山〜三明の剣〜」

桓武天皇の御代、鈴鹿山で非道の限りを尽くしていた大嶽丸vs坂上田村麻呂&鈴鹿御前のお話。

(以下あらすじ、長いので興味のない方は飛ばしてください笑)
平安時代に実在した坂上田村麻呂が神楽では無敵のヒーローというのが面白い。
大嶽丸は黒白の鬼の面を被り、とても怖い。そんな大嶽丸は鈴鹿山に天下った天女の鈴鹿御前に恋焦がれ、美男子に変身して毎晩通うも思いは叶わず。

そんな中、田村麻呂が鈴鹿御前に出会い、大嶽丸の征伐のために協力することに。大嶽丸の持つ「三明の剣」(3本の剣)を奪うことに。
鈴鹿御前が大嶽丸をうまーく騙して、2本の剣を奪うことに成功。そして隠れていた田村麻呂が現れて戦闘になり、見事大嶽丸が征伐される~~

と思いきや、最後再び幕が上がり、煙幕が舞台を覆い、紫色にライトアップ。大嶽丸の生首が口をパクパクさせて、首なしの体が剣(三明の剣の1本)を持ち、神通力によってがよみがえったのだったというめちゃくちゃ怖いエンディングだった。
どうやら大嶽丸は日本三大妖怪のひとつらしい。
(あらすじ終わり)
ぜひYouTubeで検索を。この怖さが伝わるかと。

煙幕も使われる。中央の黒くて怖いのが大嶽丸


最初の演目が終わり、帰る?と聞くと、まだ観るとの反応。いったん息子は両親に任せて、私は娘と授乳室に。

2演目目「田村丸〜千方の四鬼〜」

(あらすじは省略。とりあえず鬼が4体出てくる(雑))
授乳を終えて戻るとちょうど演目は半分くらい終わったところ。
気になっていた息子のトイレについて小声で母親に聞くと、なんと休憩中に自分から行きたいと伝えて一緒に行ったとのこと!成長を感じた。

その後も息子はじっくり鑑賞。一個前の席の方が観やすく息子だけ移動して5分後。
舞台では「やっつける人(=武士※前編参照)」が2人でなんやら話している。と思ったその時!

なんと後ろの扉が開いて、2体の鬼が会場の左と右に分かれて進んできた!
私たちは子連れで一番後ろの左側の席に座っており、一人で座っていた息子は大慌て。
私の方に飛ぶように戻り、顔を埋めて絶対に鬼を見ないようにしていた。

さすがに怖すぎる。
なお左下の頭は娘。動じず寝ている。


3演目目「日本武尊〜伊吹山〜」

さすがに鬼で凝りただろう、もう帰ろうかと息子に伝えると、なんとまだ観るとのこと。静かに座って観るのは3歳児にとってキツイかと思いきやよほど面白い様子。

休憩時間には大蛇の前でニコニコピース

次は「日本武尊〜伊吹山〜」。
日本武尊(ヤマトタケル)の最期を創作神楽で描いており、
年老いた山神と蛇に化ける姥神との戦いはかなり迫力があるのはもちろんなのだが、なんとも悲しいエンディングで、思わずウルッときてしまった。
これはぜひ前情報なく、できれば生で、難しければYouTubeでご覧いただきたい作品。

大蛇に立ち向かうヤマトタケル様

ちなみにYouTubeで検索すると同じ演目でも神楽団により内容も異なっており、その違いを鑑賞するのも面白い。
今や息子の十八番(そして私のお気に入り)の作品である。

さすがに17時も過ぎ、最後の演目を残してこの日は帰宅となった。
帰宅して早々、家にある剣を手に踊り始めた。

再び、夢の村「神楽湯治村」へ

さて、その後から毎日夜のプロジェクターはもっぱら神楽である。とにかくひたすら立ち振る舞いを鑑賞、実践。
最初の丁寧なお辞儀まで真似て、身につけるものも「やっつける人」が着ている衣装に似ているアロハシャツ。回転速度はどんどん速くなる。

ゴールデンウィークから1か月後。
前編でも紹介した安芸高田市にある「神楽門前湯治村」に再訪問することにした。
親は夜叉うどんと温泉目的である。

今回は前回と違い、大きな神楽ドームでの公演。
この日の演目は「塵倫(じんりん)」。身に翼があり、黒雲に乗って空を飛ぶ悪鬼「塵倫」を、仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)が退治する物語。

首を長ーくして公演を待つ。
もちろん着るのはアロハシャツ。

息子、夫、抱っこ紐に入れられた娘は神楽、その間私は久しぶりに温泉にゆっくり浸かるという贅沢タイムを過ごしたので、あらすじは生かYouTubeでご覧ください(笑)。

当然ながら、興奮した息子は売店で剣、さらには弊をゲット(弊が何か気になる方は前編の記事へ)。

そして、ミニ武士やミニ神様がわんさかいる小さな体験舞台へ。前回おそるおそる舞っていた時と違い、息子はとんでもない速さで剣と弊を手にぐるぐる回っていた。

舞台の横には3種類のボタンがあり、それぞれのボタンごとに異なる音楽が流れる。立ち会いの音楽、敵を倒した勝利の舞の音楽などである。それを使い分けて踊り狂うという息子にとって至福の時間を過ごした。

新しい剣を手に入れて最高の気分

この時さらに手に入れたのはこちらの本「ひろしま安芸高田神楽帖」。とにかく詳しいことが詰まっていて面白い!
演目のあらすじ、衣装、小道具、奏楽、神楽村などについて写真・イラストつきで、たまに軽妙なツッコミも入れながら記載されている。我が家族の指南書となり、今や擦り切れるまで読んでいる。
なお市販では売られておらず、神楽村でしか入手できないらしい。

価格は3000円(税抜)


神楽のインフルエンサーへ

さて、こうして息子は数か月の間で神楽にドハマりしたわけだが、面白いことに家庭内にはとどまらない。

ある日、保育園のお迎えに行くと、チラシの扇子を得意げに見せてきた。
話を聞くと、先生が作ってくれたとのこと。親は図画工作のセンス(扇子だけに…)がなく、先生に感謝。

そしてまたある日保育園に行くと、また扇子を持ち帰ってきた。しばらくそれの連続である。

これに味を占めた息子。上記の本を保育園の預けるタイミングで持って行き、先生に小道具を作って欲しいと交渉する始末。
そしてついには楽器を演奏する人達のつけるイヤモニを作ってくれとまで言い出した。
これに先生は快く応じてくださり、作ってくださったのたが、なんとそれを他の園児達もつけて持って帰ったとのこと。
先生も園児達も神楽色に染まってしまうという事態に。

こんなわけで、神楽沼にはまった息子は周りをどんどん巻き込んでいるのである…


まだまだ書きたいことが多いので、次は後編へ。石見神楽の本拠地へ行く話。


(記事#6)

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