「バツイチ」「子持ち」がモテまくる。江戸時代の婚活事情
「子連れの再婚は、何かと大変そう……」
現代の私たちが抱きがちなそんなイメージを、バッサリと覆す歴史の事実があります。
なんと江戸時代の婚活市場において、もっともモテて引く手あまただったのは「バツイチ・子持ちの女性」 でした。
「バツイチ無双」とも言えるこの現象。なぜ江戸の男性たちは、未婚の若い女性以上に彼女たちを買い求め、こぞって妻に迎えようとしたのでしょうか?
そこには、現代人が見落としがちな江戸社会の超合理的でたくましいシステムがありました。
1. 「子どもを産んだ実績」という最強のステータス
江戸時代、家業や家名を次世代へつなぐ「跡継ぎの確保」は、どんな家にとっても最優先の命題でした。
しかし当時は医療が未発達で、無事に出産できるか、子どもが大人まで育つかは命がけのギャンブル。そのため、初婚の女性を迎える場合、「本当に子どもが恵まれるだろうか」という不安が常に付きまといました。
そこで白羽の矢が立ったのが、すでに子どもを産んでいるバツイチ女性です。
彼女たちは「無事に出産できる体質である」という圧倒的な証明(実績) を持っています。跡継ぎに悩む男性や、後妻を探している家にとって、彼女たちはまさに喉から手が出るほど欲しい「救世主」だったのです。
2. 実家での教育不要!「即戦力」としての家事スキル
江戸の暮らしは、現代とは比べものにならないほど重労働でした。 料理、洗濯、掃除、裁縫はもちろん、商人の家であれば店の手伝いや帳簿付け、接客までこなさなければなりません。
生粋の生娘(未婚女性)を嫁に迎えると、一から家事や商売のやり方を教え込む「教育コスト」がかかります。
その点、一度でも家に入った経験のあるバツイチ女性は「今日から家事も店も回せる即戦力」 。
連れてきた子ども(連れ子)に対しても、当時の人々は寛容でした。むしろ「将来の貴重な労働力が増えた」「跡継ぎ候補が最初から一人確保できた」と、肯定的に受け入れられることすら多かったのです。
3. そもそも超・売り手市場!「男性6:女性4」の男余り
さらに彼女たちの人気を決定づけたのが、当時の圧倒的な男女比です。
全国から出稼ぎ労働者が集まる大都市・江戸は、極端な「男余り社会」 でした。時期によっては男性6に対して女性4、あるいはそれ以上の格差があったと言われています。
つまり、女性というだけで超・売り手市場。
しかも江戸時代は「相性が合わなければ別れればいい」というフランクな価値観だったため、離婚(三行半)歴は全くマイナスになりません。「バツイチ=バツがついた傷もの」ではなく、「経験豊富でタフな魅力的な女性」として評価されたのです。
離婚が成立した翌週には、親戚や仲人から次の再婚話が何件も舞い込む——そんな光景も日常茶飯事でした。
おわりに:たくましく、粋に生きた江戸の女性たち
「若さ」や「未婚」ばかりが持ち上げられがちな現代の婚活観からすると、江戸時代のシステムは驚くほど合理的。
人生の経験を積み、出産や育児という大仕事を経験した女性が、その実績と生活力を正当に評価されて「モテまくる」。
江戸の町には、自分の人生を何度でもたくましくやり直し、粋に生き抜いた「無双のバツイチ女性たち」がたくさんいたのですね。
