明るい夢の中にいるみたい
7月31日(金)
朝、目が覚める。
セミの大合唱に包まれて
むくりと起きあがる。
今日は朝から出かける予定。
玄関の戸を開けて朝のぜんぶに
「おはよう!」と あいさつをする。
クローバー畑がキラキラ輝いている。
光の子供たちが遊びに来ているみたい。
深呼吸をする。
呼吸ができて幸せ。
ウーちゃんとルーちゃんに、
メダカちゃんたちに、ご飯をあげる。
お水を ごくごく飲む。
からだが喜んでいる。
「お水を飲んでくれてありがとう」
と言っている。ような気がする。
お弁当を作る。
ささっと支度をする。
ごはんさんと大事な用事で出かける。
お昼過ぎに用事を終えて家に帰るとき
ごはんさんが さらりと
夢のような言葉を口にした。
「みるさん、”トーベとムーミン展”
行きたいって言ってたよね
これから行こうか」
え。
天使がラッパを吹きながら
私のまわりを くるくる回っている。
さらに頭上に降りてきたくす玉が
ぱかっと開いた。
花びらと紙吹雪が舞った。
鳩も飛び出して ぱたぱた羽ばたいていった。
夢のようだ。
夢のようだ。
素敵な夢のようだ。
「うんうんうん」
と、何度もうなずく。
トーベとムーミン展は
福岡市美術館で開催されている。
都会にある福岡市美術館に行くのは
私にとって ものすごくハードルが高い。
車で行っても電車で行っても
辿り着ける自信はない。
ドキドキしてきた。
わくわくしてきた。
胸がいっぱいになった。
心が ぴょんぴょん跳ねている。
ともかく一旦家に帰る。
グリーンコープ元気カーの
メガネさんがやってきた。
お買い物カゴを持って
てくてく歩いてゆく。
「どうしたんですか
いつもと洋服がちがいますね」
と、メガネさんがびっくりしている。
「これからお出かけするの」
と、私。
私はほぼ毎日同じ服を着ている。
同じ服を何枚も持っているのだ。
オバケのQちゃんみたいに。
たまにちがう服を着ていると
大体みんなに びっくりされる。
さっとお買い物を済ませて
大きな水筒にお水をたっぷり入れて
トーベとムーミン展へ しゅっぱーつ!
ずっと ときめいていた。
まさか今日ムーミン展に行けるなんて。
わくわくが止まらない。
高速道路に乗る。
大きなまるい山が続いている。
だんだんビルが増えてゆく。
わいわい言いながら都会の道に出た。
車線がたくさんあって人も車も
何もかもが ぎゅうぎゅうにいっぱいだった。
デパートとか大きなビルも ぎゅうぎゅうで
目が回りそう。
運転してもらって本当にありがたいなぁ。
と、何度も思う。
混んだ複雑な道を走り
福岡市美術館が見えてきた。
狭い駐車場が 1台分空いていた。
なんて幸運なんだろう。
この駐車場もものすごく難易度が高かった。
私ならここに停めるのを諦める。
ごはんさんは難なく車を停めた。
さぁ!トーベとムーミン展へ!
人がたくさんいた。
わくわくドキドキしながら
展示されている画材や絵などを見てゆく。
若いころのトーベさんや
アトリエの写真もあった。
当時のことに思いを馳せる。
ひとつひとつとても楽しかった。
鉛筆のスケッチが臨場感があり大好きだった。
展示の最後に
「とっておきの1枚をお持ち帰りください」
と書かれているパネルがあった。
学芸員の方が説明してくれた。
ムーミンのお話に出てくる
素敵な言葉を書いたカードの中から
自分の好きなカードを1枚持って帰っていい
ということだった。
わくわくしながら選ぶ。
ごはんさんが
「オレの分、みるさん選んでいいよ」
と言ってくれた。心が ぴょんと跳ねた。
2枚選んだ。
ムーミンママとトゥーティッキの言葉だった。
じゅうぶん楽しんでムーミングッズが
並んでいるお部屋に入った。
そこにムーミンキャラクターたちの
豆皿ガチャが並んでいた。
「これしたい」
と、ごはんさんに言う。
「オレもしてみよう」
と言って ごはんさんが回した。
ガチャガチャ
ごろん
出てきたのは
トゥーティッキの豆皿だった。
可愛い。
私も回した。
ガチャガチャ
ごろん
これ、誰?
ちょっとヘンテコな知らない子が
豆皿に描かれている。
・・・
「もいっかいする」
と、私。
ガチャガチャ
ごろん
「あ!みるさん、あたり!」
と、ごはんさんが言った。
え。あたり?
見ると、トーベとムーミン展の
メインビジュアルになっている
トーベさんとムーミンたちが
いっしょにいる絵だった。
びっくりした。
すごくうれしくて心がくるくる躍った。
とても可愛い。
そのとき近くでガチャをしていた
女性が ごはんさんに話しかけた。
「ガチャを引いたらムーミンがふたつ
出てきたので変えてもらえませんか?」
ということだった。
ごはんさんは快く交換してあげた。
交換されたムーミンも もちろん
色が優しくてとても可愛かった。
楽しい夢の中にいるようなきもちで
帰路に着く。
帰りは高速道路に乗らず
幸せの天ぷら屋さんへ
行こうということになる。
まだ食べていないけれどもう幸せだ。
車の中で豆皿を取り出して眺める。
ごはんさんのも開けて眺める。
ぜんぶ可愛い。
でも、最初に出てきたヘンテコな子が
誰なのか気になる。
この子だけモノクロで
じろっとこちらを見ているのだ。
ヘンテコな子が誰なのか調べてみる。
なんと、1000年前のムーミン族の
ご先祖さまだった。
言葉を話さず静かに暮らす
神秘的なキャラクターだということ。
1000年前は ふさふさの毛が生えていたんだ。
と、ちょっとびっくりする。
何度もカプセルから出したり戻したりする。
ヘンテコだと思っていたご先祖さまも
愛嬌があって可愛い。
うれしいなぁ。
うれしいなぁ。
幸せの天ぷら屋さんに到着。
カウンター席に座る。
次々に あつあつの天ぷらが運ばれてきた。
すごく長いアスパラガスの天ぷらが置かれた。
「なが〜い」
と、はしゃぐ。
塩をパラパラと振りかける。
ぱくっ
もぐもぐ
アスパラガスの味がくっきりしていて
とてもおいしかった。
「おいしいね」
「うんおいしいね」
「幸せ」
「ほんと幸せ」
と、おまじないのように何度も言いながら
もぐもぐ食べる。
料理人さんがやってきて
「今日はバイクじゃないんですね」
と、ごはんさんに言った。
料理人さんはバイク好きなのだ。
ごはんさんと楽しそうにお話していた。
心もおなかも満たされて
「ごちそうさまでした!」
と手を合わせる。
今日は明るい夢みたいな日だ。
お買い物をして家に帰る。
夜、庭に出る。
ぽつりぽつりと星が瞬いていた。
愛らしいなぁ。
ムーミン谷から眺める夜空は
どんな夜空なんだろう。と、思いを馳せる。
夜のぜんぶに「おやすみ」を言う。
今日もいい一日だった。

メインビジュアル
自画像とムーミン谷のキャラクターたち
真ん中に展示されているのが原画













ヘッダー画像はプロジェクターで
壁に映し出されていたちょっと動画になった絵。
