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会議は進む
刑法207条。いわゆる同時傷害の特例。
複数人が同じ機会に暴行を加え、人を傷害した。でも、誰の暴行によって傷害が生じたのか分からない。そのような場合に、関与した者全員に傷害の責任を負わせる規定だ。
ただし、ここには線がある。
結果に関わっていない者までは、引き込まない。
たとえ同じ場にいて、同じように暴行を加えていたとしても、その人の行為が傷害の結果と無関係だと証明されるなら、傷害の責任までは負わせない。
一緒にいた。同じ方向を向いていた。同じようなことをしていた。
それでも、結果とのつながりがなければ、責任の重さは変わる。
刑法は、そこをかなり厳密に見る。誰の行為が、どの結果につながったのか。そこを曖昧にしない。
感情としては、少し割り切れないところがある。
やったもん勝ちなのか。言い出した者、動かした者だけが責任を負い、それに乗っかった者は軽く済むのか。
そう思う自分もいる。
でも、刑法がそこを曖昧にしてしまえば、今度は「なんとなく関わっていた」というだけで、責任が際限なく広がる。それもまた、怖い。
だから刑法は、責任の範囲を明確に限定する。誰の行為が、どの結果につながったのか。そこを曖昧にしない。
―――
一方、会議では少し違う。
少なくとも会話に参加した者には、何らかの責任が及ぶ。発言した者だけではない。うなずいた者も、黙って流れを止めなかった者も、その場の決定から完全には離れられない。
だからこそ、重い会議ほど静かに進む。
そして、粛々と会議は進む。
